以前の記事の続きです。
エンジンが止まる流水算と同じ処理をする問題として、ボートをこいでいる途中で休むというパターンもあります。
つぎの出題例はさらに周期算ともからめてあり、なかなか手ごわい問題になっています。
毎分50mの速さで流れる川があります。ゆうたさんとはるとさんはボートに乗り、A地点から上流にオールでこいで上ります。オールでこぎ続けているとき、2人はそれぞれ一定の速さで進むものとし、次のルールで川を上るものとします。(佐久長聖2021)
ルール
① ゆうたさんはA地点から「3分こいで1分休む」をくり返しながら川を上る
② はるとさんはA地点から「5分こいで2分休む」をくり返しながら川を上る
③ 1つのボートに2人で乗り、2人同時にこいでいる間は、川を上る速さが、それぞれ1人でこぎ続けたときの川を上る速さの平均を計算した結果の1.2倍になる
<例> 1人でこぎ続けたときの川を上る速さが、それぞれ每分45m、每分35mの2人が同時にこぎ続けると、次の計算により川を上る速さは毎分48mになる
{(45+35)÷2} × 1.2
このとき、次の各問いに答えなさい。ただし、人やボートなどの重さは考えないものとし、休んでいる間は川に流されます。
また、「川を上る速さ」とは、実際にこの川を上っているときの速さのことです。静水時の速さではありません。
問1 ゆうたさんがルールにしたがって川を上ったとき、上り始めてから15分後にA地点から570m上流にいました。ゆうたさんがオールでこぎ続けているときに、川を上る速さは毎分何mですか。
問題文に「休んでいる間は川に流されます」とあっさり書いてありますが、ここを読み飛ばすと(この引き算を忘れると)以下のすべての問題で間違ってしまうので気をつけたいところです。
ゆうたさんは「3分こいで1分休む」をくり返すから、この15分間について考えると
15分=3分+1分+3分+1分+3分+1分+3分
より、
①3分×4=12分間はボートをこぐ
②1分×3=3分間は川に流される→「毎分50mの速さで流れる川」なので150m流される
ということは「15分後にA地点から570m上流に」いるゆうたさんだが、もしも川の流れがなかったら15分後にはA地点から570+150=720m上流にいたことになる。
よって①より、ゆうたさんの速さは 720m÷12分=分速60m
問2 ゆうたさんとはるとさんがそれぞれ別のボートに乗り、ルールにしたがって同時に上り始めてから7分後に、ゆうたさんははるとさんより60m先にいました。はるとさんがオールでこぎ続けているときに、川を上る速さは每分何mですか。ただし、ゆうたさんがオールでこぎ続けているときに川を上る速さは、問1で求めた速さとします。
7分後の2人の状況をそれぞれ確認する。
ゆうたさんの7分後
「3分こいで1分休む」ゆうたさんは、7分=3分+1分+3分 より、6分間進んで1分間流される。
ゆうたさんの上りの速さは分速60m、川の流れの速さは分速50mなので
60×6-50×1=310m
より、ゆうたさんはAから310m地点にいる。
はるとさんの7分後
ゆうたさんがいる310m地点は「はるとさんより60m先」なので、はるとさんはAから250m地点にいる。
「5分こいで2分休む」はるとさんは、そのまま5分間進んで2分間流される。はるとさんの川を上る速さを毎分▢mとすると ▢×5-50×2=250
よって、はるとさんの上る速さ▢は 350÷5=毎分70m
問3 1つのボートにゆうたさんとはるとさんの2人で乗り、ルールにしたがって川を上ったとき、上り始めてから27分後にA地点から何m先にいますか。ただし、ゆうたさんとはるとさんが2人同時にオールでこぎ続けているときに川を上る速さは、それぞれ問1と問2で求めた速さを使って計算します。また、どちらか1人でこぎ続けるときに川を上る速さは、問1と問2でそれぞれ求めた速さと変わらないものとします。
次のような表にして27分間のボートの速さを確認すると
①2人でこいでいる時間…表にある矢印の重なり部分の合計で15分。このときの速さは「2人同時にこいでいる間は、川を上る速さが、それぞれ1人でこぎ続けたときの川を上る速さの平均を計算した結果の1.2倍になる」から
(60+70)÷2×1.2=分速78m
より、15分進むと 78×15=1170m
②ゆうたさんだけこいでいる時間…①をのぞく青の矢印部分の合計で6分。分速60mで進むと360m
③はるとさんだけこいでいる時間…①をのぞく赤の矢印部分の合計で5分。分速70mで進むと350m
④2人も休んでいる時間…1分(20分後)。分速50mで流されると50m(もどる)
よって、①+②+③-④より、27分後にはA地点から 1830m(=1170+360+350-50)先にいる