歌舞伎-加賀鳶 二
竹垣道玄-市川團十郎は序幕で登場した加賀鳶衆組頭梅吉との二役で180度性格の違う役を演じます。
一方は巫山戯た小悪党、一方はいなせな鳶の親方と。
二幕から先は道玄を演じるのだけれど、切り替えは数分の幕間のうちでした。
なかなかの役者です。(当たり前か…)
ところは帳の下りた御茶ノ水。
青梅の百姓太次右衛門(片岡松之助)が登場。
どうやら腰を痛めた様子で座り込んでしまいます。
そこへ通りかかるは杖をついた盲按摩、これが道玄、最初は儘ならぬ太次右衛門に優しく近づき按摩介抱するものの、懐に重い物があると知るとバッサリ殺して奪い取るという悪行です。
そこへ偶々通るは加賀鳶日陰町松蔵(片岡仁左衛門)道玄の落としたタバコ入れを拾って月明かりの中、一思案と。
悪人と探偵役が入れ代わる。ええ、これ、サスペンスとしてなかなかの導入だし、緊張感のある場面です。なのだけれど道玄の性格付けをよく表すシーンでもあって、ともかく動きがコミカルです。
それで一抹の愛嬌を持たせてみせる。
これが芝居全体の特徴を印象づけてもいて、話し自体はかなり理不尽というか、今の時代に合わせて考えると不条理なのだけれど、だからこそ悪人道玄の滑稽な姿を楽しめるのですね。
三幕
破となる重要で長い場面です。
場所は本郷菊坂の盲長屋。
いわゆる九尺二間の貧乏長屋で同じめくら按摩を生業にする者がまとまって住んでいるというところです。
道玄の女房おせつ(市川右之助)が実は殺された太次右衛門の妹で道玄からは邪険にされているというので行く末を案じている。
そうしてここへ姪のお朝(澤村宗之助)がやってきます。
お朝は芝居にはほとんど出てこないのだけど非常に重要で金貸し伊勢屋と道玄を結ぶ要の役です。
お朝は伊勢屋に奉公に出ていて、そこの主人に叔母の暮らし向きの大事を伝えたら同情を買って五両の大金をくれたというのでそれを持ってきたのです。
そこへ道玄がちょうど帰ってきておせつとお朝の話を戸の外から伺います。
舞台の端になるのだけどこの辺の動きも非常に面白いです。
そして素速く悪事の算段を働かせると、まずはおせつを伊勢屋に礼に行くよう追い出し、お朝と二人になったところでお朝には伊勢屋の主人に手込めにされたのだろうと問いつめます。
一向にこれを認めないお朝に業を煮やした道玄は相棒の情婦お兼(中村福助)と共謀してお朝を人身売買の身売りに預け、お朝が伊勢屋の主人に弄ばれたという贋の手紙をでっち上げ、伊勢屋を強請ろうと企むのでした。
と、まあ、ここまでが三幕一場。
かなりの尺があります。
静かな語りも多いので油断していると眠くなりますね。
それから最後の方に出てくる口入れ屋、または口入れ人というのは奉公先などを斡旋して手数料を得る商売なんだけど、よく言えば人材派遣といったところだそう。
とはいえ良く言われるばかりじゃないというのはいつの時代も同じだとのことで、悪い口入れも少なからずあったのですね。
この辺り、実は江戸の都市構造の問題点にもあるのだそう、公共事業としての埋め立てをすると、埋め立てられた土地は安定するまで時間がかかるので、人を呼ぶ必要があるということで遊郭を建造、男が増えると共に置屋が増えて、女衒が跋扈するようになると。
うーん。見た目こそ違えどその構造は今とそれほど変わらないのかもしれませんね。
つづく
一方は巫山戯た小悪党、一方はいなせな鳶の親方と。
二幕から先は道玄を演じるのだけれど、切り替えは数分の幕間のうちでした。
なかなかの役者です。(当たり前か…)
ところは帳の下りた御茶ノ水。
青梅の百姓太次右衛門(片岡松之助)が登場。
どうやら腰を痛めた様子で座り込んでしまいます。
そこへ通りかかるは杖をついた盲按摩、これが道玄、最初は儘ならぬ太次右衛門に優しく近づき按摩介抱するものの、懐に重い物があると知るとバッサリ殺して奪い取るという悪行です。
そこへ偶々通るは加賀鳶日陰町松蔵(片岡仁左衛門)道玄の落としたタバコ入れを拾って月明かりの中、一思案と。
悪人と探偵役が入れ代わる。ええ、これ、サスペンスとしてなかなかの導入だし、緊張感のある場面です。なのだけれど道玄の性格付けをよく表すシーンでもあって、ともかく動きがコミカルです。
それで一抹の愛嬌を持たせてみせる。
これが芝居全体の特徴を印象づけてもいて、話し自体はかなり理不尽というか、今の時代に合わせて考えると不条理なのだけれど、だからこそ悪人道玄の滑稽な姿を楽しめるのですね。
三幕
破となる重要で長い場面です。
場所は本郷菊坂の盲長屋。
いわゆる九尺二間の貧乏長屋で同じめくら按摩を生業にする者がまとまって住んでいるというところです。
道玄の女房おせつ(市川右之助)が実は殺された太次右衛門の妹で道玄からは邪険にされているというので行く末を案じている。
そうしてここへ姪のお朝(澤村宗之助)がやってきます。
お朝は芝居にはほとんど出てこないのだけど非常に重要で金貸し伊勢屋と道玄を結ぶ要の役です。
お朝は伊勢屋に奉公に出ていて、そこの主人に叔母の暮らし向きの大事を伝えたら同情を買って五両の大金をくれたというのでそれを持ってきたのです。
そこへ道玄がちょうど帰ってきておせつとお朝の話を戸の外から伺います。
舞台の端になるのだけどこの辺の動きも非常に面白いです。
そして素速く悪事の算段を働かせると、まずはおせつを伊勢屋に礼に行くよう追い出し、お朝と二人になったところでお朝には伊勢屋の主人に手込めにされたのだろうと問いつめます。
一向にこれを認めないお朝に業を煮やした道玄は相棒の情婦お兼(中村福助)と共謀してお朝を人身売買の身売りに預け、お朝が伊勢屋の主人に弄ばれたという贋の手紙をでっち上げ、伊勢屋を強請ろうと企むのでした。
と、まあ、ここまでが三幕一場。
かなりの尺があります。
静かな語りも多いので油断していると眠くなりますね。
それから最後の方に出てくる口入れ屋、または口入れ人というのは奉公先などを斡旋して手数料を得る商売なんだけど、よく言えば人材派遣といったところだそう。
とはいえ良く言われるばかりじゃないというのはいつの時代も同じだとのことで、悪い口入れも少なからずあったのですね。
この辺り、実は江戸の都市構造の問題点にもあるのだそう、公共事業としての埋め立てをすると、埋め立てられた土地は安定するまで時間がかかるので、人を呼ぶ必要があるということで遊郭を建造、男が増えると共に置屋が増えて、女衒が跋扈するようになると。
うーん。見た目こそ違えどその構造は今とそれほど変わらないのかもしれませんね。
つづく
歌舞伎-加賀鳶
めくら按摩の竹垣道玄、先が見えぬから藪医者とはいうものの、その上をいくお先真っ暗。これが竹垣。
盲長屋に住まうものの実は目明けの小悪党というから始末が悪い。
この按摩道玄を主役においたのが『盲長屋梅加賀鳶』
黙阿弥作のしらなみ物と呼ばれる芝居です。
白浪物というのは、大陸の先史三国時代、黄巾党の残党が河西は白波谷に立てこもったところ、後に盗賊自体を白波族と呼ばれるようになり、本邦に伝わったあと訓読みでしらなみと云われるようになったことで、盗賊が主役の芝居を白浪物と呼ぶようになったそうです。
序幕は座員勢揃いの顔見せ場面。
加賀藩前田家お抱えの大名火消し加賀鳶連中が、雷模様の長半纏にまさかり形の髷姿で勢揃い。花道に並んで口上言い。
加賀藩大名火消しと江戸本郷町町火消し衆の間でケンカがあるというので挙って勢揃いしたわけです。
火事と喧嘩は江戸の華とはこの大名火消しと町火消しの対抗意識に根ざした言葉らしいです。
まず当時の消火は破壊消火で、火がついた建物の隣を破壊してさらに隣りへ延焼するのを防ぐのですね。
それで、火消しや町人の間でどこを破壊するかしないかでケンカになることが多かったらしい。
家が燃えたら元も子もないけど破壊される方はたまったものではないでしょう。
また武家屋敷などが絡むとやはり大名火消しも出動してくる。
すると町火消しと大名火消しの間で縄張り争いというか、どっちを壊すどこを壊すこっちが壊すだので揉めてケンカになると。
しかし江戸に起こる火事はただ事ではないのだけど、一方で復興特需を生む原動力にもなっていたので江戸の経済を下支えしていたのもあり、火事の被害にあった人たちには各所から救援が届いたそうだし、それがわかっているから現場の喧嘩もカラッとしたものであとを引かないと、そういうことだったんですね。
さて、本題に戻り。
この歌舞伎のスターシステムに圧巻の場面。
ただし、物語自体にはほとんどなんの関係もなく、この幕だけしか出てこない役者もいるので本当に顔見せ。
まさに歌舞伎といった場面です。
二幕からいよいよ物語が動き出し、竹垣道玄(市川團十郎)が登場。
長くなったので以下次回。(苦笑)
盲長屋に住まうものの実は目明けの小悪党というから始末が悪い。
この按摩道玄を主役においたのが『盲長屋梅加賀鳶』
黙阿弥作のしらなみ物と呼ばれる芝居です。
白浪物というのは、大陸の先史三国時代、黄巾党の残党が河西は白波谷に立てこもったところ、後に盗賊自体を白波族と呼ばれるようになり、本邦に伝わったあと訓読みでしらなみと云われるようになったことで、盗賊が主役の芝居を白浪物と呼ぶようになったそうです。
序幕は座員勢揃いの顔見せ場面。
加賀藩前田家お抱えの大名火消し加賀鳶連中が、雷模様の長半纏にまさかり形の髷姿で勢揃い。花道に並んで口上言い。
加賀藩大名火消しと江戸本郷町町火消し衆の間でケンカがあるというので挙って勢揃いしたわけです。
火事と喧嘩は江戸の華とはこの大名火消しと町火消しの対抗意識に根ざした言葉らしいです。
まず当時の消火は破壊消火で、火がついた建物の隣を破壊してさらに隣りへ延焼するのを防ぐのですね。
それで、火消しや町人の間でどこを破壊するかしないかでケンカになることが多かったらしい。
家が燃えたら元も子もないけど破壊される方はたまったものではないでしょう。
また武家屋敷などが絡むとやはり大名火消しも出動してくる。
すると町火消しと大名火消しの間で縄張り争いというか、どっちを壊すどこを壊すこっちが壊すだので揉めてケンカになると。
しかし江戸に起こる火事はただ事ではないのだけど、一方で復興特需を生む原動力にもなっていたので江戸の経済を下支えしていたのもあり、火事の被害にあった人たちには各所から救援が届いたそうだし、それがわかっているから現場の喧嘩もカラッとしたものであとを引かないと、そういうことだったんですね。
さて、本題に戻り。
この歌舞伎のスターシステムに圧巻の場面。
ただし、物語自体にはほとんどなんの関係もなく、この幕だけしか出てこない役者もいるので本当に顔見せ。
まさに歌舞伎といった場面です。
二幕からいよいよ物語が動き出し、竹垣道玄(市川團十郎)が登場。
長くなったので以下次回。(苦笑)
マリノス
今週のマリノス、アウェーで鹿島アントラーズ戦だったのは周知のことだと思いますが、テレビでやってない!
スカパー!でもみられないチャンネルなんですね。
ガックシ。
しかも結果がさらにガックシという…。
スカパー!でもみられないチャンネルなんですね。
ガックシ。
しかも結果がさらにガックシという…。