相当算2023② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

今年の入試問題から相当算の第2弾です。
 

  その1(洗足学園2023第2回)

 

花子さんは欲しい本が3冊あり、いずれも720円ですが、現在持っているお金では1冊も買えません。ある日、持っているお金と同じ金額のお小遣いを父からもらったので、1冊目を買うことができた上に、お金が残りました。次の日、残ったお金と同じ金額のお小遣いを母からもらい、2冊目を買うことができて、またお金が残りました。さらにその次の日、残ったお金と同じ金額のお金を兄からもらうことができたので、3冊目が買えてお金は残りませんでした。花子さんがもらったお金の合計は何円ですか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図を書きなさい。

 

右矢印 うしろから考えていく。

  1. 3日めに「残ったお金と同じ金額のお金を兄からもらうことができた」ので3冊目が買えてお金は残らなかったから(本の代金は720円より)兄からもらった金額=2日めの残金=360円とわかる
  2. とすると2日めに2冊目の本を買う前は360+720=1080円あった。これは「残ったお金と同じ金額のお小遣いを母から」もらった結果なので、母からもらった金額=1日めの残金=540円
  3. とすると1日めに1冊目の本を買う前は540+720=1260円あった。これは「持っているお金と同じ金額のお小遣いを父からもらった」結果なので、父からもらった金額=最初に持っていたお金=630円
よって、花子さんがもらったお金の合計は 360+540+630=1530円


 

  その2(洗足学園2023第2回)

 

3枚の大きさの異なる折り紙A、B、Cがあり、面積はAが172㎠、Bが89㎠、Cが52㎠です。この折り紙を図のように貼り合わせたところ、重なっていない部分の面積の比が11:5:3になりました。2つののりしろの部分の面積が等しいとすると、折り紙を貼り合わせた図形全体の面積は何㎠ですか。

 

右矢印 重なりの面積を▢㎠とする。

面積はAが172㎠、Bが89㎠、Cが52㎠」で「重なっていない部分の面積の比が11:5:3」より

 (172-□):(89-□×2):(52-□)=11:5:3

ここで 172-□=⑪ とおくと 52-□=③ となる

2つの差を考えると ⑧=120より ①=15㎠

したがって 52-□=45 より ▢=7㎠

 

そして折り紙3枚の面積の和は313㎠(=172+89+52)。これは2か所ある重なりを2回ずつ数えているので、ここから重なり2つ分を引いたものが「折り紙を貼り合わせた図形全体の面積」となる。

よって 313-7×2=299㎠

 

 

  その3(芝中2023)

 

はじめにA君とB君あわせて52本の鉛筆を持っています。
A君がB君に持っている鉛筆の本数のちょうど⅓をあげてもまだA君の方が多かったので、さらに、[ア]本あげるとA君の持っている鉛筆の本数とB君の持っている鉛筆の本数が等しくなります。
ただし、[ア]本は、はじめにB君が持っていた鉛筆の本数のちょうど⅕です。このとき、A君がはじめに持っていた鉛筆の本数は[イ]本です。

 

右矢印 マルイチ算で解こうとすると途中の計算がかなり面倒になってしまう。

そこで問題文から論理的に考えてみる。

  1. A君がB君に持っている鉛筆の本数のちょうど⅓をあげてもまだA君の方が多かった」からA君の持っている本数はB君の本数の3倍より大きい
  2. そして鉛筆はぜんぶで52本だから 52÷4=13 よりB君の本数は12本以下(B君がたとえば13本とするとA君は39本となり1.の条件に合わなくなってしまう)
  3. また「[ア]本は、はじめにB君が持っていた鉛筆の本数のちょうど⅕」だからB君が持っていた本数は5の倍数。となると10本か5本
  4. よって考えられる組合せは❶B君が10本でA君は42本か、❷B君が5本でA君は47本かのどちらか。このうち「A君がB君に持っている鉛筆の本数のちょうど⅓をあげて」ということができるのは❶だけ

よって ア=2、イ=42

 

 

  その4(市川中2023)

 

2つの容器A、Bがあります。はじめ、Aには容積の⅞、Bには容積の⅘の水が入っていました。AからBにいくらか水を移したところ、Aに入っている水は容積の¹⁹⁄₂₅、Bに入っている水は容積の⁹⁄₁₀になりました。AとBの容積の比を求めなさい。

 

右矢印 Aの容積を「A」、Bの容積を「B」とする。

  1. はじめに入っていた水の量はAがA×⅞、BがB×⅘だったからその和はA×⅞+B×⅘
  2. 水を移したあと水の量はAがA×¹⁹⁄₂₅、BがB×⁹⁄₁₀になったからその和はA×¹⁹⁄₂₅+B×⁹⁄₁₀
  3. 水の量は変わらないので A×⅞+B×⅘=A×¹⁹⁄₂₅+B×⁹⁄₁₀
ここからでもAとBの関係を出せるが、空気の和(水の入っていない部分の容積の和)もまた変わらないから
 A×⅛+B×⅕=A×⁶⁄₂₅+B×⅒
も同時に成り立っており、計算が簡単なこちらを使う。
ぜんぶを100倍して A×12.5+B×20=A×24+B×10
よって A×11.5=B×10 より
 A:B=10:11.5=20:23 完了