マニアックな受験算数「いちばん近い数」 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

名前もついていないようなすきま単元なのでとくに対策を取られることもないはずですが、簡単そうに見えるため初見で対応すると引っかかることもあるのがこの「いちばん近い数」(あえて名前をつけるなら)という問題です。

たとえば次のような形でひっそりと出され続けています。

 

  その1(緑ヶ丘女子2021)

 

2、3、5、7、9の5つの数字を全部1回ずつと、小数点を使って、30にいちばん近い数をかきましょう。

 

右矢印 条件に合うような「30にいちばん近い数」を30以下のものと30以上のもので比べると

  • 30以下のものは29.753
  • 30以上のものは32.579

となるから、2つを比べて 29.753

 

すぐにわかる問題なのにやや丁寧すぎる考え方をしているのは次のような問題もあるためです。

 

  その2(函館白百合2022)

 

1⃣、2⃣、3⃣、6⃣、7⃣、8⃣の6枚のカードから4枚を選び、下の▢に1個ずつあてはめます。
  3に一番近い小数は、▢.▢▢▢です。

 

右矢印 条件に合うような「3に一番近い小数」を3以下のものと3以上のもので比べると

  • 3以下のものは2.876
  • 3以上のものは3.126

だから、3に一番近い小数は(わずか0.002の差で) 2.876

 
最初の2つの数字だけ考えると、3以下でいちばん大きい数は2.8、3以上でいちばん小さい数は3.1。ここだけ見ると3.1の方が3に近いので、感覚的に対応すると間違えやすい問題といえます。

 

  その3(近大附属豊岡2022B)

 

下のような、0から9までの数字のカードが1枚ずつ、合計10枚あります。この中から4まいのカードを使って横に並べて4けたの整数をつくるとき、次の整数を答えなさい。
0⃣、1⃣、2⃣、3⃣、4⃣、5⃣、6⃣、7⃣、8⃣、9⃣

① 2番目に大きい数

 

右矢印 いちばん大きい数は9876、2番目に大きい数は 9875

 

② 3000にいちばん近い数

 

右矢印 条件に合うような「3000にいちばん近い数」を3000以下のものと3000以上のもので比べると

  • 3000以下のものは2987
  • 3000以上のものは3012

だから、3000にいちばん近い数は(わずか1の差で) 3012

 

 

  その4(昭和女子大附属2018B)

 

1⃣2⃣3⃣4⃣5⃣6⃣のカードを3枚ずつ並べて、2種類の3桁の数を作ります。その2種類の数の差をもっとも小さくするとき、その差は▢になります。

 

右差し 学校発表の受験生正答率11.1%となっています。

 

右矢印 「2種類の3桁の数」を作りその差をもっとも小さくするには、まず百の位は1つ違い(3XXと4XXのように)となることが必要。十の位はその残りの数字からできるだけ差が小さいものでつくることになる。

 

そこで百の位で場合分けして考えていくと

  • 最大の「1XX」と最小の「2XX」を考えると165と234。その差は69
  • 最大の「2XX」と最小の「3XX」は265と314でその差49。以下も同じように考えていくと
  • 3XXと4XX→412-365=47
  • 4XXと5XX→512-463=49
  • 5XXと6XX→612-543=69
このなかで差がもっとも小さいのは 412-365=47 完了