熱闘! 政治家への道 ~元高校球児の夢~ -195ページ目

Memo:「防災と省エネ」...オフィス総合展2011

手本となる医療体制の構築...夕張から学ぶ被災地医療再建案

本日、「震災で被災した病院の復旧が困難」との記事が出ていました。


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高齢者医療担う7自治体病院、早期復旧困難 岩手・宮城朝日新聞1面 2011年5月8日)
 東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城両県の三陸海岸沿いの自治体にある15の公立病院のうち主に高齢者医療の受け皿となっていた7病院が全壊したり、常勤医師がいなくなったりして早期復旧が困難なことが朝日新聞社の調べで分かった。地元大学は医師会、県と医療機関の集約化を視野に入れながら、医療復興策の検討を始めた。 ...(以下、省略)
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記事によると、当該地域の「3.11」前後の状況は以下の通りです。

・三陸海岸地域の医師は震災前から全国平均の約6割程度しかいない。

・15ある公立病院のうち、大きな被災を免れた8病院の多くは高度医療をになう基幹病院。

・残りの7病院は、100床以下の小規模な病院が多い。

・いずれの病院も津波で病院内が浸水し、医療機器や病室が壊れてしまった。

・2病院は事実上、常勤医がいなくなった。

・長期療養が必要な高齢者は今、内陸部の病院に転院したり、自宅に帰らざるを得なかったりしている。


患者の高齢化(高受診率社会的入院 などの問題)と医師不足、もともと厳しい医療環境の中で震災は起こってしまいました。

再建では『高度な急性期医療を提供する基幹病院を中心に強化し、地域の他の病院、診療所との役割分担を提案する。少ない医師でも質を落とさない効率的な医療を検討していく』などの案が出ています。しかし、この“基幹病院を中心”という文言は、医療圏 整備では必ず出てくるもので、実際の再建案はこれからより具体的に検討されるものと思われます。


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そこで、私は当該地域の医療再建について、“夕張”の取り組みを参考にしては如何かと思います。

“夕張”とは、村上智彦 医師が理事長を務める「夕張希望の杜 ・診療所」です。


ここでは「市の財政破たん」と「高齢化日本一」という難問を抱えながらも、スタッフのアイディアにより様々な成果を上げています。

「財政が厳しく医療(人材、設備)におカネがかけられない」、「高齢化により医療費が上がり続ける」という。医療問題ではどの自治体でも直面する問題に対するヒントが、“夕張”にはあると思います。


以下、夕張希望の杜・診療所と老人介護施設での取り組みを、キーワード毎に村上医師のコメントとともに箇条書きします。


「支える医療」

「『支える医療』」というのは、多職種が連携して住民にも参加してもらい、在宅医療や予防医療を中心に、ケアを重視した医療を展開して高齢化が進んだ地域で街創りを支えていくといったイメージです。」(村上医師)

→高齢者の自立した生活を実現するため、周囲(医療スタッフ、住民)が連携し、「病気を予防する→病気を治す→生活に復帰させる」サイクルを実現する医療で、高齢者を地域で支えています。


「予防医療」

「...費用効果率が高い予防医療を推進することは大切だと思います。特に高齢者は若い世代に比べると、どうしても病気が多くなりますので、肺炎や寝たきりの予防をしたり、生活習慣病をかかりつけ医が重症化しないようにしていくことが医療費に大きく影響します。」(村上医師)

→病気になれば多額の医療費が、特に自治体を苦しめます。地域の医療の継続性を確保するためにも、患者のQOLを保ち、医療費を抑える必要があります。そのための“予防医療”です。

夕張では、高齢者へのインフルエンザや肺炎球菌ワクチンの投与や、口腔ケアによる誤嚥性肺炎などの防止などの予防医療を推進し、成果を上げています。


「訪問診療」

「医療は病院という建物の中にあるのではありません。地域が病院であり、自宅はいわば入院用のベッドです」(村上医師)

→「病院から介護老人保健施設(老健)、そして自宅」という枠組みの中で、一日でも自宅に戻り、普段の生活をしてもらうことを徹底している。自宅に戻り不都合があれば、老健への通所リハビリなどを利用し、高齢者の“自立”を促す。そして、医師と看護師は“訪問”を繰り返し、健康管理・指導を行う。...このように夕張では、まさに自宅を“ベット”として利用し、自宅にいる事による高齢者の“自立”と健康の意識を持たせ続けています。

また、自宅におけるターミナルケアの実践と通して、患者に安心とやすらぎを提供しています。


「口腔ケア」 *参考:厚生労働省

「歯周病は卒中や肺炎、糖尿病など重篤な病気の原因になり得る。1日4回の歯磨きと入れ歯の調整を推奨」(村上医師)

→最近では口の中の細菌などが様々な病気の原因となっていることが周知されはじめ、口腔ケアの実践が広がってきています。今回の震災でも歯科医が被災地を巡回し口腔ケアの重要性を説いていました。

夕張では“予防医療”を強力に推し進めていることから、口腔ケアに力を入れています。


「生活リハビリ」

「外食や買い物、パチンコやお花見といった高齢化や障害に伴って出来なくなった“日常を取り戻す”リハビリ」(村上医師)

→繰り返しになりますが、夕張では“自宅に戻って生活をしてもらう”との医療方針があるため、リハビリもそれを目標に行われています。単なる機能回復ではなく、『自宅に帰って今までと同じ生活をする』という目標を患者と共有することで、リハビリの効果も上がってくると思います。

もちろん、この実現には理学療法士(PT) を中心とした、医師-看護師-介護師-家族の連携が必要です。


上記の取り組みを参考に、三陸沿岸地域では、是非、今後の地域医療の手本となるような体制を構築し、地域の方々の豊かな人生に寄与してもらいたいと願います。


以上


*資料

◆日本口腔ケア学会・・・http://www.oralcare-jp.org/

◆村上医師 関連著作・・・「村上智彦の闘い」(時事通信出版局)  、「村上スキーム」(エイチエス㈱)


夕張希望の杜・村上氏、予防医療の重要性語る北海道民友新聞 5月5日)
 財政破綻した夕張市で地域医療再生に取り組む村上智彦医師(医療財団法人・夕張希望の杜理事長)を講師に招く地域出張講座が2日、上渚滑高齢者ふれあいセンターで開かれた。地域住民ら約50人が訪れ、地域医療のあり方や予防医療の重要性などについて語る村上氏の言葉に、熱心に耳を傾けた。
 夕張希望の杜は医師不足に悩む地域に積極的に医師を派遣していて、紋別市でも休日夜間急病センター立ち上げ時に永森克志医師や、両氏の紹介医師らが出張医を務めた経緯がある。...(以下、省略)

予防に重き「支える医療を」 夕張の医師、村上さん講演朝日新聞 2010年12月16日 広島版)
 財政破綻(はたん)した北海道夕張市で診療所を運営する医師、村上智彦さん(49)が11日、地元で取り組んでいる地域医療の再生について、広島市南区の広島大学医学部で講演した。 ...(以下、抜粋)

・「地域で大事なのは、専門医療を受ける人のための医療ではなく、病気になっても病院に来ないような人たちのフォローだ」

・介護やリハビリ、薬剤師による服薬指導などの「支える医療」が必要

・名前やかかりつけ医、飲んでいる薬、緊急連絡先などを書いた紙をプラスチック容器に入れ、万が一に備えて冷蔵庫にしまっておく「命のバトン」という取り組み

Memo:講演会「原発」を考える 於:川口リリア