流水算2024④ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

今年出された流水算の問題の第4回です。

 

  その1(三田学園2024)

 

時速1.5kmの速さで流れている川を、上流のA地点から下流のB地点まで船で往復しました。下りは54分、上りは99分かかりました。A地点からB地点までの距離(きょり)は何mですか。

 

右矢印 流速が一定のとき上りと下りの速さの差は流速の2倍となる(下りは流速がプラスに働き、上りは流速がマイナスに働くから)。これを使うと

  1. 下りは54分、上りは99分」かかったから速さの比は時間の逆比で下り:上り=99:54=⑪:⑥
  2. この差⑤が流速(時速1.5km)の2倍だから ⑤=1.5×2=3 より ①=時速0.6km

よって下りの速さ⑪は時速6.6kmだからAB間の距離は

6.6×54÷60=5.94km=5940m

 

 

  その2(田園調布学園2024)

 

川にそって48kmはなれたA、B2つの町があります。ある船がB町を出発してA町まで上るのに8時間かかりました。その後、A町からB町まで下るときは、川の流れの速さが2倍になったので4時間かかりました。この船の静水での速さは時速何kmですか。

 

右矢印 船の静水時の速さを時速▢kmとする。

  1. 上るときの川の流れの速さを①とすると「下るときは、川の流れの速さが2倍になった」から下るときは②。このとき上りの速さは▢-①、下りが▢+②だから上り下りの速さの差は③(流速が一定ではないので上り下りの速さの差は流速の2倍とはならない)
  2. かかった時間をみると上り:下り=8時間:4時間=2:1だからその逆比で速さの比は上り:下り=1:2。この差1が③だから速さは上りが③、下りが⑥だった
  3. 実際は「48kmはなれた…A町まで上るのに8時間」かかったから上りの速さは時速6km。これが③だから①=時速2km
よって船の静水での速さ▢は
(上りの速さ③)+(上りの流速①)=6+2=
時速8km

 

 

  その3(雙葉2024)

 

下流にあるA地点と上流にあるB地点は、5733m離れています。兄はボートをこいでA地点を出発し、B地点に着いたら折り返し、2時間後にA地点に戻ってきました。静水時の兄がこぐボートの速さと川の流れの速さは一定で、その比は10:3です。(雙葉2024)
⑴ 兄はA地点を出発してから、何時間何分後にB地点に着きましたか。

 

右矢印静水時の兄がこぐボートの速さと川の流れの速さは一定で、その比は10:3」より静水時のボートの速さを⑩、流速を③とする

  1. このとき速さの比は上り:下り=(⑩-③):(⑩+③)=⑦:⑬。すると速さの逆比でかかる時間の比は13:7
  2. 兄はA地点を出発してから「2時間後にA地点に戻って」きたから、行き(上り)にかかった時間は全体(120分)の¹³⁄₂₀
よって兄がB地点に着いたのは

120分×¹³⁄₂₀=78分=1時間18分後

 

⑵ 川の流れの速さは分速何mですか。

 

右矢印右矢印右矢印

  1. 兄は「5733m離れて」いるAB間を78分で上ったから上りの速さは分速73.5m(=5733÷78)だった
  2. これが⑦だから①=分速10.5m

よって川の流れの速さ③は

10.5×3=分速31.5m

 

⑶ 兄がA地点を出発したのと同時に、弟もボートでB地点を出発しました。弟は、ボートをこがずに川の流れにまかせて進み、兄と2回出会ってA地点に着きました。弟が2回目に兄と出会うのは、2人が出発してから何時間何分何秒後でしたか。

 

右矢印右矢印右矢印

  1. 兄が(弟と1回目に出会ったあと)B地点に着くのは1時間18分後(小問⑴)。このとき弟(分速31.5m)がいる場所は(31.5×78=2457より)B地点から2457m下流地点
  2. この弟に兄が追いつくときが弟と2回目に出会うときだから距離2457mの追いつき算を考える。すると2人の速さの差は(2人とも下りなので流速が打ち消されて船の静水時の速さ⑩だけになるから)10.5×10=分速105m
  3. したがって兄が弟に追いつくのは(2457÷105=23.4分より)B地点を出てから23分24秒後
よって弟が2回目に兄と出会うのは
1時間18分+23分24秒=
1時間41分24秒後 完了