旅人算2023 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年も数多くの旅人算が出題されましたが、大問で出される場合には旅人算プラスアルファの形で出されることが近年多くなっています。

先日取り上げた問題は周期算+旅人算というものでしたが、今回は旅人算+植木算というものになります。

 

太郎さんと次郎さんが、ある山の登山口から山頂までの同じルートを1往復します。休憩をしない場合、太郎さんは登山口から山頂まで上るのに300分かかり、次郎さんは登山口と山頂の間を往復するのに750分かかります。
2人の下りの速さはそれぞれ、上りの速さの2倍です。ただし、2人の上りの速さと下りの速さはそれぞれ一定とします。(開智2023先端1)
⑴ 太郎さんと次郎さんの上りの速さの比は何対何ですか。

 

右矢印2人の下りの速さはそれぞれ、上りの速さの2倍」だから、次郎の上りの速さを1とすると下りの速さは2。距離が一定なら速さと時間は逆比の関係になるから、上りの時間:下りの時間=②:①。この合計③が750分だから、次郎は上りに500分(=750×⅔) かかった。

これに対し太郎は「登山口から山頂まで上るのに300分」かかるから(速さは時間の逆比だから)上りの速さの比は太郎:次郎=5:3

 

ある日、2人が同時に登山口を出発し、休憩をせずに山頂まで上りました。
太郎さんは、山頂で4時間休憩してから下りました。次郎さんは山頂で休憩をせず、すぐに下りました。
太郎さんは、山頂から下る次郎さんを、登山口からの道のりが6300mの地点で追い越しました。
⑵ 登山口から山頂までのルートの道のりは何mですか。

 

右矢印 2人は「同時に登山口を出発し、休憩をせずに山頂まで」上ったから、山頂の到着時間は太郎は300分後、次郎は500分後。

太郎は「山頂で4時間休憩」したから下りはじめたのは300+240=540分後。次郎は「山頂で休憩をせず」すぐに下りたから下りはじめたのはそのまま500分後。

 

ここで小問⑴より、太郎の上りの速さを分速⑤mとすると次郎の上りの速さは分速③m。また「2人の下りの速さはそれぞれ、上りの速さの2倍」だから、下りの速さは太郎が分速⑩mで次郎が分速⑥m。

 

とすると次郎は40分早く下りはじめたから、太郎が山頂を出た時には ⑥×40=m の差がついている。これを追いつくのは

 ÷(⑩-⑥)=60分後

 

そして太郎は下りに150分(=300分×½)かかるから、追いついた地点は登山口まであと90分のところ。これは「登山口からの道のりが6300mの地点」だから、太郎の下る速さは 6300÷90=分速70m

よって、登山口から山頂までの道のりは 70×150=10500m

 

⑶ このルートの道のりを10等分した目印があります。登山口が0合目、1つ目の目印が1合目、2つ目の目印が2合目、…、山頂が10合目です。
このルートをゴミ収集車が運行しており、2人と同じ様に下りの速さは上りの速さの2倍です。ゴミ収集車の上りの速さと下りの速さはそれぞれ一定です。ゴミ収集車が止まらずに進めば、登山口と山頂の間を往復するのに150分かかります。
ゴミ収集車は、それぞれの合目でゴミを回収するために10分間止まって作業を行います。ただし、0合目の登山口ではゴミ回収を行わず、何分間か車両整備を行います。
この日、2人が同時に登山口を出発してから1時間後に、ゴミ収集車は登山口を出発しました。
このゴミ収集車は、1往復して再び登山口から山頂へ向かう途中で、2人と同時に同じ地点で出会いました。
⑶ ゴミ収集車が車両整備を行っていた時間として考えられるのは、何分間から何分間ですか。

 

右矢印 山頂まで10500mあるうち6300m地点はちょうど⁶⁄₁₀なので6合目。この6合目地点にゴミ収集車は「1往復して再び登山口から山頂へ向かう途中」で「2人が同時に登山口を出発してから」ちょうど600分後にいないといけない。

 

そこでゴミ収集車が1往復したあと6合目地点に到着するまで何分かかるかを「車輌整備を行っていた時間」はひとまず考えずに計算すると

  1. 2人が同時に登山口を出発してから1時間後」に出発するからここで60分
  2. 登山口と山頂の間を往復するのに150分」(このうち上りは100分)かかるから、1往復したあとまた6合目に着くまでに 150+100×⁶⁄₁₀=210分
  3. ゴミ収集するのが1往復で19回(0合目は0回、1~9合目は2回、10合目は1回)そのあと6合目に到着するまでさらに5回(1~5合目)あるから合計24回で240分

このように、車両整備の時間を考えないとしたら、1.~3.の合計で、ゴミ収集車が6合目に到着するまでに510分かかる。

そしてゴミ収集車は6合目でも10分のゴミ収集を行うから6合目を出発するまでに520分かかる。

 

よって、ゴミ収集車は(6合目でのゴミ収集前だったのか収集後だったのか収集中だったのかはわからないがとにかく)600分後に6合目で2人と出会ったのだから、車両整備を行っていた時間はその差である 80分間から90分間 完了