以前の記事に関連する話です。
円順列は高校受験生や大学受験生でも苦労する単元ですが、色のぬり分けなどとからめて中学入試で出されることもあります。
たとえば次のような出題例があります。
4色の円順列(桐光学園2020第3回)
右の図は、円を面積の等しい4つのおうぎ形に分けたものです。4つのおうぎ形を赤、青、黄、白の4色全部を使って塗り分けるとき、塗り方は▢通りあります。ただし、回転してぴったり重なる塗り方は同じものとします。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230102/21/jukensansuwa/f2/85/p/o1107110215224686193.png?caw=800)
ほかにも円順列の考え方はありますが、ダブっている回数で最後に割るやり方はいろいろ応用がきくし、組合せの計算方法(いったん順列の場合の数を求めてこれをダブっている回数で割る)とも一貫しているのでおすすめです。
まず「回転してぴったり重なる塗り方」を区別するとき(=ふつうの順列のとき)「4つのおうぎ形を赤、青、黄、白の4色全部を使って塗り分ける」方法は 4×3×2×1=24通り
これを「回転してぴったり重なる塗り方は同じもの」とするとき(=円順列のとき)1回転させると同じ色の並びが4回ずつあらわれるが、上の24通りはこれを別のものとして数えた場合の数なので、求める塗り方は 24÷4=6通り
5色の円順列(広尾学園2020第2回)
下の<図1>のように、円の中心から線をかいて円を5等分しました。5個のおうぎ形を5色の絵の具でぬり分けます。5色すべて使ってぬる方法は何通りありますか。ただし、回転させて同じぬり方になるものは同じぬり分け方として考えることにします。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230101/22/jukensansuwa/df/74/j/o1489158915224274198.jpg?caw=800)
5色の円順列なので(同じものを5回ずつ数えているから最後に5で割って)
5×4×3×2×1÷5=24通り
正六角形のタイル模様(桜蔭中2018)
同じ大きさの白と黒の正三角形の板がたくさんあります。図のように白い板を24枚すきまなく並べて正六角形を作ります。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230102/10/jukensansuwa/1a/a0/p/o1107102115224412133.png?caw=800)
次に、24枚のうち何枚かを黒い板と取りかえます。このとき、正六角形の模様は何通り作れますか。ただし、回転させて同じになるものは同じ模様とみなします。また、正六角形を裏返すことはしません。
① 24枚のうち1枚を取りかえたとき
円でもないし典型的な円順列の問題ではありませんが、円順列の考え方が使える問題です。
たとえば緑の部分のどれか1枚を黒に取りかえると「回転させて同じになるもの」が⅙回転するごとにあらわれる。つまり1回転させると6回あらわれ、この6枚が「同じ模様」で1通りとなる。
緑、青、黄の部分もすべて同じ模様が6回ずつあらわれるので、それぞれ1通りと数える。
よってぜんぶで4通り
② 24枚のうち2枚を取りかえたとき
1枚を取りかえるとき(小問⑴)は同じ模様が等しく6回ずつあらわれるので6個の円順列と考えてまとめて対応できましたが、2枚を取りかえるときには同じ模様が3回ずつしかあらわれないもの(3個の円順列)も混じってくる(下の❷)ため、場合分けをして考える必要があります。
❶まず取りかえる「24枚のうち2枚」の選び方はぜんぶで24×23÷2=276通り。
❷2枚を取りかえるときも小問⑴と同じく「回転させて同じになるもの」が6回ずつあらわれるのが基本だが、例外的に次の4つの模様は1回転させても3回ずつしかあらわれない(すべて六角形の中心に対して点対称となっているのが特徴)
こうして❶で出した276通りには、上の同じ模様を3回ずつ数えたものである4×3=12通りが入っているが、「回転させて同じになるものは同じ模様」とみなすとこの模様は(⅓回転するごとにあらわれる3個の円順列となっており)12÷3=4通りとなる。
❸そうすると(❷の模様の合計12通りを取りのぞくと)残りは 276-12=264通り。これはすべて同じ模様を6回ずつ数えたものだから(6個の円順列なので)264÷6=44通りある。
以上の合計で 4+44=48通り