以前の記事に関連する話です。
大問1では純粋に受験生の計算力をためす(力技で解く)問題が出されることが多いですが、なかには計算力プラスアルファがためされている問題もあります。それでも力技で解こうとすると思わぬ時間がかかったり、時間をかけても解けなかったりすることになります。
たとえば次のような問題。
計算の工夫①(田園調布学園2022)
0.8×0.7×0.6×□=0.672
素直な小学生は 0.8×0.7=0.56、0.56×0.6=…と左から順に計算していきますが、それだとどうしても時間もかかるし、計算ミスの可能性も高くなるところです。
両辺を0.8で割ると 0.7×0.6×□=0.84
この両辺を0.7で割ると 0.6×□=1.2
よって □=2
計算の工夫②(鷗友学園2020)
177×416+178×283+179×301=▢
□がもし 178×416+178×283+178×301…① だったら簡単で
178×(416+283+301)=178×1000=178000
となる。
□と①を見くらべると、足しすぎた分が1×416、不足分が1×301あるので、これを調整すると
□=178000-416+301=177885
計算の工夫③(広尾学園2018)
1+3+9+27+81+243+729+2187+6561=□
3=3×1、9=3×3、27=3×3×3、…のようにどんどん3をかけていった数になっている。
そこで□×3をやってみると
□×3=3+9+27+81+…+6561+19683
これを最初の□とくらべると(ちょうどキセル算のように真ん中がぜんぶ消えて最初の1と最後の19683だけが残り)19683-1=19682 だけ大きくなるのがわかる。
よって □×2=19682 より □=19682÷2=9841
単位の換算(秀光中2022)
1ドル=110円、1ユーロ=120円、1元=15円とするとき、
(246ドル)+(333ユーロ)+(2022元)+(2640円)=▢ドル
2640円はそのままドルに直せるが、333ユーロと2022元はそのままではドルに直せない。
ここで少し考えると次の2点に気付く。
- 1ユーロ=120円=8元というようにドル以外はきれいな数字の関係にあること。そこで333ユーロは(ドルではなく)ひとまず元に直してみると 333×8=2664元
- 2640円は11で割り切れるからそのままドルに直すと 2640÷110=24ドル
そうするともとの式は
246ドル+2664元+2022元+24ドル=270ドル+4686元
と少しきれいに整理できる。
あとは元をドルに直すだけ。4686元=○ドルとすると、円に直すと4686×15=○×110となるから
○=4686×15÷110=213×3=639ドル
よって ▢=270+639=909ドル
分数の大小(芝国際中2023サンプル)
⁶⁄₁₁より大きく、⁹⁄₁₁より小さい分数の中で、分母が24である約分できない分数は全部で▢個あります。
よく見かける問題で、こういう問題を見ると機械的に通分してしまう小学生が多いです。もちろんそれで解けることも多いですが、本問でこれをやると分母264となり、¹⁴⁴⁄₂₆₄から²¹⁶⁄₂₆₄までの間で答えをさがさないといけなくなってしまいます。
分数で考えると大変そうなので小数に直す。すると ⁶⁄₁₁=0.545…、⁹⁄₁₁=0.818…
つまり0.545…より大きく0.818…より小さくなる分数をさがしていく。
まず¹²⁄₂₄=0.5はすぐわかるから分子は13以上。また(上限の⁹⁄₁₁をざっくり0.8と考えると)24×0.8=19.2より分子は19以下。
また14、15、16、18は分母24と約分できるので対象外。
この段階で分子の候補は13、17、19の3つにしぼられる。
あとは手を動かして計算する。
- 分子が13のとき、¹³⁄₂₄=0.541…なので条件に合わない。
- 分子が17のとき、¹⁷⁄₂₄=0.708…なので条件をみたす。
- 分子が19のとき、¹⁹⁄₂₄=0.791…なので条件をみたす。
条件整理①(広尾学園2018)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230112/03/jukensansuwa/9e/46/p/o1998045315228762633.png?caw=800)
(ただし、□は同じ整数が入ります。)
ふつうの逆算の問題として対応しようとするとハマってしまう問題です。
真ん中の□/4に注目する。もし□が9だと□/4は2¼=2¹⁵⁄₆₀となり、右辺の2¹³⁄₆₀をこえてしまう。10以上でも同じなので、□は8以下の整数と決まる。
あとは□に8、7、6、…と順に入れてためしていく。
- □=8のとき、左はしの2/□が²⁄₈=¹⁵⁄₆₀となり、やはり右辺をこえてしまう。
- □=7のとき、左はしは²⁄₇となるが、右辺の分母60を考えるとこれはない。
- □=6のとき、左辺=²⁄₆+⁶⁄₄+⁴⁄₈=2⅓ となり右辺と合わない。
- □=5のとき、右はしに⁴⁄₇ができてしまい、右辺の分母60にはならない。
- □=4のとき、左辺=²⁄₄+⁴⁄₄+⁴⁄₆=2⅙ となり右辺と合わない。
- □=3のとき、左辺=⅔+¾+⅘=2¹³⁄₆₀となる。
よって □=3
条件整理②(秀光中2018)
□×(1-1÷□)=46
(ただし、2つの□には同じ数が入ります)
これもふつうの逆算の問題として対応しようとするとハマってしまう問題です。
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