海の流水算 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

流水算のほとんどは川が問題の舞台となります。まれに流れるプールの問題もありますが、海の流水算というものはかなりめずらしいはず。今後少しずつ出てくるようになることもありそうで、今回これを取り上げます。

 

ズトシくんはZ湾で遠泳をしました。下の図はズトシくんが泳いだ経路の一部です。まず点Aから、波打ち際の直線𝒏に直角の向きに泳ぎ始め、沖へ27分泳いで点Bに着きました。次に向きを変え、直線𝒏に平行の向きに泳ぎましたが、実際には潮があって点Cまで流されました。点Cから再び向きを変えABと平行に13分泳ぎ点Dにたどり着きました。泳いだ時間は合計48分で泳いだ距離は合計1858.5mでした。

このとき、次の各問いに答えなさい。ただし、潮の速さ、潮が無いときのズトシくんの泳ぐ速さは常に一定とします。また、潮は海の沖から波打ち際の直線𝒏に向かって直角の向きに流れています。(逗子開成2023第2次)
⑴ ズトシくんが泳いだA→B→C→Dまでの経路を次の(ア)〜(ク)から選びなさい。

 

右矢印 ズトシくんはBから「直線𝒏に平行の向きに」泳いだが「実際には潮があって点Cまで流され」た。

泳いだのは右向きで、潮の流れは「沖から波打ち際の直線𝒏に向かって直角の向き」だから下向き。泳ぐ速さと潮の流れの速さは常に一定だからBC間は右下がりの直線となる。

このなかでそうなっているグラフは (イ) 

 

⑵ 潮が無いときのズトシくんの泳ぐ速さと潮の速さの比を求めなさい。

 

右矢印 ズトシくんはまず「直線𝒏に直角の向きに…沖へ27分泳いで点Bに着き」、点Bからは「直線𝒏に平行の向きに」泳いだのと潮で流されたのとで点Cに着き、点CからDまでは「ABと平行に13分」泳いだ。

 

ズトシくんの泳ぐ速さを分速〇m、潮の速さを分速▢mとして、行き帰りに進んだ距離(ABと平行に行ってもどった距離)を考えると

 

❶行きの距離…A→Bに27分かかったから進んだ距離は (〇-▢)×27

 

❷帰りの距離…次の合計で ▢×8+(○+▢)×13

  • B→Cについて考えると「泳いだ時間は合計48分」だからBC間を泳いだのは8分(=48-27-13)だがABと平行に進んだ距離ということで考えると▢×8(直線𝒏に平行に泳いだだけのズトシくんの泳ぎで進んだ距離はゼロ)
  • C→Dに13分かかったから進んだ距離は (〇+▢)×13
したがって❶=❷より
 〇×27-□×27=〇×13+▢×21
 だから 〇×7=▢×24
よって 〇:▢=24:7
 

⑶ BC間の距離は350mでした。潮の速さは分速何mですか。ただし、答えだけではなく、途中の考え方も書きなさい。

 

右矢印 ズトシくんの泳ぐ速さを分速㉔m、潮の速さを分速⑦mとする。するとAB間の速さは分速⑰m、CD間の速さは分速㉛m。

そしてAB間に27分、CD間に13分かかったこと、「泳いだ距離は合計1858.5m」だったことがわかっているから

 ⑰×27+350+㉛×13=1858.5 より

 +=1508.5

よって①=1508.5÷862=1.75より

潮の速さは 1.75×7=分速12.25m 

 

 
なお、3辺が3:4:5や5:12:13の三角形が直角三角形になる(ふつうの受験生はここまで覚えていれば十分でしょうが)のと同じように7:24:25も直角三角形になることまで知っていれば次の別解の方がより早く正解にたどり着けます。

別解

 

距離は速さに比例するからズトシくんが泳いた距離を㉔m、潮の進んだ距離を⑦mとすると次のように7:24:25の直角三角形ができているのがわかる。

よって㉕にあたる距離=350mとわかっているから潮の進んだ距離⑦は 350÷25×7=98m。これを8分で進んだから潮の速さは

 98÷8=分速12.25m 完了