円の回転数③ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

円を転がしたときの距離や回転数はどうなるかという問題の第3回です。
 

現在使われている1円玉硬貨(こうか)の直径は2cmです。この1円玉硬貨を以下のように円盤(ばん)の周りをすべらせずに回転させながら、移動させることを考えます。ただし、円盤は動きません。次の各問いに答えなさい。(早稲田実業2024)
⑴ 最初に、円盤を別の1円玉硬貨として、図1のように1円玉硬貨を真上の位置から、矢印の方向にすべらせずに回転させながら、移動させます。次の①、②に答えなさい。
① 図2のように、ちょうど真横の位置まで移動させたとき、移動させている1円玉硬貨の表面の文字の向きは、図3の㋐~㋓の中のどれになっていますか。記号で答えなさい。


 

 

右矢印 円が動いた距離=円の中心が動いた距離だから1円玉の中心が動いた距離をしらべると

  • 1円玉硬貨の直径は2cm」だからその円周は2×3.14㎝…❶
  • 図2のように「ちょうど真横の位置まで移動」したとき1円玉の中心は半径2㎝の円周を¼周するから(2×2×3.14×¼=3.14より)その移動距離は3.14㎝…❷

よって❷÷❶=½より移動させている1円玉は½周したからその文字の向きは 

 

② ちょうど1周して再び図1の位置に戻ってきたとき、1円玉硬貨の表面の文字の向きも図1と同じになりました。移動させている途(と)中で、1円玉硬貨の表面の文字の向きが図3の㋐になったのは、何回ありましたか。ただし、最初と最後の位置については、回数に含めません。
 

 

右矢印 小問⑴で出した❶❷をこのあとも使うと

  • 1円玉が「ちょうど1周」したとき移動距離は(その中心の移動距離を考えて)❷の4倍だから 4×3.14㎝…❸
  • そして1円玉の円周は2×3.14㎝(❶)だから❸÷❶=2より1円玉は2回転する

よって途中で文字の向きが図3の㋐になったのは 2-1=1回

 

⑵ 次に、図4のように直径が6cmの円盤の周りを、真上の位置から矢印の方向にすべらせずに1円玉硬貨を回転させながら、移動させます。ちょうど1周して再び図4の位置に戻ってきたとき、1円玉硬貨の表面の文字の向きも図4と同じになりました。移動させている途中で、1円玉硬貨の表面の文字の向きが図3の㋐になったのは、何回ありましたか。ただし、最初と最後の位置については、回数に含めません。

 

右矢印右矢印右矢印

  • 1円玉が「ちょうど1周して再び図4の位置に戻ってきたとき」の移動距離は(その中心の移動距離を考えて)4×2×3.14=8×3.14㎝…❹
  • そして1円玉の円周は2×3.14㎝(❶)だから❹÷❶=4より1円玉は4回転する

よって途中で文字の向きが図3の㋐になったのは 4-1=3回

 

⑶ 次に、図5のように直径が7.2cmの円盤の周りを、真上の位置から矢印の方向にすべらせずに1円玉硬貨を回転させながら、移動させます。この移動では、1周して再び図5の位置に戻ってきたとき、1円玉硬貨の表面の文字の向きは図5と同じにはなりませんでした。そこでこの位置にきたときに、1円玉硬貨の表面の文字の向きが図5と同じになるまで円盤の周りを移動させました。次の①、②に答えなさい。

① 1円玉硬貨は、円盤の周りを何周しましたか。

 

右矢印右矢印右矢印

  • 1円玉が「1周して再び図5の位置に戻ってきたとき」の移動距離は(その中心の移動距離を考えて)4.6×2×3.14=9.2×3.14㎝…❺
  • そこからさらに「1円玉硬貨の表面の文字の向きが図5と同じになるまで円盤の周りを移動」させた。1円玉の円周は2×3.14㎝(❶)だから❶の整数倍になったとき文字の向きは図5と同じになる
よって移動距離がはじめて❶の整数倍になるところをさがすと(❺×5=46×3.14㎝より)5周したとき

 

② 移動させている途中で、1円玉硬貨の表面の文字の向きが図3の㋐になったのは、何回ありましたか。ただし、最初と最後の位置については、回数に含めません。

 

右矢印右矢印右矢印

  • 上でみたように1円玉が5周したとき移動距離は46×3.14㎝…❻
  • そして1円玉の円周は2×3.14㎝(❶)だから❻÷❶=23より1円玉は23回転する
よって途中で文字の向きが図3の㋐になったのは 23-1=22回 完了