“福島放射線医学専門病院”の設置を!
私は、福島に“放射線医学専門病院”を作ることを提案します。福島を故郷に持つ一市民の私論です。
医師・看護師不足のため、新たな専門病院を作ることは既存の医療機関へ負担を強いる事になることを重々承知の上で考えました。
以下概要です。
---
◇設置目的:
①東日本大震災による東京電力・福島第一原子力発電所事故にともない被ばく被害を受けた県民に対して、専門家により長期的継続的な診療を行い、晩発性障害 の治療を行う
②放射線医学全般の研究、情報収集、当該被ばく者の疫学調査を行いその結果を広く県民、国民に知らせる教育機関としての役割を果たす。
◇設置場所:病院2か所、診療所3か所、研究所1か所
・病院:双葉町(orいわき市)と郡山市
・診療所:飯館村、福島市、会津若松市
・研究所:双葉町(orいわき市)
*これら全ての施設を専用の大容量光回線で接続する
◇設置運営者:福島県、放射線医学研究所、厚生労働省
*但し、建築費用と設置後20年間の運営費は東京電力が負担する
◇特記設備・スタッフ・:
①ホールボディカウンター(病院と診療所)と移動車
②カウンセラー
---
“ただちに健康に影響の無い”放射線レベルは、福島原発周辺自治体住民、特に福島県民を不安にさせています。
ご存じの通り、現在の放射線の被爆許容レベルは、確定的なものではなく、臨床データがあるものではありません。
従って、今回の原発事故で少量なりとも漏れ出した放射線を浴びてしまった住民の、“これからの”健康被害は誰にも分かりません。
この不安を取り除くためには、まず長期的継続的診察が必要です。そのためには専門の医療機関が欠かせません。
現在、放射線被ばく専門の医療機関 は千葉市にありますが、今回の被害の規模(対象住民)と範囲を考えると福島県にこの医療機関を設置する必要性に異論はないと思われます。
病院の設置場所は、福島第一原子力発電所に近い双葉町を第一に考えますが、事故の終息が長引くようであれば近隣のいわき市が候補として挙げられるのではないでしょうか? また、避難者の多い中通り地区の中心都市である郡山市にも設置する必要性を感じます。
また、広く県民の診察を担当するため福島市と会津若松市、そして積算線量の多い飯舘村に診療所を置くことを考えました。
この二つの病院と三つの診療所は専用の光回線で繋がり、それぞれの施設での診察に最新の情報が共有できるようにします。
この医療施設には研究機関も併設させます。
ここでは、住民の理解と協力を得て、長期的な疫学調査を行います。“核”の平和利用下で起こった今回の大災害での健康面での被害を検証し後世に残すことは、重要な事だと思います。研究機関は行政と手を携えて、誠意を持って被害住民に相対し、疫学調査への協力が得られるように鋭意努力してもらいたいと思います。
また、この研究機関は放射線医学の“教育機関”も兼ねます。無限のパワーを供給する“神の火”であり、日本のエネルギー不足を救う“希望の火”であった原子力の功罪を、特に人間の健康の面から小学生から大人に至るまで教え考えさせる役割が期待されます。
そしてこれら施設は、厚労省と放射線医学研究所のサポートを受け、福島県が運営します。
ただし、施設の建築費用と、原発事故後に生まれた子供が成人するまでの20年間の運営費は東京電力が負担することとします。もし、原発を所有する電力会社の賛同が得られるのであれば、建築・運営基金を作り、そこから搬出するという方法も考えられます。
そして、特記すべき設備。
全身の放射線量を測定するホールボディカウンターを全ての病院と診療所に設置し、さらに出張測定・診察が可能なように移動車を用意する必要があると思います。
推計による外部被ばく線量だけではなく、内部被ばく線量を全県民が、客観的に継続的に測定できる体制を整えるべきです。
この機器(車)は既存のものに改良を加え、子供やお年寄りが容易に抵抗なく測定に臨めるようにすべきだと思います。
必要なスタッフとしては、放射線医学に精通したカウンセラーが考えられます。
診察し医学的に良好な結果を示されても不安が拭えないという住民に対して、悩みを聞きうけ、精神的な支えとなるカウンセラーは必要な人員です。
以上、拙論ではありますが、佐藤雄平福島県知事をはじめ、関係各位には福島に放射線専門の医療機関の設立を検討し、是非実現していただきたいと思います。
*資料
◆「低線量放射線の健康影響について 」 原子力安全委員会
(以下抜粋)
放射線の健康影響は、「確定的影響」と「確率的影響」に分類されます。
「確定的影響」は、比較的高い線量を短時間に受けた場合に現れる身体影響で、ある線量(閾値)を超えると現れるとされています。
「確率的影響」には、被ばくから一定の期間を経た後にある確率で、固形がん、白血病等を発症することが含まれます。
◆(独)放射線医学総合研究所ホームページ http://www.nirs.go.jp/index.shtml
「放射線医学総合研究所」とは *ホームページより抜粋
人類は有史以来、様々な形で放射線と関わってきました。現在では、人々は医療をはじめとする様々な分野でその恩恵を受けることができるようになりましたが、その反面、放射能汚染や放射線被ばくによる環境や健康へのリスクが重要な課題となっています。人々が安全に放射線の恩恵を享受するためには、そのリスクに対する評価を常に行っていく努力が求められているのです。
独立行政法人放射線医学総合研究所(放医研)では、1957(昭和32)年の創立以来放射線と人々の健康に関わる総合的な研究開発に取り組む国内で唯一の研究機関として、放射線医学に関する科学技術水準の向上を目指して活動してきました。
今後、研究開発業務の一層の活性化と効率化を図るとともに、その透明性を高めて広く開かれた研究機関として活動し、世界における卓越した研究拠点(Center of Excel lence : COE)へと発展させて行きたいと考えています。
放医研は、重粒子線によるがん治療の研究や、放射線が生体におよぼす影響の研究、生体における分子レベルの異常を画像化する分子イメージング研究を中心とした「放射線に関するライフサイエンス研究」と、万が一に備える「放射線の安全と緊急被ばく医療研究」を2つの柱として様々な研究を遂行しています。
また研究開発を推進するために、以下5つのセンターを組織しています。
○重粒子医科学センター
・・・人に優しいがん治療の期待を担って
○分子イメージング研究センター
・・・分子で読み解く生命の姿
○放射線防護研究センター
・・・放射線の人と環境への影響
○緊急被ばく医療研究センター
・・・被ばく医療の中核として
○基盤技術センター
・・・放医研の幅広い研究を支える
◆(参考)平成22年度 緊急被ばく医療研究予算要求資料(文部科学省)
◆「晩発性の身体的影響」 (財)高度情報科学研究機構(RIST)
(抜粋)
晩発性の身体的影響については、被ばくとその病的状態の発現までの期間が長く、その因果関係を明確にするには困難を伴うが、その究明のためにこれまで幾多の被ばく集団を対象とした疫学調査が行われ、また現在も継続されている( 表1 )。1986年4月におきたチェルノブイリ事故による被ばく者集団の継続調査も行われている。疫学調査の結果の不備を補う目的で動物実験のデータも利用されている。
◆(参考) 「福島県立医科大学附属病院の取り組み」 緊急被ばく医療研修のホームページ
→リンク http://www.remnet.jp/newsletter/03/medicalfacility.html
◆(参考)チーム中川(東京大学医学部附属病院の放射線治療の専門家たち)による、福島第1原発事故に関して放射線医学の観点からみたつぶやき →リンク http://togetter.com/li/112142
福島県民202万人 原発事故健康調査
当然、なされるべき調査ですが、国が責任を持ち、東電には費用負担をさせ、定期的継続的な調査であることを望みます。
---
全県民202万人が対象 原発事故健康調査 避難者含め線量推計 (福島民報 2011年5月28日)
東京電力福島第一原発事故を受けた福島県の県民健康管理調査は、県外への避難者を含め約202万人の全県民を対象に実施する。27日、福島市で開いた調査検討委員会の初会合で決めた。放射線量の高い原発周辺の市町村などを先行地域に6月下旬から始める。問診したり、問診票を配布したりして事故発生以降の積算被ばく線量の推定値を算出し、長期間にわたって健康状態を確認する。併せて、積算線量の高い地域の住民に対する血液や尿検査の実施態勢も整え、疾患の早期発見、早期治療につなげる。
---
福島県内では、広い範囲にわたって、多くの県民が“被ばく”しました。私の実家の家族も、原発から約60km、毎時1.5μsv前後の放射線が計測される二本松市 で暮らしています。
放射線の異常値が検出される度、
住民「大丈夫なのか?」
行政「ただちに健康を害するものではなく、安全です」
との問答が繰り返されます
周知の通り、行政や専門家、医療関係者は低線量被ばくに関する学説、確証データを持ち合わせてはおらず、住民は“推定”や“推論”によって、なだめられています。
これが、住民の不安を根本を和らげるものではありません。
大切なのは、
「どれだけ被ばくしたか?」
「低線量被ばくにより、これからどんな事が起こりうるか?」
「これから、生活の中でどんな事を注意すればよいのか?」
だと、私は思います。
まずは、全県民の被ばく線量を測り、「被ばく手帳」に記入すると同時に、県で一括管理する。厚労省は統計を取り、個人情報を抜いたものを、管理する事です。
そして、これから発生する可能性がゼロではない疾患(白血病、甲状腺ガン、肺ガン、胃ガン)について、説明と周知と徹底し、早期発見・早期治療の体制を整えます。
同時に、専門家から助言をもとに、生活習慣について県民に啓蒙してゆくことも必要であると思います。
今回、“全県民”に健康調査を実施すると決断したことは大きな一歩ですが、これがパフォーマンスに終わらず、県民が健康的な生活を継続させ、将来の不安を感じる事のないよう、政府、厚労省、東京電力、そして福島県に望みます。
以上
*資料
◆「放射線の影響に関する健康相談について(依頼)」 厚生労働省 健康局 総務課 地域保健室 2011年3月18日
→PDFリンク http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015fth.pdf
◆(全文)全県民202万人が対象 原発事故健康調査 避難者含め線量推計 (福島民報 2011年5月28日)
東京電力福島第一原発事故を受けた福島県の県民健康管理調査は、県外への避難者を含め約202万人の全県民を対象に実施する。27日、福島市で開いた調査検討委員会の初会合で決めた。放射線量の高い原発周辺の市町村などを先行地域に6月下旬から始める。問診したり、問診票を配布したりして事故発生以降の積算被ばく線量の推定値を算出し、長期間にわたって健康状態を確認する。併せて、積算線量の高い地域の住民に対する血液や尿検査の実施態勢も整え、疾患の早期発見、早期治療につなげる。
県と福島医大が調査の主体となる。6月中旬を目標に福島第一原発周辺の市町村などから先行地域を選定し、医師、看護師、保健師、薬剤師らが住民から直接健康状態を聞く。
原発事故発生以降、避難などで生活した市町村や屋外で過ごした1日の時間、食生活なども把握し、内部被ばくを含めた住民の積算線量の推定値を算出する。高い数値が予想される場合は福島医大などでの診察を勧める。
先行地域で課題などを検証して効果的な調査態勢を固め、全県に範囲を広げる。迅速に全県民の健康状態を把握するため、問診票を郵送することなどを検討している。
放射線量が高い地域の住民に対する血液検査や尿検査は、これとは別に進める。
いずれの調査や検査も態勢が整い次第開始したい考えだが、時期は未定という。
県が県内約9カ所で実施している放射線量のスクリーニング検査の受検者は25日現在、県民全体の約1割に当たる19万人に上る。原発事故で放出された放射性物質の健康への影響に県民が不安を募らせていると判断し、長期間に及ぶ調査に乗り出す。
検討委員会の座長を務める県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一長崎大医歯薬学総合研究科長は「県民の不安は、どの程度被ばくし、どの程度将来への影響があるのかということ。不安の解消が重要」と述べた。
県の県民健康管理調査は、約202万人を対象に長期にわたる大規模な追跡調査となる。県内の医療関係団体や県民の協力が不可欠だ。
調査は「聞き取り」と「問診票」の二つが柱だが、県外に避難した約3万5000人を訪問する人員、経費を確保できるかなども大きな課題となる。
.
*追記(2011年12月9日)
◆朝日新聞:外部被曝、最高37ミリシーベルト 福島住民調査で推計 (2011年12月9日)
東京電力福島第一原発の事故による福島県民の外部被曝(ひばく)線量について、住民約1730人の推計値が最高37ミリシーベルト、平均1ミリシーベルト強だったことが県の解析でわかった。...(以下、省略)
*追記(2012年1月19日)
◆福島民友:健康管理基金に250億円 東電、被ばく影響調査で拠出(2012年1月19日)
東京電力福島第1原発事故による県民の被ばくの影響を調べるため、県が行っている県民健康管理調査の財源として、東電が250億円の拠出を決めたことが18日、明らかになった。...(以下、省略)
.
*追記(2012年1月22日)
◆朝日新聞:福島の子の医療費無料化を断念 首相、財源困難と判断(2012年1月22日)
野田佳彦首相は、福島県内の18歳以下の医療費無料化を断念する方針を固めた。福島県からの要請を受けて検討する考えを表明していたが、財源確保が難しいと判断した。近く県側に伝える。
東京電力福島第一原発事故の影響で子どもの放射線被曝(ひばく)への懸念が強まっており、福島県の佐藤雄平知事が無料化を求めていた。...(以下、省略)
「ICRP声明」の解釈と子どもの安全
当然といえば当然ですが、緊急時のゴタゴタで安易に年間許容線量を20mSvにしたこと自体に問題があったことは、福島県の子どもを取り巻く関係者の誰もが感じています。
---
福島の学校、線量年1ミリ・シーベルト以下目標 (YOMIURI ONLINE 2011年5月27日14時31分)
高木文部科学相は27日の閣議後の記者会見で、福島県内の学校で子供が1年間に浴びる放射線量について、「今年度は当面、年間1ミリ・シーベルト以下を目指す」と述べた。 これまで同省が示していた基準(年間1ミリ・シーベルト~20ミリ・シーベルト)は変えないものの、初めて「1ミリ・シーベルト以下」という目標に言及した。...(以下、省略)
---
この「20mSv」と「1mSv」は、次の記事にある通り、原発事故から10日後に出されたICRP声明に基づいています。 *ICRP(国際放射線防護委員会) 参照:首相官邸HP http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g5.html
---
被曝限度量の緩和提案 国際放射線防護委、移住回避促す (朝日新聞 2011年3月26日)
国際放射線防護委員会(ICRP)は、原発事故などが起きた後に周辺に住む人の年間被曝(ひばく)限度量は、2007年の勧告に基づき、1~20ミリシーベルトの範囲が妥当とする声明を発表した。日本の現在の基準は、一律に1ミリシーベルト。福島第一原発事故の影響が収まっても、放射能汚染は続く可能性があると指摘し、汚染地域の住民が移住しなくてもいいよう、日本政府に配慮を求めた形だ。...(以下、省略)
---
しかし、この声明の原文を見ると、政府(文科省)が“緊急”という文言を都合のいいように解釈したかが分かります。ICRPは『(長期目標として)年間1mSvとすることを引き続き勧告する』としています。
---
ICRP 3.21声明[Fukushima Nuclear Power Plant Accident,ICRP ref:4847-5603-4313](邦訳/原文)
出処:京都大学原子炉研究所 →PDF リンク http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/rb-rri/QA/ICRP.pdf
・・・緊急時に一般の人々を防護するためには、委員会は最も高い計画的残存線量に対して、20-100 mSv の枠(バンド)内で参考レベルを国内当局が設定することを引き続き勧告する(ICRP 2007, 表8)。
放射線源が制御できたとしても、汚染地域は依然残りうる。当局があらゆる必要な防護策を行い、人々がその地域を放棄することなく住み続けることができるようにすることが一般的であろう。その場合は、委員会は1 年間に1-20 mSv の枠(バンド)内の参考レベルを選択し、長期目標として参考レベルを年間1 mSv とすることを引き続き勧告する。
---
そうであるならば、殊、子どもの安全と健康に対して文科省は、放射線の影響を受けやすい点を最大限配慮し、1mSvを堅持すべきだったのではないでしょうか?
“想定外”の事故で、対応に対する根拠を持ち合わせていない中で、専門機関の助けを受け意志決定をしてゆくことはやむを得なかったと思います。
しかしながら、それを都合のいいように(責任を回避するために)解釈し、「20mSv」という数値を設定した文科省の対応には疑問があります。
「1mSv以下を目指す」とした以上、を文科省はこれから、子どもの安全・健康を最優先し、福島の教育現場への指導・支援を行って欲しいと思います。
以上
*資料
◆子供の屋外活動制限、基準放射線量 年間20ミリシーベルトって大丈夫? (2011年5月16日 毎日新聞 東京夕刊)
政府は福島県内の幼稚園や学校などで、子供の屋外活動を1時間に制限するか否かの基準放射線量を毎時3・8マイクロシーベルト、年間では20ミリシーベルトとした。しかし、この数値については内閣官房参与の東大教授が「受け入れ難い」と抗議の辞任をしたこともあり、疑問の声がくすぶっている。ホントに大丈夫なのだろうか。...(以下、省略)
◆「「ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08)」 出処:(財)高度情報科学技術研究機構 →リンク http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-04-01-08
◆「国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告(Pub.103)の国内制度等への取入れに係る審議状況について
-中間報告-」 (2010年1月 文部科学省 放射線審議会 基本部会
)
◆「放射線物質に関する緊急とりまとめ」 内閣府 食品安全委員会
→PDF リンク http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_torimatome_20110329.pdf
以上

