旅人算2024② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年の中学入試で出された旅人算の問題その2です。

 

  その1(灘2024)

 

A町とB町を結ぶ道があります。この道を何台ものバスがA町からB町に向かう方向に一定の速さで、一定の間隔で走っています。
太郎君が同じ道を、A町からB町に向かう方向に一定の速さで自転車で走ると、バスに20分ごとに追い越されました。太郎君がそのままの速さで走る方向のみを反対に変えると、バスに10分ごとに出合いました。その後、太郎君が速さを時速6km上げたところ、バスに9分ごとに出合いました。
バスとその次のバスの間隔は▢kmです。
ただし、バスと自転車の長さは考えないものとします。

 

右矢印「太郎君とバスの速さの和」に注目する。

  1. 太郎君は速さを上げる前は「バスに10分ごとに出合い」、速さを時速6km上げた後は「バスに9分ごとに出合」った
  2. かかる時間の比は前:後=10:9だから「太郎君とバスの速さの和」はその逆比で前:後=⑨:⑩
  3. この差①が時速6kmだからはじめの速さの和⑨は時速54km

よってバスの間隔は

 時速54km×10分÷60分=9km

 

*「バスに20分ごとに追い越されました」の情報は使わなくても正解できる問題だったようです(これを使うと速さの比はバス:太郎君=3:1だったというところまでわかります)

 

  その2(洛南高等学校附属2024)

 

地点Aと地点Bの間を、太郎さんと花子さんが休むことなく一定の速さでくり返し往復します。太郎さんはAを、花子さんはBを同時に出発します。2人が1往復する間に、2人は2回すれ違い、1回目、2回目にすれ違ったのはAからそれぞれ800m、400mの地点でした。
このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ AB間の距離は何mですか。

 

右矢印 状況図を書くと次のとおり。

  • 花子さんが1回目にすれ違うまでに進む距離を①とすると、そこから2回目にすれ違うまでに進む距離は②
  • この②が 800+400=1200m だから ①=600m

よってAB間の距離は 800+①=1400m 

 

⑵ 2人が初めて同時に地点Aに着くとき、太郎さんは出発してから何m進みましたか。

 

右矢印右矢印右矢印

  • 太郎君は1回目に地点Aから800mのところで花子さんに会ったあとは800×2=1600mごとに花子さんに会う。それは地点Aから800m、2400m、4000m、5600m、7200m…進んだところ
  • また太郎君は1400×2=2800m進むごとに地点Aにもどってくる。それは地点Aから2800m、5600m、8400m…進んだところ

よって2人が初めて同時に地点Aに着くのは太郎君が出発して 5600m 進んだところ

 

 

  その3(愛光中2024)

 

Aさんは毎日同じ時刻に家を出て50分かけて登校します。ある日、Aさんはいつものように家を出ましたが、805m行ったところで、今日は当番のためいつもより10分早く学校に着かないといけないことに気づき、そこからいつもの⁹⁄₇倍の速さに変えて学校に向かいました。その結果、Aさんは当番が学校に着かないといけない時刻より4分遅れて学校に着きました。
⑴ Aさんは速さを変えてから何分後に学校に着きましたか。

 

 

右矢印右矢印右矢印

  1. Aさんは毎日…50分かけて登校」していたのが、当番だったこの日は「いつもより10分早く学校に着かないといけない」のに「学校に着かないといけない時刻より4分遅れて」着いた。つまりこの日Aさんは 50-10+4=44分で学校に着いた
  2. Aさんは途中から「いつもの⁹⁄₇倍の速さに変えて」学校に向かった。はじめの速さを分速7とすると途中から分速9に変えたということ。また学校までの距離は(いつも50分かかる距離だから)7×50=350
  3. つまり距離350を分速7と分速9で進んだら44分かかったという速さのつるかめ算の問題。面積図を書くと 7×23+9×21=350 とわかり、はじめ分速7で23分歩いたあと速さ9で21分進んだとわかる

よってAさんが学校についたのは速さを変えてから21分後

 

⑵ Aさんのいつもの速さは每分何mですか。

 

右矢印 Aさんはこの日も「805m行ったところ」まではいつもの速さで歩いていた。

そこまでにかかった時間は23分。

よっていつもの速さは

 805÷23=毎分35m

 

⑶ 速さを変えたあと、ある地点から毎分63mの速さで向かったら、当番が学校に着かないといけない時刻にちょうど学校に着くことができます。その地点は家から何mのところですか。

 

右矢印右矢印右矢印

  1. Aさんはいつも学校まで分速35mで50分歩くから学校までの距離は 35×50=1750m。とすると速さを変えた805m地点で残りの距離は945m
  2. またここまでに23分歩いたから「当番が学校に着かないといけない時刻にちょうど学校に着く」にはあと17分(=40-23)で着かないといけない
  3. つまり距離945mを分速45mと分速63mで進んだら17分で着いたということでこれも速さのつるかめ算として考えると45×7+63×10=945 より毎分63mで進んだのは最後の10分とわかる
よって分速63mにしたのは、はじめに805m歩き、そのあと分速45mで7分進んだ地点だから 805+45×7=1120m の地点 完了