以前の記事の続きです。
今年の入試問題から流水算の第3弾になります。
その1(札幌日大2023)
静水での速さが時速▢kmの船があります。ある日、この船で川を126km上ると14時間かかりました。次の日は、川の流れの速さが1.2倍になったので、同じところを上るのに15時間かかりました。▢にあてはまる数を答えなさい。
「ある日」は上りに14時間、「次の日」は上りに15時間かかった。距離一定のとき時間と速さは逆比の関係にあるから、ある日の上りの速さは⑮、次の日の上りの速さは⑭とおくことができる。
この差①は、次の日に「川の流れの速さが1.2倍になった」=川の流れが1→1.2に早くなったことによるから、①=0.2より、川の流れは⑤→⑥に早くなったということ。
よって、ある日の上りの速さ⑮=126km÷14時間=時速9kmだから、静水での船の速さ⑳(=⑮+⑤)は 時速9km÷15×20=時速12km
その2(田園調布2023第2回)
ある川に沿って21km離れたA、B2つの町があり、この間を往復する甲船と乙船があります。下のグラフは、A町とB町を往復する甲船と乙船の時刻と距離の関係を表したものです。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、2せきの船の静水時での速さと川の流れの速さは、それぞれ一定とします。
⑴ 甲船の静水時での速さは時速何kmですか。また、川の流れの速さは時速何kmですか。
グラフから甲船について次のことが読み取れる
- 甲船はAを9:00に出発してBに11:20に到着したから、A→Bの上りに2時間20分かかった
- またBを11:20に出発してAに12:50に到着したから、B→Aの下りに1時間30分かかった
⑵ 乙船がB町を出発した時刻は何時何分か、求めなさい。また、なぜそうなるのかを図や式などを使って説明しなさい。
- 乙船はA→Bの上りに2時間6分(=13:26-11:20)かかったから、この上りの速さは 21km÷2.1時間=時速10km
- 川の流れの速さは時速2.5kmなので、乙船の静水時の速さは時速12.5km。また乙船の下りの速さは時速15km
- そうなるとB→Aの下りに 21÷15=1.4時間=1時間24分かかるから、11:20にA町に着くには 11:20-1:24=9:56 にB町を出る必要がある
よって乙船がB町を出発した時刻は9時56分
⑶ 甲船と乙船が初めて出会う場所は、A町から何kmの地点か、求めなさい。また、なぜそうなるのかを図や式などを使って説明しなさい。
ダイヤグラム上にある相似な三角形に注目する。
この相似比は 84分:140分=3:5 だから、2つの船が出会うのは甲がAB間の⅝を進んだところ。
よって 21×⅝=13⅛よりA町から13⅛kmの地点
その3(青山2023)
太郎君と花子さんは、それぞれ同じ速さのボートに乗って2400 m離れた川の上流のA地点と下流のB地点を往復します。太郎君はA地点から、花子さんはB地点から同時に出発すると、B地点から900m離れたところで一度2人はすれ違い、その後6分40秒たって再びすれ違いました。川の流れの速さは分速▢mです。
ボートの静水時の速さを「ボ」、川の流れの速さを「川」とする。
2人が最初にすれ違ったのは「B地点から900m離れたところ」。このとき2人の進んだ距離について
900m:1500m=3:5
となっており、距離は速さに比例するから
上りの速さ=ボ-川=3、下りの速さ=ボ+川=5
という関係になっている。とするとボ:川=4:1がまずわかる。
つぎにかかった時間について考えるため状況をダイヤグラムにすると次のとおり。
ダイヤグラム上にある三角形に注目すると、次のように赤どうし、青どうしは相似な三角形(相似比5:3)となっている。また同じ記号で書いたものは合同な三角形となっている。
そこで2人が最初にすれ違うまでの時間を分とおくと、そこから花子さんがA地点に着くまでに分、そこから2回めにすれ違うまでに分かかる。
とわかり、2人が最初にすれ違うのは³⁰⁰⁰⁄₁₇秒後
これを使って最初のすれ違いについて2人の出会い算を考えると
(ボ+川+ボ-川)׳⁰⁰⁰⁄₁₇秒=2400m より ボ×2=13.6
だから ボ=秒速6.8m=分速408m
よって川の流れの速さはこの¼の分速102m