円順列② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

円順列は次のような問題としても出題されています。

 

  正方形のタイル模様(豊島岡2021第2回)

 

下の<図1>のように、同じ大きさの正方形のタイルが9枚並んでいます。これらのタイルに色をぬる方法が何通りあるかを考えます。

例えば、4枚のタイルに色をぬる場合、

<図2>と<図3>は違う向きから見ると同じぬり方になるので、1通りと数えます。また、<図2>と<図4>は違う向きから見ても同じぬり方にはならないので、それぞれ異なるぬり方と考えます。このとき、次の各問いに答えなさい。

 

⑴ 2枚のタイルに色をぬる方法は何通りありますか。

 

右矢印 9枚のうち「2枚のタイルに色をぬる方法」はぜんぶで 9×8÷2=36通り

しかしここには❶同じものを4回ずつ数えた模様(4個の円順列)と、❷同じものを2回ずつ数えた模様(2個の円順列)とが混じっている。この2つに場合分けして「違う向きから見ると同じぬり方になる」ものを1通りとして数え直すと次のようになる。

 

1、まず、次の4つの模様は❷同じものを2回ずつ数えており、上どうし、下どうしが同じぬり方となっている。(共通点は2枚のタイルが大きな正方形の中心に対して点対称に並んでいること)

したがって、この4つは 4÷2=2通りとして数えることになる。

 

2、それ以外の32通り(=36-4)は❶同じ模様をすべて4回ずつ数えたもの(たとえば次の模様のように)の合計なので、32÷4=8通りとして数えることになる。

以上の合計で 10通り

 

⑵ 3枚のタイルに色をぬる方法は何通りありますか。

 

右矢印 9枚のうち「3枚のタイルに色をぬる方法」はぜんぶで 9×8×7÷(3×2×1)=84通り

これも❶4個の円順列と❷2個の円順列の2種類が混じっており「違う向きから見ると同じぬり方になる」ものを1通りとして数え直す。

 

1、まず、次の4つの模様は❷同じものを2回ずつ数えており、上どうし、下どうしは同じぬり方。(3枚のタイルが大きな正方形の中心に対して点対称に並んでいる)

したがって、この4つは 4÷2=2通りとして数えることになる。
 

2、それ以外の80通り(=84-4)は❶同じ模様をすべて4回ずつ数えたものの合計なので、80÷4=20通りとして数えることになる。

 

以上の合計で22通り
 
 

  同じものをふくむ円順列(湘南白百合2022)

 

赤玉が4つ、白玉が4つあります。これらを机の上に円形に並べる方法は全部で何通りあるか求めなさい。その際に図を必ず用いて考え方を説明しなさい。ただし、回転して同じになるものは1通りとして考えます。赤玉をⓇ、白玉をⓌなどとして用いてもかまいません。

 

右差し 簡単そうに見えますが、たとえば2018年の慶應大学医学部の入試問題でも同じ問題が出されています(もちろん言い回しは違いますが)。

 

右矢印 🔴🔴🔴🔴○○○○を横一列に並べたときの並べ方をまず考えると、8コの場所から🔴をおく4コの場所を選ぶ選び方なので、ぜんぶの並べ方は

 8×7×6×5÷(4×3×2×1)=70通り

 

これを円形にすると

  1. 🔴○🔴○🔴○🔴○のように²⁄₈回転するともとに戻るもの(2個の円順列)
  2. 🔴🔴○○🔴🔴○○のように⁴⁄₈回転するともとに戻るもの(4個の円順列)
  3. それ以外はすべて1回転するともとに戻るもの(8個の円順列)

という3種類が出てくる。それぞれ何通りになるかを考える。

  1. 2個の円順列…🔴○🔴○🔴○🔴○、○🔴○🔴○🔴○🔴の2つ。横一列だと2通りだが、円形だと²⁄₈回転すると同じになるのでこの2つは1通りになる
  2. 4個の円順列…🔴🔴○○🔴🔴○○、🔴○○🔴🔴○○🔴、○○🔴🔴○○🔴🔴、○🔴🔴○○🔴🔴○の4つ。横一列だと4通りだが、円形だと⁴⁄₈回転すると同じになるからこの4コは1通りになる
  3. 8個の円順列…それ以外の並びのもの64コ(=70-2-4)はすべて1回転して同じになるから(64÷8=)8通りになる
以上の合計で10通り

 

<参考>2018年慶應大学医学部の数学の入試問題