以前の記事の続きです。
今年出題された食塩水の問題の第14弾になります。
その1(夙川中2023第3回)
▢%の食塩水300gに、食塩50g、水を250g、4%の食塩水を200g加えたところ、11%の食塩水になりました。
食塩水の量と食塩の量を調べると
- 食塩水(g)はぜんぶで 300+50+250+200=800。できあがったのは「11%の食塩水」だからここに入っている食塩(g)は 800×11%=88
- 食塩(g)はぜんぶで 300×□%+50+200×4%=+58
その2(慶應義塾中等部2023)
12%の食塩水600gから200gを捨てて、代わりに同じ量の水を加えました。よくかき混ぜた後、今度は食塩水を▢g捨てて、代わりに同じ量の水を加えたところ、5.6%の食塩水になりました。
「12%の食塩水600gから200gを捨てて、代わりに同じ量の水を加え」たとき、食塩水の⅓を捨てたということは食塩も⅓捨てたということなので、残った食塩は⅔で濃度も⅔になっている。
とするとこの時点で濃度は12×⅔=8%
そのあと同じ操作で「5.6%の食塩水に」なった。とすると(5.6÷8=0.7より)食塩も食塩水も7割になったということなので食塩の3割を捨てた=食塩水の3割を捨てたということ。
よって捨てた食塩水▢gは
600×0.3=180g
その3(東京女学館2023第3回)
容器Aには濃度が4%の食塩水100g、容器Bには濃度が16%の食塩水200gが入っています。容器Aから食塩水を[ア]g取り出して容器Bに移してよくかき混ぜたところ、容器Bの食塩水の濃度は[イ]%になりました。その後、容器Bから食塩水を[ア]g取り出して容器Aに移してよくかき混ぜたところ、容器Aの食塩水の濃度は8%になりました。このとき、次の各問いに答えなさい。ただし、2つの[ア]には同じ数が入ります。
⑴ 容器Bに残った食塩水に、何gの食塩が溶けているか求めなさい。
溶けている食塩の量を考えると
- 「容器Aには濃度が4%の食塩水100g」が入っているから 100×0.04=4g
- 「容器Bには濃度が16%の食塩水200g」が入っているから 200×0.16=32g
とすると2つの容器あわせて 4+32=36gの食塩が入っている。
はじめに「容器Aから食塩水を[ア]g取り出して容器Bに移し」、そのあと「容器Bから食塩水を[ア]g取り出して容器Aに移し」たから容器A、容器Bの食塩水の量はもとのままでそれぞれ100gと200g
そして「容器Aの食塩水の濃度は8%に」なったからいま容器Aには 100×0.08=8gの食塩が入っている。
よって(食塩の全体量36gは変わらないから)容器Bに入っている食塩▢gは
36-8=28g
⑵ [ア]、[イ]にあてはまる数をそれぞれ求めなさい。
いま容器Bの食塩水の濃度は 28÷200=0.14より14%。これは「濃度が16%の食塩水200g」が入っていた容器Bに「濃度が4%の食塩水」を容器Aから▢g移した結果だからこの天びん図を書くと
よって ▢=200÷5×1=40g とわかり
ア=40、イ=14
その4(青陵2023)
水そうに食塩水が入っています。ここに2%の食塩水400gを入れて混ぜると6%の食塩水ができます。さらに、2%の食塩水900gを入れて混ぜると4%の食塩水ができます。はじめに水そうに入っていた食塩水の濃度を求めなさい。
まず濃度に注目すると①「6%の食塩水」ができたところに②「2%の食塩水」を混ぜたら「4%の食塩水」になった。ちょうど足して2で割った濃度になっているので①と②は同じ量だったことがわかる。
とすると②は900gとわかっているから①も900g。これは「2%の食塩水400g」を入れたあとの食塩水だからはじめにあった食塩水は500g。そしてここに「食塩水400g」と「食塩水900g」を入れたからできあがった食塩水は1800g
こんどは食塩に注目すると1回目に入れた「2%の食塩水400g」には8g、2回目に入れた「2%の食塩水900g」には18gが入っており、最後にできあがった食塩水には72gの食塩が入っている(=1800×0.04)からはじめに入っていた食塩は46g(=72-8-18)
よってはじめに水そうに入っていた食塩水の濃度は
46÷500=9.2%
その5(日本学園中2023)
A、B、Cの3つの容器に、合わせて1500gの食塩水が入っています。Aには2%、Bには3%、Cには4%の食塩水が1:2:3の割合で入っています。いま、A、B、Cからそれぞれ同じ量の食塩水をとり出し、空の容器に移してよくかき混ぜ、とり出した量と同じ量の食塩水をA、B、Cに戻したところ、Aは2.8%の食塩水になりました。このとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ Aに入っている食塩水は何gですか。
「合わせて1500gの食塩水」が3つの容器A、B、Cに「1:2:3の割合で入って」いるからAに入っている食塩水の量は
1500÷(1+2+3)×1=250g
⑵ Bから取り出した食塩水は何gですか。
「Aには2%、Bには3%、Cには4%の食塩水が」入っているとき「A、B、Cからそれぞれ同じ量の食塩水を」取り出して混ぜると濃度は3つを平均した3%になる。
これをAにもどすと「Aは2.8%の食塩水に」なること、その重さはもとの250g(小問⑴)になることがわかっているからこの天びん図を考えると
Aにもどした3%の食塩水の量は 250×⅘=200g とわかる。
よってBからとり出した食塩水も「同じ量」だから 200g
⑶ Cは何%の食塩水になりましたか。
はじめにA、B、Cには食塩水が「1:2:3の割合で入って」おりAには250gが入っていたからCに入っていた食塩水は750g(=250×3)。またCは「4%の食塩水」だった。
ここから200gをとり出して新しく3%の食塩水200gを入れたから天びん図を書くと
その濃度は 3%+1%×¹¹⁄₁₅=3¹¹⁄₁₅%
その6(豊島岡2023第2回)
食塩水A、Bがたくさんあります。空の容器に食塩水Aを120g入れた後、20gだけ水を蒸発させたものを食塩水Cとします。空の容器に食塩水Bを180g入れた後、45gだけ水を蒸発させたものを食塩水Dとします。食塩水Cと食塩水Dをすべて混ぜたところ濃度が6%の食塩水になりました。このとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ 食塩水Aを120gと食塩水Bを180g混ぜてできる食塩水の濃度は何%ですか。
A、Bに入っている食塩の量をそれぞれ㋐g、㋑gとしてAからDのビーカー図を書く。「食塩水Cと食塩水Dをすべて混ぜた」ものを「C+D」のように書くと
- A+Bの食塩水の量は300g(=120+180)でここには㋐+㋑の食塩が入っている。またC+Dにも㋐+㋑の食塩が入っている
- C+Dの食塩水の量は235g(=120-20+180-45)で「濃度が6%の食塩水」だからその食塩の量は 14.1g(=235×0.141)
よって㋐+㋑=14.1gだからA+Bの濃度は
14.1÷300=0.47 より 4.7%
⑵ 食塩水Aを200gと食塩水Bを50g混ぜたところ濃度が2.7%の食塩水になりました。このとき、食塩水Aの濃度は何%ですか。
「食塩水Aを200gと食塩水Bを50g混ぜたところ濃度が2.7%の食塩水に」なり、食塩水Aを120gと食塩水Bを180g混ぜると濃度4.7%の食塩水になった(小問⑴)。
この2つをうでの長さ5でそろえて天びん図にすると
2つの支点のずれを見くらべると2=2%だから1=1%
よって食塩水Aの濃度▢%は(下の天びんで考えて)
2.7%-1%=1.7%