子どもの内部被ばく検査と「ボディホールカウンター」
福島県に滞在している政府の原子力災害現地対策本部長が明らかにしました。
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子どもの内部被ばく検査 ~0~5歳先行 全国の測定器活用~ (福島民報 1面 2011年6月12日)
政府は、東京電力福島第一原発事故による県内の子どもの内部被ばく量を把握するため、国内にある100台以上の測定装置「ボディホールカウンター」を全面的に活用する。さらに、米国から5台を購入し、県内に優先的に配置する方針。放射線量の高い地域の0~5歳児から先行して検査を始め。長期的に健康状態を追跡していく。...(以下、省略)
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5月27日の二本松市長の声明(参考:Ceron.jp )や6月9日の伊達市 の決定(参考:小生ブログ )など、福島県内の子ども達の命と健康を守る取り組みが、加速しています。
私は、この動きを歓迎するとともに、まず政府のこの“約束”が必ず履行される事、専門家の意見を元に対象年齢を引き上げる事、妊婦さんにまで拡大する事を強く望みます。
福島県内各地での校庭の表土除去を引き合いに出すまでもなく、県民の多くは放射線の影響を受けやすいとされる子ども達、そして妊婦さんの健康被害を何よりも気遣っています。特に、親御さんや教育関係者の心労は測り知れません。
県内の小学校一学年当たりの人口が約2万人と、この検査の実施には手間とコストがかかりますが、国が最終的な責任を持ち、東京電力は相応のコスト負担をし、福島県が実行者として、公平に継続的に実施されるよう願います。
そして、この検査で活躍する「ボディホールカウンター」について。
記事中、福島県内には1台(福島県立医科大学)となっていましたが、実際は、原発から5Kmの大熊町オフサイトセンター(説明:原子力安全・保安院HP )に2台あったようです。
しかし『原発事故で高線量を浴びてしまったために使用できない(海江田経済産業大臣)』とのことで、1台となってしまいました。
1台で測れる人数は『10数人程度』(福島民報)ということで、小学生一学年を10日に分けて測定を実施しても200台必要となり、今回国内にあると言われている100台では一層の時間とがかかってしまいます。
また、今回米国から購入する経費は1億8千万円で、1台当たり3,600万円となっており、必要数を購入する場合、県で対応できる金額ではありません。
さらに、ボディホールカウンターは「精密型」か「簡易型」か、「簡易型」を使用した場合、分析できない核種をどのように扱うかなどの課題があり、また、子どもが恐怖心を感じないような仕様上の工夫なども必要かと思います。
*参考:「緊急被ばく医療における被ばく線量評価 ―内部被ばくを中心として―」緊急被ばく医療研修ホームページ
→PDFリンク http://www.remnet.jp/lecture/seminar/H22kisoII01.pdf
県内の「全ての子ども達の内部被ばく検査」に向けて、具体策が練られていくと思いますが、福島県には専門家の意見を収集し理論武装し、子ども達の命と健康を守るため、国や東京電力に対して主張を貫いてほしいと強い願います。
以上
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*参考「ホールボディカウンター」の一例
図出処:日本原子力研究開発機構ホームページ http://rphpwww.jaea.go.jp/
ガラスバッジと子どもたちの健康
ガラスバッジ。
病院のレントゲン室やCT室で仕事をする放射線技師が身につける、(放射線)積算線量計です。
とうとう、これを福島の子供たちが身につけるようになります。
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伊達市が子ども8千人に線量計 (福島民報 2011年6月10日)
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私は、この伊達市の決定は正しいと思います。
今後は、福島県として、これら児童・生徒を含め妊婦まで拡大し、全ての自治体への導入を検討してもらいたいと思います。
現在、福島の大地に降り注ぎ、大気中に漂う放射性物質から放たれる放射線の最大の被害者は子供達です。
暑くてもマスクをつけ登下校し、校庭や公園で遊ぶことができず、成長期の大切な時に細胞レベルに影響のある放射線の影響を受けなければなりません。
県内では、この子供達を守るために、親御さんや学校関係者が見えない放射線と闘っています。
まず、この線量計で放射線を“見える”化することだけでも、子ども本人を含めた関係者の不安は和らぐと思います。そして、日常生活で放射線の影響を少なくする、具体的な対策がたてられるようになります。
「その場で測定値が分からない」「測定限界値がある」などガラスバッチの性能上の限界はありますが、小さく、子ども達が携帯しても負担にはならないという利点があります。要は、行政側の運用次第です。
“ただちに健康に影響がない”と無責任な言葉が横行する中、この線量計は、子たち達を守る有効な道具となると思います。
原発事故が終息し放射線が遮蔽されるまでには、長い時間がかかります。
この間、特に子ども達が放射線の影響を極力受けないような対策を行政には取って欲しいと願います。
もちろん、この対策は測定された放射線量を元に立てられたものであることはいうまでもありません。
そのためにも、このガラスバッジは有効だと思います。
是非、福島県は国と東京電力に費用負担を求め、県内の全ての児童・生徒、そして妊婦にガラスバッチを身につ付けられるよう働きかけて欲しいと思います。
以上
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*資料
◆㈱千代田テクノル:ガラスバッチの概要など
→ リンク http://senkei.c-technol.co.jp/src/manual/monitoring/2monitor.html
◆「放射性物質による健康影響に関する 国立がん研究センターからの見解と提案」 より抜粋
1.住民の方々の実際の被ばく量を測定するよう国に求めていきます
放射性物質による健康への影響について住民の方々は多大な不安を抱いておられます。中でも、多くの情報が錯綜し、実際に住民の方々が受けておられる放射線被ばく量が測定されていないことが、不安を助長する大きな要因になっていると考えられます。被ばくには、飲食物などに含まれる放射性物質を摂取することで体内に蓄積される内部被ばくと、周囲の環境より浴びることによる外部被ばくとがありますが、外部被ばくは簡単に測定することが可能です。実際の数値を測定することにより、少なくとも、判らないことによる不安を大幅に軽減できることが期待されます。
よって、現在放射線被ばく量が高いとされている地域の住民の方々、特に20歳未満の子供や農業等の屋外作業に従事する方々を対象に、個人の被ばく放射線量測定装置(ガラスバッジ)により月単位の被ばく量測定を直ちに開始することを提案します
◆(前掲)伊達市が子ども8千人に線量計 (福島民報 2011年6月10日)
福島県伊達市は福島第一原発の事故を受け、7月上旬にも市内全ての小中学生と幼稚園児、保育園児合わせて約8千人に積算線量計を配布する。一人一人の放射線量を把握して対策を講じるとともに保護者の不安解消につなげる。仁志田昇司市長が9日、記者会見して明らかにした。
医療関係者らが使うバッジ型の積算線量計(ガラスバッジ)で24時間衣服などに着ける。約1カ月後に研究機関にバッジを送り、線量を分析。...(以下、省略)
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*追記(2011年10月7日)
◆福島民報: 「健康対策指示なし 子どものガラスバッジ結果通知」 (2011年10月6日)
外部被ばく量を測定する個人積算線量計(ガラスバッジ)の子どもらへの配布をめぐり、県民や市町村がどう健康対策に生かすか困惑している。伊達市は結果に福島医大の教授の所見を添付したが、今後の生活に対する指示はない。川俣町は今のところ、数値を通知するのみにとどまっている。一方、郡山市が5日に配布を始めるなど、全ての市町村がバッジか線量計を配る計画を持つ。県はバッジ配布に補助しているが、その後の対応は市町村任せ。国の支援もなく、関係者は疑問を投げ掛けている。
何を伝えれば/素っ気ない国
伊達市は3日から分析結果を対象者約8400人に配布した。結果には数値と、市健康管理アドバイザーの宍戸文男・福島医大教授のアドバイスを添付。今後除染でさらに数値が下がることや、健康被害がないと予測されることなどが記載されている。 ...(以下、省略)
