以前の記事の続きです。
船のエンジンが止まる流水算の問題として、ほかにもつぎのような出題例があります。
エンジンが止まる①(山脇学園2020)
川の下流にA地点、上流にB地点があり、A地点とB地点を結ぶ船が運航されています。ある日、A地点からB地点へ向かっている間に、C地点でエンジンが故障してしまったため、高速船をよび、修理してもらいました。再びエンジンが動き出すまでに、故障してから20分かかってしまったので、予定よりも24分おくれてB地点に着きました。
下のグラフは、船の進むようすを表したものです。
次の各問いに答えなさい。
⑴ A地点とB地点の間のきょりは何㎞ですか。
「予定よりも24分おくれてB地点に」着いたのが20+20+40=80分後。ということは本来の到着時間は80-24=56分後だった。エンジンが故障したC地点までの3㎞を20分で進んでいるから
3㎞:20分=▢㎞:56分
この比例式を解くと ▢=3㎞×56÷20=8.4㎞
⑵ この川の流れの速さは毎分何mですか。
エンジンが止まる流水算のポイントは「流された時間が何分で、もとの場所に戻るのに何分かかったか」という点。ここに注目することでほとんどの問題が解けます。図でいうと赤でかこんだ部分になります。
「流された時間が何分で、もとの場所に戻るのに何分かかったか」を考える。
船の遅れは24分だったので、船は川の流れによりC地点から20分流されたあと、4分でまたC地点に戻ってきたのがわかる。
速さはかかった時間の逆比なので、
船の上りの速さ:川の流れの速さ=20:4=5:1
船はC地点までの3㎞を20分で上ったから、船の上りの速さは毎分150m(=3000÷20)。
よって川の流れの速さは 150×⅕=毎分30m
⑶ 高速船は、エンジンが故障してから5分後にA地点を出発し、その5分後に故障した船のいる場所に着きました。高速船の流れのないところでの速さは毎時何㎞ですか。
「エンジンが故障してから5分後」に船がいる場所は
3000-30×5=2850
より、A地点から2850mのところ。
高速船の静水時の速さを毎分▢mとすると、その上りの速さは毎分(▢-30)m。
故障した船の速さは川の流れと同じ毎分30mなので、2つの船の出会い算を考えると
2850÷(▢-30+30)=5 より ▢=毎分570m
よって、高速船の流れのないところでの速さは 570×60÷1000=毎時34.2㎞
エンジンが止まる②(洛南中2022)
ボートPとボートQが、ある川の下流の地点Aから上流の地点Bに向かって、同時に出発しました。Pは出発して20分後、AからBまでの距離の2/3だけ進んだ地点でエンジンが止まり、しばらく川の流れに流されました。出発して[ア]分後、Qに追い越されました。出発して[イ]分後、エンジンをかけ直し、再びBに向かって進みはじめると、Aを出発して[ウ]分後、Qと同時にBに到着しました。
(Pの静水時の速さ):(Qの静水時の速さ):(川の流れの速さ) =10:4:1です。
また、P、Qの速さと、川の流れの速さはそれぞれ一定です。
とくに図はついていないので、まずこれをきちんと図に書けるかがポイントとなります。
以下、記号とは逆に、ウ→イ→アの順に出すのが解きやすいのでそうなっています。
ウについて
「Pは出発して20分後、AからBまでの距離の2/3だけ進んだ」から、ボートPはAB間(上り)を本来30分で行ける。
一方、「(Pの静水時の速さ):(Qの静水時の速さ):(川の流れの速さ)=10:4:1」より
Pの上りの速さ:Qの上りの速さ=9:3=3:1
かかる時間は速さの逆比より、
Pの上りにかかる時間:Qの上りにかかる時間=1:3
ここからQが上りにかかった時間は90分とわかるから ウ=90分後
イについて
「流された時間が何分で、もとの場所に戻るのに何分かかったか」を考える。
川の速さ:Pの上りの速さ=1:9なので、かかる時間は速さの逆比より、
Pが流された時間:Pが⅔地点に戻るのにかかった時間=9:1
となると、Pはエンジン故障のため90分-30分=60分の遅れが出ているが、この内容は
流された時間…60分×9/10=54分
そのあと⅔地点に戻るのにかかった時間…6分
だとわかる。
よってエンジンをかけ直したのは出発してから イ=74分後
アについて
「(Pの静水時の速さ):(Qの静水時の速さ):(川の流れの速さ)=10:4:1」より、Pの上りの速さを毎分9、Qの上りの速さを毎分3とすると、Pが⅔地点に着いたときQとは (9-3)×20=120の開きがある。
この120の開きは、Pのエンジンが故障してボートが下流に流されているときの速さ1より、 120÷(1+3)=30分
でちぢまるから、PがQに追い越されるのは出発してから ア=50分後