過不足算2024 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年出された過不足算の問題です。

 

  その1(灘2024)

 

太郎君は1本の値段が▢円のペンを5本買う予定でしたが、所持金が120円足りませんでした。代わりに、1本の値段が予定していたものより100円安いペンを7本と60円の消しゴムを1個買ったところ、ちょうど所持金を使い切りました。

 

右矢印 買う予定だったペンが1本あたり①円とすると所持金は次の2通りであらわせる。

  1. ペンを5本買う予定」だったが「所持金が120円足り」なかった→所持金は ⑤-120
  2. 予定していたものより100円安いペンを7本と60円の消しゴムを1個買った」ところ「ちょうど所持金を使い切」った→所持金は (①-100)×7+60
これらが同じ金額なので
 ⑤-120=(①-100)×7+60 より ②=520 だから ①=260円

よって ▢=260

 

 

  その2(西大和学園2024)

 

学年全体の生徒を組分けします。最初に7人1組にしようとすると、3組だけ8人1組の組分けになります。次に8人1組とすると、3組だけ7人1組にすることで、最初の組の数より3組少ない組分けになります。学年全体の生徒は▢人です。

 

右矢印 最初の組の数を①とすると全体の生徒数は次の2通りであらわせる。

  1. 7人1組にしようとすると、3組だけ8人1組の組分けに」なったから(7×(①-3)+8×3より)全体の生徒数は⑦+3
  2. 8人1組とすると、3組だけ7人1組にすることで、最初の組の数より3組少ない組分けに」なったから(8×(①-3-3)+7×3より)全体の生徒数は⑧-27
これらが同じ人数なので ⑦+3=⑧-27 より①=30
よって最初にできたのは30組とわかり、学年全体の生徒数は

 7×27+8×3=189+24=213人

 

 

  その3(浦和明の星2024)

 

同じ大きさの正方形の形をした、赤色と青色のタイルが手元にたくさんあります。これらのタイルを敷(し)き詰(つ)めて大きな正方形を作ろうとしました。
⑴ タイルの色を気にせずに、すべてのタイルを敷き詰めて正方形を作ろうとしたところ、タイルが1枚足りませんでした。そこで、今度は手元にある枚数のタイルで、できるだけ大きな正方形を作ったところ、タイルは36枚余りました。はじめに手元にあったタイルは全部で何枚ですか。

 

右矢印 はじめにタイルが1枚足りなかった様子を一番大きな正方形であらわし、つぎにタイルが36枚余った様子を青の正方形と赤のあまり部分であらわすと次のようになる。

36枚余ったタイルが赤の部分だから、タテ1列と横1列に18枚ずつ並んでいるとわかり、青の正方形はタテ・横それぞれ18枚のタイルを敷き詰めたものだとわかる。

よってはじめに手元にあったタイルは

 18×18+18×2=360枚

 

⑵ タイルをすべて手元に戻して、今度は図のように、同じ色のタイルが上下左右に並ばないように敷き詰めていくことにしました。青色のタイルをすべて使い切ると、ちょうどある大きさの正方形ができ、赤色のタイルだけが手元に104枚残りました。
そこで、青色のタイルだけを追加して、さらにこの正方形に同じようにタイルを敷き詰めて、できるだけ大きな正方形を作りました。このとき、赤色のタイルは何枚か残りますが、青色のタイルをこれ以上追加しても、これより大きい正方形は作れません。
追加して並べた青色のタイルは何枚ですか。考えられる枚数をすべて答えなさい。ただし、解答欄はすべて使うとは限りません。

 

右矢印 手元にある360枚のタイルを使って「ある大きさの正方形」を作ったところ「赤色のタイルだけが手元に104枚」残ったから(360-104=256より)正方形に使ったタイルは256枚。とすると256=16×16よりいまタテ16枚、横16枚の正方形ができている。


この正方形のまわりに104枚の赤色のタイルと「青色のタイルだけを追加して…できるだけ大きな正方形を作」ることを考えるにあたり、タテ2列、横2列ずつ大きくしていったらどうなるか*をしらべると

 
*赤と青のタイルを本問のように交ごに並べていくと「奇数列×奇数列」となるところでは必ずどちらかの色が1枚だけ多くなる。いま16列×16列の正方形ができているので赤と青のタイルの枚数は同じ(128枚ずつ)だからそのまわりを2列ずつ大きくすれば赤と青のタイルの枚数はいつも同じになるので考えやすい
  1. タテ・横18枚の正方形にするとき…必要なタイルは18×18-256=68枚。これに必要な赤のタイルはちょうどその半分で34枚→赤のタイルは手元に104枚あるのでもっと大きな正方形が作れる
  2. タテ・横20枚の正方形にするとき…必要なタイルは20×20-256=144枚。赤のタイルはその半分で72枚→赤のタイルは手元に104枚あるのでもっと大きな正方形が作れる
  3. タテ・横22枚の正方形にするとき…必要なタイルは22×22-256=228枚。赤のタイルはその半分で114枚→手元には赤のタイル104枚しかないので作れない
こうして「青色のタイルをこれ以上追加しても、これより大きい正方形は作れ」ないという大きさの正方形はタテ・横21枚の正方形(もしこれが作れないとしたらタテ・横20枚の正方形)ということになる。
 
そこでタテ・横21枚の正方形にするとき(奇数列×奇数列の正方形なので赤と青のタイルの枚数には1枚の差ができている*)を考えるとこれに必要なタイルは21×21-256=185枚。このうち赤のタイルは93枚か92枚(逆に青のタイルは92枚か93枚)だからこれならたしかに手元にある104枚で作れる。
 
よって追加して並べた青のタイルの枚数として考えられるのは92枚か93枚 完了