荒野へ
原作は、映画とちょっと違った面白さがあった。
自由を求めて放浪の旅にでて、アラスカで餓死した若者は、自然を甘く見た傲慢な若者だったのか?っていう議論について書かれている部分が結構多い。
でも、若者の青春なんて、間違っててナンボだもんね。
それで、映画のDVDが欲しくなって、久しぶりに中野ブロードウェイに行った。
ブロードウェイはやっぱり楽しい。
欲しいものがいっぱい売ってる。
結局、「イン・トゥ・ザ・ワイルド」のDVDと、「カミュなんて知らない」の中古DVDが1500円だったので、買っちゃった。
まんだらけに入ったら、すごく好きなタイプの曲がかかってた。
店員に聞いてみたら、「長谷川健一」っていう聞いたこと無い人の曲らしい。
サイケデリックで、オルタナティブで、70年代フォークっぽくて、すごくいいと思った。
ネットで調べたら、京都で活動してるひとらしい。
CDどっかに売ってないかな。
「おくりびと」見たけど
「おくりびと」、レンタル開始してたので、借りてきて観た。
面白いところもあるけど、これが日本を代表するような映画だと思われたらすごくイヤだな。
いろいろ嫌いなところがある。まず、ずっと気になるのは、「お金」のこと。
モッくんは、片親に育てられて、つつましい人生を送ってきたわりには、経済感覚がおかしい。
そもそも、子供のころからチェロを習うなんて、お金持ちである。
プロの楽団に入ったからって、千何百万かのチェロを買うなんて、普通の人の感覚とは違っている。
山崎努の面接では、いきなり給料50万って話が出る。
葬儀の業界のお金にまつわるダークな部分も描くのかと思って期待をしたけど、「この仕事、儲かるんだよ」っていうシーンは、そのシーンだけ。
で、モッくんは、動機がはっきりしないまま、納棺師になっていく。これは、現実で考えたら、金のためとしか思えない。だけど、それはあまり描いていない。納棺師は、あくまで美しい仕事として描かれてる。
もう一点、すごく嫌いなシーンがあった。
前半で、納棺師に対する差別を描いているのに、モッくんの父親が死んだ時の、葬儀屋の描き方!すごく差別的だ。葬儀屋は汚い仕事だけど、納棺師は美しい仕事だって思ってるんだろうか。
ところで、俺、6年くらい前に、「おくりびと」とすごく似てる企画書を書いていたことを思い出した。
「おくりびと」と共通してる点がかなりあるんだけど、企画はプロデューサーに相手にされなかった。
俺的には、「おくりびと」より、こっちの方が、まだいいんじゃないかと思うんです。稚拙なところもあるけど。
なので、ちょっと、載せちゃいます。長いので、興味のない人は読んでくれなくてもいいです。
「おくりびと」が出たから、この企画が今後通ることはないだろうしね。
落語って要素も出てくるけど、これ、「タイガー&ドラゴン」より前に書いたものなので、あしからず。
「葬儀屋の恋」
物語
池端俊平(25)は、才能のない売れない落語家だった。以前は有名な落語家の門弟にいたが、酒癖が悪い事が原因で破門にされてしまった。現在は師匠の力に頼らず、自力でお笑いライブに出演したりして、成功を夢見ている。
俊平には宇野知佳子(24)という彼女がいた。俊平は知佳子と結婚を望んでいたが、知佳子はこう言った。「私、将来の見えない人とは付き合えないの。私と結婚したいんだったら、ちゃんとした仕事に就いて!」
俊平は、落語家の道を捨てて、就職活動を始める。
「今まで落語家しか考えた事なかったから、就職するっつっても、何したらいいかわかんないよ」
俊平の言葉を聞いた知佳子は言った。
「じゃあさ、結婚式場にでも就職すれば? そしたら私たちが結婚する時、社員割引とかしてくれるかもわかんないでしょう?」
俊平が面接を受けたのは、冠婚葬祭の専門会社。面接官は、俊平が落語をしていたという話を聞いて、言った。「採用! 今日の通夜で落語を一席披露してくれないかな。ホトケさんが大の落語ファンだったらしいんだよ」
何が何だかわからないうちに俊平は通夜に連れていかれ、落語を一席打つことに。
俊平の落語がこんなにありがたがれたのは初めてだった。
冠婚葬祭と聞いて、結婚式の事ばかり考えていたが、俊平が配属されたのは葬式を扱う典礼事業部だった。
その日から俊平の葬儀屋としての日々が始まる。俊平は、失敗を繰り返しながらも成長していく。
だが、知佳子と結婚するために選んだ職業が、あだとなってしまった。知佳子の母の智子は、知佳子を葬儀屋なんかと結婚させたら、死んだ知佳子の父親に顔向け出来ないと言って、結婚を許そうとしなかった。
またしても俊平は、知佳子との結婚をとるか葬儀屋の仕事をとるか選択をしなければならなくなる。しかし、今度は落語家をやめた時のようにはいかなかった。俊平は葬儀屋の仕事を捨てられなかったのだ。
時間をかけて知佳子の母を説得しようと思っていた矢先、智子が倒れたのだ。
俊平は病室に駆けつけた。病床で意識を朦朧とさせた智子は、死んだ知佳子の父親に話しかけるかのように独り言を言っていた。
「お父ちゃん、ごめんね。知佳子の花嫁姿見れそうにないわ」
俊平は思わず嘘を言った。
「お母さん、しっかりしてください! 僕、葬儀屋はやめましたから! 知佳子さんを僕が幸せにしますから! だから、せめて知佳子さんの花嫁姿を見るまで、いや、孫の顔を見るまで頑張ってください!」
生死の境をさまよう智子は、俊平のことを死んだ夫と間違えた。
「お父ちゃん、迎えに来てくれたんか? ごめんね。知佳子を嫁に出すまでは頑張ろうと思ったんやけど……」
知佳子が叫んだ。
「お母ちゃん、しっかりして! この人はお父ちゃんじゃないよ! 俊平さんだよ!」
「お父ちゃん、私はもうそっちに行くけど、知佳子の事は心配しなくていいよ。俊平さんっていう人が守ってくれるから」
智子は、口では俊平との結婚を反対していたが、本心では知佳子が望む相手と結婚してほしいと思っていたのだった。
智子は息をひきとった。智子の葬儀は、はじめて俊平が責任者となって執り行う葬儀となった。
(完)
