回文数③ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

回文数を取り上げた今年の出題例に次のようなものがあります。

 

  15の倍数となる回文数(東京女学館2023帰国)

 

12321や70707のように、数字の並びが左右対称の整数を回文数といいます。このとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ 5けたの回文数は全部で何個あるか求めなさい。

 

右矢印 上3ケタ(万の位、千の位、百の位)を考えると100~999まで900コある。この900コそれぞれに対して回文数となるような下2ケタ(十の位と一の位)が必ず1通りだけ決まるからぜんぶで 900個

 

⑵ 5けたの回文数の中で、5の倍数であるものは何個あるか求めなさい。


右矢印 小問⑴で求めた5ケタの回文数900コの中身は一の位が1のものから9のものまで同じ数だけ(それぞれ100コずつ)ある。

そして5の倍数である回文数は一の位が5のものだけ(一の位が0の回文数はない)なので5の倍数である5ケタの回文数は 100個

 

⑶ 5けたの回文数の中で、15の倍数であるものは何個あるか求めなさい。

 

右矢印 「15の倍数」ということは5の倍数でもあり3の倍数でもあるということ。そこで小問⑵で求めた5の倍数の回文数100コのうち3の倍数になっているものの個数を求める。

 

まず万の位と一の位は5に決まり「5ABA5」の形になる。

このとき条件に合う「ABA」の組合せ(A+B+Aを3でわると2あまる数になる)をさがすと

 ①Aが0(50B05)のもの…Bは2、5、8の3コ

 ②Aが1(51B15)のもの…Bは0、3、6、9の4コ

 ③Aが2(52B25)のもの…Bは1、4、7の3コ

 ④Aが3(53B35)のもの…①と同じでBは3コ

 ⑤Aが4(54B45)のもの…②と同じでBは4コ

 ⑥Aが5(55B55)のもの…③と同じでBは3コ

 ⑦Aが6(56B65)のもの…①と同じでBは3コ

 ⑧Aが7(57B75)のもの…②と同じでBは4コ

 ⑨Aが8(58B85)のもの…③と同じでBは3コ

 ⑩Aが9(59B95)のもの…①と同じでBは3コ

よって①~⑩の合計で33個

 
 

  11の倍数となる回文数(奈良学園中2023)

 

次の[ア]〜[セ]にあてはまる数を入れなさい。
14541のように逆から数を並べても、もとの数と同じになる数を回文数といいます。
2けたの整数のうち回文数は、
 11、22、33、44、…、99 より全部で[ア]個あります。

 

右矢印 ア=9

 

3けたの整数のうち回文数は、
百の位が1の場合、101、111、121、…、191より[イ]個、
百の位が2の場合、202、212、222、…、292より[イ]個、
同様に見ると、百の位が9の場合、909、919、929、…、999より[イ]個あることから、全部で[ウ]個あります。

 

右矢印 イ=10、ウ=90

 

4けたの整数のうち回文数は、
千の位が1の場合、1001、1111、1221、…、1991より[エ]個あることから、全部で[オ]個あります。

 

右矢印 エ=10、オ=90

 

5けたの整数のうち回文数は、
ー万の位が1の場合、10001、10101、10201、…、19891、19991より[カ]個あることから、全部で[キ]個あります。

 

右矢印 力=100、キ=900

 




次に、11以上の回文数を小さいものから順に並べます。
 11、22、33、44、…、99、
 101、111、121、…、
 1001、1111、1221、…
このとき、初めから数えて10番目の数は[ク]、100番目の数は[ケ]、1000番目の数は[コ]です。

 

右矢印 順に考えていくと

  • 2ケタの回文数が9コあるから「初めから数えて10番目の数」は3ケタの最初の回文数で ク=101
  • 2ケタと3ケタの回文数で合計99コあるから「100番目の数」は4ケタの最初の回文数で ケ=1001
  • 2ケタ、3ケタ、4ケタの回文数で9+90+90=189コある。5ケタの回文数は1ではじまるもの「1XXX1」が100コ、「2XXX2」が100コ、…、「8XXX8」が100コあり、ここまでで 189+100×8=989コ。となると「1000番目の数」は「9XXX9」という回文数の11番目の数。そこで9ではじまる5ケタの回文数を小さい順に数えていくと  ①90009、②90109、③90209、④90309、⑤90409、⑥90509、⑦90609、⑧90709、⑨90809、⑩90909、⑪91019なので コ=91019

 


また、この数の並びの中に、2けたの11の倍数は[サ]個、3けたの11の倍数は[シ]個あります。11から数えて15番目に出てくる11の倍数は「ス]で、100番目に出てくる11の倍数は[セ]です。

 

右矢印 まず回文数の性質として偶数けたの回文数は必ず11の倍数となる。

 

たとえば4けたの回文数ABBAを考えると、A×1000+B×100+B×10+A=A×1001+B×110=11×(A×91+B×10)とすることでわかります。

これを使って考えていくと

  1. 2けたの11の倍数」は2ケタの回文数はすべて11の倍数だから9コあり サ=9
  2. 3けたの11の倍数」は121、242、363、484、616、737、858の8コで シ=8
  3. 11から数えて15番目に出てくる11の倍数」は「2けたの11の倍数」が9コあるから3けたの11の倍数」の6番目の数で ス=737
  4. 100番目に出てくる11の倍数」は(「2けた」が9コ、「3けた」が8コあるから)4ケタの11の倍数の83番目(=100-9-8)の数。そして4ケタの回文数はすべて11の倍数だから4ケタの回文数の83番目の数をさがせばよい。4ケタの回文数は「1XX1」が10コ、「2XX2」が10コ、…、「8XX8」が10コあるから(ここまでで80コだから)「9XX9」の3番目の数となる。よって①9009、②9119、③9229より セ=9229 完了