センターラインの公式② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

平面図形の外側を円が動いたあとの図形の面積は原則として「円の中心が動いた長さ×直径」で求められ、これは「センターラインの公式」などと呼ばれます。

使い方に制限がある危険な公式であるためあまり評判はよくないですが、注意して使えば今年の入試問題だとたとえば次のような問題でこれを応用できそうです。

 

  センターラインの公式①(芝国際2023)

 

下の図のように、たて8cm、横12cmの長方形があります。この長方形の外側と内側を、長方形のまわりにそって、半径1cmの円が転がりながら1周します。

これについて次の問いに答えなさい。
⑴ 円が長方形の外側を1周転がる場合、その円の中心が通ったあとの長さは何cmですか。

 

右矢印半径1cmの円」の中心が通ったあとの線(センターライン)は

 ①長方形の辺と同じ長さの直線が4本と

 ②かどの4つは円弧(半径1㎝、中心角90°)が4本

からなる。

よって (12×2+8×2)+2×3.14×¹⁄4×4=40+6.28=46.28㎝

 

⑵ ⑴のとき、その円が通った部分の面積は何㎠ですか。

 

右矢印 原則として円の中心線を直径倍したものが面積になるから

 46.28×2=92.56㎠

 

⑶ 円が長方形の内側を1周転がる場合、長方形の内部で円の通らなかった部分の面積は何㎠ですか。

 

 

内側を転がる場合にセンターラインの公式を使うときはあとで修正する(重なりを引く)ことが必要になります。

右矢印 まず円の通った部分を考える。

  1. 円が長方形の内側を1周転がる場合」のセンターラインは長方形となりその長さは 10×2+6×2=32㎝
  2. ここに円の直径をかけると 32×2=64㎠
  3. しかしこのとき円は下の黒い部分を2回ずつ通過しており、いま黒い部分を2回ずつ数えているので、ここから黒い部分の面積(1回分)を引いたものが円の通った部分の面積となる

黒い部分の面積は1辺2㎝の正方形から半径1㎝の円を引いた残り(の¼の4コ分)なので

 2×2-1×1×3.14=0.86㎠

したがって円の通った部分の面積は

 64-0.86=63.14㎠

よって円の通らなかった部分(白い部分)の面積は
 12×8-63.14=32.86㎠
 
 

  センターラインの公式②(海城2023)

 

下の図のような、長方形と正方形とおうぎ形を使ってかいた図形を考えます。

半径1cmの円が、この図形の辺や弧からはなれることなく図形のまわりを1周します。

⑴ 円が図形の外側を1周するとき、円の中心の点Pが通ってできる線の長さを求めなさい。

 

右矢印 直線部分と曲線部分に分けて求めると

❶直線部分…青い線を右回りに足していくと

 8+4+7+2+3+4+4+3+3+4=42㎝

❷曲線部分

①赤い線…大きい円弧(半径5㎝、中心角90°)が3つあるから

 10×3.14×¼×3=23.55㎝

②赤の点線…小さい円弧(半径1㎝、中心角90°)が4つあるから

 2×3.14×¼×4=6.28㎝

よって 42+23.55+6.28=71.83㎝

 

⑵ 円が図形の内側を1周するとき、円が通過する部分の面積を求めなさい。

 

右矢印 まずセンターラインの長さを求めると

❶直線部分…青い線を左上から足していくと

 2+7×2+4×2+4×2+3×2+2=40㎝

❷曲線部分…①②の合計で 6×3.14=18.84㎝

①赤い線…大きい円弧(半径3㎝、中心角90°)が3つあるから 6×3.14×¼×3

②赤の点線…小さい円弧(半径1㎝、中心角90°)が3つあるから 2×3.14×¼×3

となるとセンターラインの長さは

 40+18.84=58.84㎝

ここに円の直径をかけると 58.84×2=117.68㎠

 

ここから2回ずつ通過している部分の面積を引く必要がある。これは下図のように1辺2㎝の正方形から半径1㎝の円を引いた残りの¼部分が(90°に曲がる4つの角で)4コあるから

 2×2-1×1×3.14=0.86㎠

 

よって円が通過する部分の面積は

 117.68-0.86=116.82㎠ 完了