被災地訪問記(名取市閖上地区)
『閖上は見ておいたほうがいい』
昨夜、久し振りに会った仙台の友人から言われました。
閖上(ゆりあげ)地区 は名取市の沿岸部にあり、“約2,200世帯の約9割が津波で流され、住民約7,300人のうち約1,000人が死亡・行方不明”という甚大な被害を出した場所です。
友人はこうも言いました。
『あそこには行けない、行きたくない』
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現場は、一面の“空き地”でした。
人の住まわない家屋が数件あるだけで、夏草に埋もれた建物の基礎が整然と残る、広大な“空き地”でした。
しかし、2011年3月10日(木)以前の街並みを思い合わせると、眼前に広がる“空き地”からはそこに住んでいた方々の慟哭が聞こえ、住み慣れた街を追われた悲しみと嘆きが私の胸を覆いました。
この街全体を襲った惨劇の場に立つと、私達が語る復旧・復興という言葉が空虚に聞こえます。
先が見えない。足がかりがつかめない。どうすればいい。
こんな絶望ともいえる感情を抱きながら、生活を整え再建しなければならない住民の方々の心中は察するに余りあります。
間違いなく、時間がかかります。普段の、何気なかった日常を取り戻すために乗り越える壁は多くあろうかと思います。
私は関心を持ち続け、津波被害からの復興の歩みにできることをしてゆきたいと思います。
◇今日の閖上地区
・閖上地区に向かう県道
・閖上中学校
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*参考
◆朝日新聞 「宮城県名取市閖上(ゆりあげ)の空撮」(2011年3月13日撮影)
◆東京理科大学 佐藤大樹氏 「名取市閖上被害」(PDF)
◆朝日新聞 「津波がのんだ『閖上神話』」(2011年5月2日 兵庫版)
◆河北新報 「 証言/避難者大混乱、名取・閖上公民館/誘導あだ 多数の犠牲者」(2011年8月3日)
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*追記(2012年3月3日)
◆日本経済新聞:津波は対抗せずやり過ごせ 名取市・閖上の箱舟構想(2012年3月3日)
2011年3月11日に起きた東日本大震災から早くも1年になる。マグニチュード(M)9.0の巨大地震は津波を誘発。東北地方沿岸部の多くの町が壊滅的な被害を受け、福島第1原子力発電所は深刻な事故を起こすに至った。多大な代償と引き換えに得た教訓で、安全をいかに再生するか。宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区では、住民の生命を守る新たなまちづくりの一案として、「箱舟構想」が浮上している。
...(以下、省略)
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*追記
◆毎日新聞:宮城・閖上 ボランティアら100人が捜索(2013年2月9日)
東日本大震災で700人以上が死亡・行方不明となった宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区で9日、遺族やボランティアが海岸を捜索した。家族2人を亡くし、長男(当時8カ月)ら2人が行方不明のままの竹澤守雅さん(45)夫妻=仙台市若林区=の思いを知ったボランティアが呼びかけ、福島県南相馬市などから約100人が集まった。...(以下、省略)
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*追記(2013年8月27日)
◆河北新報:名取市 閖上の誘導状況など検証開始 第三者委が初会合(2013年8月27日)
東日本大震災で大勢の住民が犠牲となった宮城県名取市閖上地区で、当時の避難誘導の状況などを検証する第三者検証委員会の初会合が26日、市文化会館で開かれた。今後の進め方などを話し合い、年度内の報告書作成を目指す方針を確認した。遺族らは二度と惨事を繰り返さないよう、事実解明の徹底を求めている。...(以下、省略)
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*追記(2013年9月22日)
◆毎日新聞 2013年9月22日付け 紙面より
...閖上地区の復興計画が進まない現状を伝える記事。行政と住民の意見のすれ違いや、他地区の進行具合の差を記載。“ボタンの掛け違い”が住民の生活、人生に影響を与えてしまっている様子が伝わり、事の難しさを痛感しました。
大川小学校...幼い命を守るために
そばには、やや傾斜の険しい山がありました。
宮城県石巻市立大川小学校。昨日訪れた現場は、瓦礫処理の重機やトラックがせわしなく動き回る中、ひっそりとしていました。
3.11、大地震で太平洋に発生した大津波が、“鋭利な”追波湾でさらに高められ、大河・北上川を猛スピードで遡上し、この大川小学校をのみ込みました。
死亡・行方不明74名。
多くの幼い命が奪われ、親御さんに深い悲しみをもたらしました。
何が起こったか?
地元・宮城の新聞記事に詳しく記載されています。
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◇河北新報 「検証 石巻・大川小の惨事/証言でたどる51分間」 (2011年9月8日)
◇河北新報 大川小学校関連記事
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津波に対する備えが無かった。
避難場所が明確でなかった。
“津波が来る!”との声に、教師が即応できなかった。
山の斜面がきつすぎて子ども達には登れないと思いこんでしまった。
...等
石巻教育員会から遺族に説明があったようですが、公表されていない中、その原因は想像するしかありませんが、多くの要因が重なり多くの犠牲者が生まれたことは確かなようです。
しかし、親や大人の力や機転で助かった児童がいることから、この被害は人災の面を否定できないと思います。
子どもを守る為に日頃からその策を考え、動けるようにしておくという、当たり前の事を確実にしなければならない。
未だ行方不明児童がいる中、心苦しくはありますが、“大川小学校の教訓”を学校教育や教育行政に生かしてゆくことが私達に課せられた使命だと思います。
改めて、犠牲となった子ども達の冥福を、心から祈ります。
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以上
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*参考資料
◆動画(YouTube):「石巻市立大川小学校の近くに押し寄せた津波」 (アップロード先:SankeiNews)
◆読売新聞:「大川小、教師間の議論が原因で避難に遅れ」(2011年6月4日)
◆石巻市:教育委員会議事録「教育委員会第4回定例会記録」(2011年4月28日、PDF)
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*追記(2013年2月5日)
◆毎日新聞:津波被害:宮城・大川小前の水抜き捜索 児童4人不明(2013年2月5日)
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*追記(2013年2月11日)
◆毎日新聞:大川小事故、検証委が現地視察 午後初会合(2013年2月7日)
東日本大震災の津波で宮城県石巻市立大川小学校の児童と教職員計84人が死亡・行方不明となった問題で、当時の避難状況などを調べる第三者機関「大川小学校事故検証委員会」が7日午後、同市で初会合を開く。会合に先立ち委員らは午前、遺族とともに被災した同市釜谷の同小校舎を視察した。
検証委は、防災教育の専門家や大規模事故の遺族団体代表ら委員6人と、資料の調査・分析など実務的な作業を担う弁護士ら4人の作業チームの計10人で構成。...(以下、省略)
◆河北新報:遺族「十分な解明を」 大川小事故検証委、初会合の内容説明
(2013年2月11日)
東日本大震災の津波で児童・教職員84人が死亡、行方不明になった宮城県石巻市大川小の事故検証委員会が調査に着手したことを受け、児童の遺族に検証の方針などを説明する報告会が10日、石巻市であった。遺族からは、事実関係の十分な解明や将来の防災に役立つ検証を求める声が上がった。
報告会は非公開で開かれ、遺族ら約30人が出席した。検証委の事務局を務めるコンサルティング会社、社会安全研究所(東京)が、文部科学省や宮城県教委の担当者とともに、7日に開いた初会合について説明した。...(以下、省略)
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*追記(2013年3月3日)
◆日本経済新聞:宮城・大川小で三回忌の合同法要 遺族ら300人以上参列(2013年3月3日)
東日本大震災の津波で児童と教職員計84人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校の三回忌の合同法要が3日、同市内の斎場で営まれた。2年生の長男を失った父は今も埋めがたい喪失感を抱えたまま。犠牲になった同小教諭の妻はこの日に先駆け、夫が担任していた児童の家庭を初めて弔問した。...(以下、省略)
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*追記(2013年8月27日)
◆福島民報 2013年7月8日付け 紙面より
...事故の検証委員会が中間報告書を遺族に提示したことを伝える記事。
『...同校が近年、津波を想定した訓練を検討、実施していなかったとみられるとの中間報告書が示された』
・2013年8月26日付け
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*追記(2014年1月22日)
◆河北新報 2014年1月20日
...案ではありますが、とうとう最終の報告書。
『真実に迫ろうとしても、迫れない部分がたくさんあった。ただ完全に分からなければ、教訓を出せないわけではない』(事故検証委員長、31面記事より)
[最終報告案 骨子] *一面より
・避難開始に関する教職員の意思決定が遅れ、避難先として河川防波堤に近い「三角地帯」を選択したことが、最大の直接的要因と結論付けられる。
・校庭に避難していた教職員の災害情報収集は受け身、待ちの姿勢で、積極的に情報を集める姿勢が十分ではなかった。
・教職員の津波に対する危機感は時間の経過とともに徐々に高まったが、即座に校庭からの避難を検討、決断するほど強くはなかった。
・学校の災害対応マニュアルは津波災害を具体的に想定せず、防災体制の運営・管理が十分ではなかった。
・教職員全体として津波・防災や危機管理に対する知識が十分ではなく、地理的条件など学校周辺の状況を把握していなかった。
・学校や市教委の被災直後の対応は十分と言い難く、児童や遺族、保護者へのケア対策も継続性、系統性が見られない。
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*追記(2014年2月27日)
◆福島民報 2014年2月27日付け 紙面より
...“大川小学校”の悲劇の教訓。国は市町村の要望に応じて、滞りなく速やかに財源と情報の提供をするように求めます。
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*追記(2014年4月1日)
◆福島民報 2014年4月1日付け 紙面より
...『南海トラフ想定7県 小中学校の4割 津波浸水地域に』
「大川小学校」の検証は完結していませんが“子どもを守る”ための施策は強力に推し進めて欲しいと思います。
[ハイリスク小中学校]
神奈川7校、静岡17校、愛知8校、三重12校、和歌山2校、徳島3校、高知3校
*条件
①海岸から1km以内 (大川小学校は約5km)
②海抜5m以内 (大川小学校は約2m)
③津波浸水地域
④近隣に避難できる高台がない (大川小学校の避難選定先は海抜が約5m)









