場合の数2024 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年出された場合の数の問題です。

 

  その1(市川中2024)

 

次の図のような、1列目と2列目は2人がけ、3列目は3人がけの7人乗りの車に、大人3人、子ども4人が乗るときの座り方を考えます。運転席には大人が座り、各列とも子どもが座る隣(となり)に最低1人の大人が座るとき、座り方は何通りあるか答えなさい。

 

右矢印 まず条件に合う大人と子どもの配置のしかたは次の2通りだけ(青が大人の席)

次に誰が座るかをたとえば上図左の場合について考えると

  • 大人の決め方…3×2×1=6通り
  • 子どもの決め方…4×3×2×1=24通り

だから 6×24=144通り

 

よって(上図右の場合も同じ通り数があるので)144×2=288通り

 

 

  その2(ラ・サール中2024)

 

右図のように、4つの地点、A、B、C、Dが、道でつながっています。Aを出発地点として同じ道を通らないように8つの道すべてを通る道順のうち、地点間の移動が次のようになる道順は何通りありますか。

⑴ A→B→Aではじまる道順

 

右矢印右矢印右矢印

  1. A→Bが2通り、B→Aは残った道に自動的に決まるから2通り
  2. 残りのA→D→C→B→C→D→Aの道順…A→Dが2通り、D→Cが2通り、C→Bが2通り、そのあとB→C→D→Aは残った道に自動的に決まるから 2×2×2=8通り

よって 2×8=16通り

 

⑵ A→B→C→D→Aではじまる道順

右矢印右矢印右矢印

  1. A→B、B→C、C→D、D→Aでそれぞれ2通りずつあるから 2×2×2×2=16通り
  2. 残りのAからAまでの道順…まだ通っていない道がAB間、BC間、CD間、DA間にそれぞれ1本ずつあり、これを右まわりで行くか左まわりで行くかで2通り

よって16×2=32通り

 

⑶ Aを出発地点とするすべての道順

 

右矢印 A→Bという左回りの行き方だけ考える(A→Dという右回りの行き方も同じ通り数あるので最後に2倍する)。

このとき、小問⑴⑵をヒントに考えると、すべての道順は

 ❶A→B→Aではじまる道順

 ❷A→B→C→D→Aではじまる道順

 ❸A→B→C→D→Cではじまる道順
 ❹A→B→C→B→Aではじまる道順

の4つに場合分けできることがわかる。

 

そして❶は16通り(小問⑴)、❷は32通り(小問⑵)とわかったから、残る❸❹の場合についてしらべると

 

❸A→B→C→D→Cではじまる道順

  1. A→Bが2通り、B→Cが2通り、C→Dが2通り、D→Cは自動的に決まるから 2×2×2=8通り
  2. 残りのC→B→A→D→Aの道順…C→B、B→Aは自動的に決まる。A→Dは2通り、D→Aは自動的に決まるから2通り
したがって 8×2=16通り

 

❹A→B→C→B→Aではじまる道順

  1. A→Bが2通り、B→Cが2通り、そのあとC→B、B→Aは自動的に決まるから 2×2=4通り
  2. 残りのA→D→C→D→Aの道順…A→Dが2通り、D→Cが2通り、そのあとは自動的に決まるから 2×2=4通り

したがって 4×4=16通り

 

よって左回りだけで❶+❷+❸+❹=16+32+16+16=80通り あるから(右回りの80通りと合わせて)ぜんぶで160通り
 

 

  その3(渋谷教育学園幕張2024)

 

1から9までの数字が書かれたカードがそれぞれ1枚ずつ、全部で9枚あり、2つの空の袋A、Bがあります。次の各問いに答えなさい。
⑴ はじめに、9枚のカードから1枚のカードを選び、袋Aに入れます。次に、残ったカードから3枚のカードを選び、袋Bに入れます。袋A、Bからカードをそれぞれ1枚ずつ取り出すとき、どのカードを取り出しても、取り出した2枚のカードに書かれている数の積が10の倍数となるような、袋A、Bに入れるカードの入れ方は、何通り考えられますか。

 

右矢印積が10の倍数」となるには素因数分解したときに5×2が入っていることが必要。そして「1から9までの数字が書かれたカードがそれぞれ1枚ずつ」あるときにそうなる積は 5×2、5×4、5×6、5×8 の4通り。

よってAは5が入る1通り、Bは2、4、6、8の4枚のうち3枚を入れる入れ方(入れない1枚を決める決め方と同じ)4通りだから

 1×4=4通り

 

⑵ はじめに、9枚のカードから1枚以上4枚以下の好きな枚数のカードを選び、袋Aに入れます。次に、残ったカードから1枚以上4枚以下の好きな枚数のカードを選び、袋Bに入れます。袋A、Bからカードをそれぞれ1枚ずつ取り出すとき、どのカードを取り出しても、取り出した2枚のカードに書かれている数の積が10の倍数となるような、袋A、Bに入れるカードの入れ方は、何通り考えられますか。

 

右矢印取り出した2枚のカードに書かれている数の積が10の倍数となる」ためには「袋A、Bからカードをそれぞれ1枚ずつ取り出すとき」のどちらか1枚は必ず5であることが必要。

そこでAに5が1枚入っているときの入れ方を考える(Bに5が1枚入っているときの入れ方も同じ通り数があるから最後に2倍する)

 

このときBに2、4、6、8のうちどれか1枚~4枚が入っていればA×Bは必ず10の倍数となる。

そこでBに入っている枚数で場合分けしてしらべると

  1. 1枚だけ入っている…4通り
  2. 2枚入っている…4×3÷2=6通り
  3. 3枚入っている…4通り
  4. 4枚とも入っている…1通り
よってAに5が1枚入っている場合が 4+6+4+1=15通りあるから(逆にBに5が1枚入っている場合の15通りと合わせて)
ぜんぶで30通り

 

⑶ はじめに、9枚のカードから1枚以上3枚以下の好きな枚数のカードを選び、袋Aに入れます。次に、残ったカードから1枚以上3枚以下の好きな枚数のカードを選び、袋Bに入れます。袋A、Bからカードをそれぞれ1枚ずつ取り出すとき、どのカードを取り出しても、袋Aから取り出したカードに書かれている数が、袋Bから取り出したカードに書かれている数より6以上大きくなるような、袋A、Bに入れるカードの入れ方は、何通り考えられますか。

 

右矢印 Aにカードを何枚入れるかで場合分けをすると

 

❶まずAに1枚だけ入れる場合を考えると次の11通り

  1. Aに9を入れるとき…(どのカードを取り出しても9よりも6以上小さくなるようにするには)Bに入るのは3、2、1のうちどれか1枚~3枚。そして1枚の選び方が3通り、2枚の選び方が3通り、3枚の選び方が1通りだから 3+3+1=7通り…①
  2. Aに8を入れるとき…Bは2か1かその両方で3通り…②
  3. Aに7を入れるとき…Bは1だけで1通り…③

❷つぎにAに2枚入れる場合は次の5通り

  1. Aに9と8を入れるとき…Aに8があるので②と同じく3通り
  2. Aに9と7を入れるとき…Aに7があるので③と同じく1通り
  3. Aに8と7を入れるとき…Aに7があるので③と同じく1通り

❸最後にAに3枚入れる場合は次の1通りだけ

  1. Aに9と8と7を入れるとき…Aに7があるので③と同じく1通り
よって 11+5+1=17通り 完了