マニアックな受験算数「中国剰余定理」 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

中国の算術書に起源をもつ「中国剰余定理」という数のあまりについての定理を取り上げた問題です。

 

次の文章を読み、あとの問いに答えなさい。(三重中2024)

ある日、教室でAさんがBさんにマジックをひろうしています。
A「Bさん、あなたの年れいを3で割った余りはいくつですか?」
B「2」
A「5で割った余りは?」
B「1」
A「7で割った余りは?」
B「4」
A「う〜ん…、ということは…、Bさんの年れいは▢才だ!」
B「正解!でも同級生なんだから、二択で正解してしまうよ。」
A「そうだね。それじゃあBさんが思いうかべた2けたの数をあてよう。何でもいいから好きな数字を1つ決めてください。」
B「…、よし、決まった!」
A「その数を3で割った余りはいくつですか?」
B「2」
A「5で割った余りは?」
B「3」
A「7で割った余りは?」
B「2」
A「よ〜し、ちょっと待ってて…、あなたが思いうかべた数字は23ですね。」
B「正解!なんで分かったの!?」

AさんがBさんにひろうしたマジックは「数理マジック」と呼ばれるものです。数理マジックは、数学の知識を利用したマジックです。ここで利用した数学の知識は、「中国剰余定理」というもので、3〜5世紀ごろ成立したと言われている中国の算術書『孫氏算経』にも登場します。

では、どうやってAさんがBさんの数字をあてたか、具体的に見ていきましょう。

3つの余りを答えてもらったら、次のように、3つの数字を求めます。

5と7の最小公倍数は35
→35の倍数のうち3で割った余りが2であるもの…140
3と7の最小公倍数は21
→21の倍数のうち5で割った余りが3であるもの…63
3と5の最小公倍数は[ア]
→[ア]の倍数のうち7で割った余りが2であるもの…[イ]

3つの数字の和は140+63+[イ]=[ウ]です。ここで、3と5と7の最小公倍数は[エ]なので、[ウ]が2けたの数になるように[エ]を[オ]回引くと、相手が思いうかべた数字の23になります。

⑴ 文章中の[ア]〜[オ]にあてはまる数を答えなさい。

 

右矢印右矢印右矢印

  • 『3と5の最小公倍数はア・15→[ア・15]の倍数のうち7で割った余りが2であるもの…イ・30
  • 『3つの数字の和は140+63+[イ・30]=ウ・233です。ここで、3と5と7の最小公倍数はエ・105なので、[ウ・233]が2けたの数になるように[エ・105]をオ・2回引くと、相手が思いうかべた数字の23になります。』

 

⑵ 文章中の▢にあてはまる数を答えなさい。

 

右矢印 問題文より、Bさんの年れいを3で割った余りは2、5で割った余りは1、7で割った余りは4

  1. たとえば(5と7の最小公倍数)35の倍数のうち3で割った余りが2の数として140(3と7の最小公倍数)21の倍数のうち5で割った余りが1の数として21(3と5の最小公倍数)15の倍数のうち7で割った余りが4の数として60を考える
  2. このとき3つの数の和は140+21+60=221。ここで221が2けたの数になるように105を2回引くと221-105×2=11
よって▢=11 
 

⑶ 下線部Xについて、中国剰余定理によると、「3, 5, 7」以外の数字の組でも、「どの2つの数も1以外の公約数を持たない数字の組」であれば、数理マジックで使うことができます。次のア〜エのうち、数理マジックに使うことができる数の組はどれですか。記号ですべて答えなさい。
 ア 2, 3, 4    イ 3, 4, 5   
 ウ 12, 21, 28    エ 22, 35, 39

 

右矢印 順に見ていくと

  • ア…2と4は1以外の公約数2を持つので❌
  • イ…
  • ウ…12と21は1以外の公約数3を持つので❌
  • エ…

よってイとエ

 

⑷ Bさんは、この数理マジックを利用して担任のC先生の年れいを聞き出そうとしました。しかし、質問をするときに数をまちがってしまったため、次のような情報が得られました。
   C先生の年れいを2で割った余りは1である。
   C先生の年れいを5で割った余りは2である。
   C先生の年れいを7で割った余りは5である。
このとき、C先生が正しく答えていたとすると、C先生の年れいは何才ですか。

 

右矢印 C先生の年れいを「2で割った余りは1」、「5で割った余りは2」、「7で割った余りは5」だから

  1. たとえば5と7の最小公倍数35の倍数のうち2で割った余りが1の数として35、2と7の最小公倍数14の倍数のうち5で割った余りが2の数として42、2と5の最小公倍数10の倍数のうち7で割った余りが5の数として40がある
  2. このとき3つの数の和は35+42+40=117。ここで117が2けたの数になるように70を1回引くと117-70=47
よってC先生は47才 完了