鉄橋とトンネル(通過算2023④) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年の入試問題から通過算の第4弾です。

通過算の一行問題は列車どうしの問題、鉄橋を使った問題、トンネルを使った問題など状況はいろいろですが、解き方はだいたい決まっているので、状況を正しく理解することにだけ気をつけて確実に得点したいところです。

 

  列車どうし①(広尾学園2023)

 

長さ250mの電車Aが、長さ400mの電車Bに追いついてから追い抜くまでにかかった時間は65秒でした。また、電車Aと電車Bが出会ってからすれ違うまでにかかった時間は13秒でした。電車Aの速さは時速何kmか答えなさい。

 

右矢印 電車Aの速さをA、電車Bの速さをBとする。

長さ250mの電車Aが、長さ400mの電車Bに追いついてから追い抜くまでにかかった時間は65秒」の状況を考えると、距離650mを65秒で追い抜いたから A-B=秒速10m…①

 

また「電車Aと電車Bが出会ってからすれ違うまでにかかった時間は13秒」の状況を考えると、距離650mを13秒ですれ違ったから A+B=秒速50m…②

①+②より A+A=秒速60m だから A=秒速30m

よって電車Aの時速は 30×3600÷1000=時速108km

 

 

  鉄橋①(神戸海星女子2023)

 

列車がある地点を通過するのに6秒かかり、長さ525mの鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまでに31秒かかりました。この列車の速さは毎時□kmです。

 

右矢印 問題文にある情報を整理すると

  1. 列車がある地点を通過するのに6秒」かかるというのはその列車自身の長さを走るのに6秒かかるということ
  2. 長さ525mの鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまでに31秒」かかるというのはその鉄橋の長さ+列車自身の長さを走るのに31秒かかるということ
とすると1.と2.の距離の差と時間の差に注目して鉄橋の長さ525mを進むのに25秒かかるのがわかる
 

よって列車の速さは525÷25=毎秒21mとなり、時速に直すと

 21×3600÷1000=毎時75.6km


 

  列車どうし②(目黒日大中2023)

 

長さ80mの急行列車が反対方向から来たA列車とすれ違うのに5秒かかり、A列車と同じ速さで、長さが2倍のB列車とすれ違うのに8秒かかりました。急行列車がA列車と同じ速さで長さが4倍のC列車とすれ違うには□秒かかります。

 

右矢印長さ80mの急行列車が反対方向から来たA列車とすれ違うのに5秒」かかった様子(❶)と「長さが2倍のB列車とすれ違うのに8秒」かかった様子(❷)を図にしてみる。このとき「長さが2倍のB列車」はA列車を2両つなげたものと考えることができるからそのように書いておく。

するとA列車の1つ分を進むのに3秒かかるのがわかる。

よって「長さが4倍のC列車」とすれ違う様子(❸)を考えたとき、❶からA列車3つ分だけ長くなっているから

 5秒+3秒×3=14秒

 

 

  トンネル(明治大学付属明治2023)

 

一定の速さで走る長さ2.5mの車が、960mのトンネルに入り始めてから通過し終わるまでにかかる時間を計ります。2回目は1回目より車の速さを1割だけ速くしたので、通過にかかる時間は5秒短くなりました。この車の1回目の速さは毎時□kmです。

 

右矢印2回目は1回目より車の速さを1割だけ速くした」から

 1回目の速さ:2回目の速さ=10:11

とすると距離が同じならかかる時間の比は速さの逆比なので、1回目にかかった時間を⑪秒とすると2回目の時間は⑩秒。この差①=5秒だから1回目にかかった時間は55秒(=5×11)

このとき走った距離は962.5m(=960+2.5。「トンネルに入り始めてから通過し終わるまで」なので車自体の長さも走っている)だからその速さは

 962.5÷55=秒速17.5m

よって時速に直すと 17.5×3600÷1000=毎時63km

 

 

  鉄橋②(香蘭2023第2回)

 

ある列車は全長86mの鉄橋を渡り始めてから渡り終えるのに33秒かかります。列車の速さを3倍にすると、全長1030mの鉄橋を渡り始めてから渡り終えるのに70秒かかります。この列車の長さは□mです。

 

右矢印 問題文にある列車の速さ情報をいつもの「3倍」でそろえると

  1. 列車はいつもだと「全長86mの鉄橋を渡り始めてから渡り終えるのに33秒」かかるから、速さを3倍にすると86mの鉄橋を渡り始めてから渡り終えるのに11秒かかる。
  2. その列車が同じ3倍の速さで「全長1030mの鉄橋を渡り始めてから渡り終えるのに70秒」かかる

となると1.と2.の距離の差と時間の差に注目して944m(=1030-86)の距離を進むのに59秒(=70-11)かかるのがわかる。

 

したがって、この列車の速さ(いつもの3倍の)は944÷59=秒速16m

よって、この列車は70秒で16×70=1120m進むから、ここから鉄橋の長さ1030mを引いた 90m が列車の長さ

 

 

  トンネルと鉄橋(青陵2023)

 

一定の速さで走る長さ180mの列車が900mのトンネルを通るとき、列車がトンネルに完全にかくれている時間は45秒でした。この列車が748mの鉄橋を渡りはじめてから渡り終わるまでにかかる時間は□秒です。

 

右矢印長さ180mの列車が900mのトンネルを通るとき」「列車がトンネルに完全にかくれている」間に走る距離は900-180=720m。これを45秒で走るからその速さは 720÷45=秒速16m

この列車が「748mの鉄橋を渡りはじめてから渡り終わるまで」に走る距離は748+180=928m

よって 928÷16=58秒 完了