以前の記事の続きです。
受験算数の定番問題の一つにおまけの問題があります。空きビンを題材に使うことが多いので「空きビン問題」などと呼ばれたりもします。
今年の入試問題では次のような出題例があります。
その1(フェリス2023)
あるスーパーでは3本のラムネの空きビンと、1本の新しいラムネを交換してくれます。
たとえば、7本のラムネを買って、そのうち6本の空きビンをスーパーに持っていくと、2本の新しいラムネと交換してくれます。この2本の新しいラムネの空きビンと前の残りの1本の空きビンを持っていくと、もう1本新しいラムネをもらえるので、合計10本のラムネを飲めます。
次の[ア]、[イ]にあてはまる数を求めなさい。
① 30本の新しいラムネを買うと、合計で[ ]本までラムネを飲めます。
買ったラムネを○、おまけを●として、たとえば10本買ったときの様子を絵にしてみるとつぎのとおり。
たしかに例題にあるように「7本のラムネ」(①②③⑤⑥⑧⑨)を買うとおまけが3本(❹❼❿)ついてきて「合計10本のラムネ」が飲める。
ここでわかるのは最初の1本①をのぞけばあとは
「○○●○○●○○●…」
と周期3でくり返すこと。つまり最初の1本をのぞけばあとは2本買うごとに1本もらえるのがわかる。
そこで次のように考えることができる。
- 最初に1本を引いて(30-1=29)おまけの対象となるのは29本
- 29÷2=14あまり1よりもらえるおまけは14本
よって、買った本数30本と合わせて 44本
② 合計で100本のラムネを飲むには、少なくとも[ ]本のラムネを買う必要があります。
小問①の「買った本数→全体の本数」の求め方を覚えるのは簡単ですが、逆のパターン「全体の本数→買った本数」まで一緒に覚えようとすると混乱してしまう(約1年先の入試本番までには忘れてしまう)可能性がかなり高くなります。これが(実はさほど難しくない)空きビン問題を小学生にとって難しいものにしている大きな原因だと考えています。空きビン問題では「買った本数→全体の本数」の一方向だけ覚えておく(逆のパターンは次のようにこれをそのまま使って現場で出す)のが実戦的なやり方です。
小問①でわかったように本問では両はしをのぞくと必ず「買った本数:おまけ=2:1」となっている。
そこでほしい本数のだいたい⅔を買えば残り⅓はおまけでもらえると考える。
ということで合計100本のラムネを飲むには
100×⅔=66.6…
よりだいたい66本ぐらい買えばいい。そこで66本を買ったらどうなるか実験してみる(もし足りないなら1本ずつ買い足していく)
問題集の解説にあるようきれいに1回でびしっと答えが出る必要はぜんぜんないわけで、まずだいたいの見当をつけてあとで正しく求めるというやり方(以前の記事「仕事算2023」の問題その4でも使った)になります。
❶66本買うとき
66-1=65 65÷2=32あまり1
より32本もらえる。66+32=98で100本にはあと2本たりない。
❷67本買うとき
67-1=66 66÷2=33
より33本もらえる。67+33=100とちょうど100本になった。
よって67本
その2(明大中野2023)
あるお店では、アイスバーの棒を3本持っていくと、1本のアイスバーと引きかえることができます。このお店でアイスバーを21本買うと、最も多くて何本食べることができますか。ただし、はじめに棒は1本も持っていなかったものとします。
問題その1と同じ「2本買うごとに1本もらえる」パターンなので
- 21-1=20より20本がおまけの対象となる
- 20÷2=10よりもらえるおまけは10本
よって、買った本数21本と合わせて 31本
その3(普連土2023算数)
101本のジュースがあります。このジュースの空き瓶を6本お店に返すと1本の新しいジュースがもらえます。これを繰り返すとき、合計で何本のジュースを飲むことができますか。
こんどは「5本買うごとに1本もらえる」パターンなので
- 101-1=100より100本がおまけの対象
- 100÷5=20よりもらえるおまけは20本
よって、最初にあった101本と合わせて 121本
その4(浦和明の星2023)
あるお店には、そのお店の牛乳の空きビンを6本持って行くと、新しい牛乳1本と交換してくれるサービスがあります。明子さんは、6本の空きビンがたまったらすぐにこのサービスを利用して新しい牛乳1本と交換してもらうことをくり返しながら、できるだけ多くの牛乳を飲むことにしました。次の問いに答えなさい。
⑴ 明子さんが牛乳を35本買うと、全部で何本飲むことができますか。
問題その3と同じ「5本買うごとに1本もらえる」パターンなので
- 35-1=34より34本がおまけの対象
- 34÷5=6あまり4よりもらえるおまけは6本
よって、買った本数35本と合わせて 41本
⑵ 次の空欄[ア]〜[エ]に入る数を答えなさい。
買った牛乳の本数より1本多く飲むことができるのは、買った牛乳が[ア]本以上[イ]本以下のときであり、買った牛乳の本数より2本多く飲むことができるのは、買った牛乳が[ウ]本以上[エ]本以下のときである。
「買った牛乳の本数より1本多く飲むことができる」のは⑥から⑪の間のときなので買った牛乳が6本以上10本以下のとき
「買った牛乳の本数より2本多く飲むことができる」のは⑫から⑰の間のときなので買った牛乳が11本以上15本以下のとき
よってア=6、イ=10、ウ=11、エ=15
⑶ 明子さんが全部で100本の牛乳を飲むことができるのは、何本の牛乳を買ったときですか。
本問では両はしをのぞくと必ず「買った本数:おまけ=5:1」となっている。そこでほしい本数のだいたい⅚を買えば残り⅙はおまけでもらえる。
となると全部で100本の牛乳を飲むには
100×⅚=83.3…
よりだいたい83本ぐらい買えばいい。そこで83本を買ったらどうなるか実験してみる(もし足りないなら1本ずつ買い足していく)
❶83本買うとき
83-1=82 82÷5=16あまり2
より16本もらえる。83+16=99で100本にはあと1本たりない。
❷84本買うとき
84-1=83 83÷5=16あまり3
より同じく16本もらえる。84+16=100とちょうど100本になった。
よって84本