食塩水2023⑮ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

今年出題された食塩水の問題の第15弾になります。

 

  3つの食塩水①(世田谷学園2023)

 

 A、B、Cの3つの容器に食塩水が入っており、Aの食塩水の濃度は10%です。A、B、Cからそれぞれ200g、300g、400gずつ取り出して混ぜると、8%の食塩水ができます。また、A、B、Cからそれぞれ400g、300g、50gずつ取り出して混ぜると、9%の食塩水ができます。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ Bの食塩水の濃度は何%ですか。

 

右矢印Aの食塩水の濃度は10%」とAについては濃度の情報があり食塩の量が出せる。

そこでAをはずして混ぜたときの食塩の量を考えると

 

❶「A、B、Cからそれぞれ200g、300g、400gずつ取り出して混ぜると、8%の食塩水」ができる。

  1. ここに入っている食塩は72g(=900×0.08)でこのうち200×0.1=20gの食塩がAからきたもの
  2. とするとBから300gとCから400gを取り出してできる食塩水700gのなかには72-20=52gの食塩が入っている…①
❷「A、B、Cからそれぞれ400g、300g、50gずつ取り出して混ぜると、9%の食塩水」ができる。
  1. ここに入っている食塩は67.5g(=750×0.09)でこのうち400×0.1=40gの食塩がAからきたもの
  2. とするとBから300gとCから50gを取り出してできる食塩水350gのなかには67.5-40=27.5gの食塩が入っている…②
❸上の①②を比べると、食塩水の差はCから取り出した350g(=400-50)で食塩の差は24.5g(=52-27.5)だからCの濃度は7%(=24.5÷350)とわかる。

 

とすると②より、Cから取り出した食塩水50gには 50×0.07=3.5gの食塩が入っているから、それ以外の(27.5-3.5=)24gの食塩はBから取り出した食塩水300gのなかに入っていたもの

 

よって 24÷300=0.08 よりBの濃度は 8%

 

⑵ A、Bからそれぞれ1:2の割合で食塩水を取り出して混ぜ、さらにCから取り出した食塩水を混ぜると、7.6%の食塩水が1000gできました。Cから取り出した食塩水は何gですか。

 

右矢印 それぞれの濃度はAが10%、Bが8%、Cが7%とわかった。

 

このとき「A、Bからそれぞれ1:2の割合で食塩水を取り出して混ぜ」ると濃度は 8+(10-8)×⅓=8⅔%になる

 

これと「Cから取り出した食塩水を混ぜると、7.6%の食塩水が1000g」できた。このときの天びん図を書くとうでの長さの比は 

 (7.6-7):(8⅔-7.6)=0.6:1¹⁄₁₅=9:16

よってCの濃度は

 1000÷(16+9)×16=640g

 

 

  比でまぜる(吉祥女子2023第2回)

 

2つの食塩水A、Bがあります。AとBを3:2の割合で混ぜると13%の食塩水ができます。また、AとBを2:3の割合で混ぜると11%の食塩水ができます。AとBを3:5の割合で混ぜたときにできる食塩水の濃さは何%ですか。

 

右矢印AとBを3:2の割合で混ぜると13%」の天びん図と「AとBを2:3の割合で混ぜると11%」の天びん図を書く。うでの長さはどちらも合計5でそろっているからそのまま比べることができて1=2%がわかる。

したがってAの濃度は17%(=13%+2%×2)でBの濃度は7%(=13%-2%×3)

 

よって「AとBを3:5の割合で混ぜたとき」の天びん図を書くと

その濃度は 7+(17-7)×⅜=10.75%

 

 

  3つの食塩水②(暁星2023)

 

100gの食塩水A、B、Cがそれぞれ2つずつあります。濃度はAが2%、Bが3%、Cが5%です。次のような操作を行って、太郎君は食塩水D、E、Fを、次郎君は食塩水G、H、Iをそれぞれ100gずつ作りました。
・食塩水D、GはAの一部とBの一部を混ぜました。
・食塩水E、HはBの一部とCの一部を混ぜました。
・食塩水F、IはCの一部とAの一部を混ぜました。

⑴ EとFの濃度が等しくなりました。Dの濃度を求めなさい。

 

右矢印 太郎君が食塩水Dを作るのに食塩水A(100g)のうち①gを使ったとする。このとき食塩水D、E、Fについて次のように決まる

  1. 食塩水Aのうち①gと食塩水Bのうち (100-①)gを使って食塩水Dを100g作った(下図の青)
  2. 食塩水Bの残り①gと食塩水Cのうち(100-①)gを使って食塩水Eを100g作った(下図の赤)
  3. 食塩水Cの残り①gと食塩水Aの残り(100-①)gを使って食塩水Fを100g作った(下図の黒)

その結果「EとFの濃度が等しく」なった。食塩水の量は同じ100gなのでEとFの食塩の量が等しいことに注目して式をつくると

 ①×3%+(100-①)×5%=①×5%+(100-①)×2% 

 ③+500-⑤=⑤+200-② より ①=60g

 

よってDに入っている食塩の量は

 60g×2%+40g×3%=2.4g 

だから(食塩水は100gなので)Dの濃度は 2.4%

 

⑵ GとIにそれぞれ[あ]gずつ食塩を加えたら、G、H、Iの濃度がすべて等しくなりました。[あ]にあてはまる値を求めなさい。

 

右矢印GとIにそれぞれ[あ]gずつ食塩を加えた」ところGとIの濃度が等しくなったということなのでGとIは食塩を加える前も同じ濃度だったことがわかる。

 

次郎君が食塩水Gを作るのに食塩水A(100g)のうちgを使ったとする。このとき食塩水G、Iについて次のように決まる

  1. 食塩水Aのうちgと食塩水Bのうち (100-)gを使って食塩水Gを100g作った(下図の青)
  2. 食塩水Cのうちgと食塩水Aの残り(100-)gを使って食塩水Iを100g作った(下図の黒)

その結果GとIは同じ濃度になったからGとIの食塩の量が等しいことに注目して式をつくると

 ×2%+(100-)×3%=×5%+(100-)×2% 

 +300-+200- より =25g

 

これを使って考えると

  1. 食塩水Gに入っている食塩は 25g×2%+75g×3%=2.75g だからGの濃度は2.75%
  2. 食塩水Hに入っている食塩は 25g×3%+75g×5%=4.5g だからHの濃度は4.5%
  3. そこで食塩水G(濃度2.75%)100gと食塩(濃度100%)△gを混ぜると濃度4.5%(食塩水Hと同じ)になる天びん図を書くと

よって△=7×100÷382=³⁵⁰⁄₁₉₁ より

 あ=³⁵⁰⁄₁₉₁ 完了