以前の記事に関連する話です。
コンパスには個人的に苦い思い出があります。大学受験のためはじめて飛行機に乗ったときのこと。機内持込み手荷物のなかに筆箱を入れていたら、その中にコンパスがそのまま入っていて、機内持込みできないことを搭乗口で告げられ、あやうく没収されそうになりました*。飛行機で移動する予定のある受験生の方はコンパスは必ず預ける荷物の方に入れるようにしましょう。
コンパスや定規は受験会場への持込みを禁止している学校が多いようですが、なかにはこれを持ち込ませて作図問題を出してくる学校もあります。
出題例として次のようなものがあります。
垂直な二等分線(清心2020)
ひし形の対角線は、垂直に交わって、互いに2等分します。このことを利用して、点Aと点Bを結んだ線を垂直に2等分する直線をコンパスと定規を用いて下の図に書きなさい。
もっとも基本となるコンパスの使い方。学校発表の解答例がこちらです。
ひし形(お茶の水女子大附属2019)
図3はひし形ABCDです。このひし形ABCDと合同なひし形を辺EFを1辺として答案用紙の解答らんに定規とコンパスを使って1つかきなさい。ただし、定規やコンパスなどでかいた線は消さずに残しておきなさい。
たとえば次のとおり(*見やすいようEFの位置を下にしています。)
①Cにコンパスの針をさし、CAの長さをはかりとる。つぎにFに針をさして、CAの長さの円弧を書く
②Eに針をさし、EFの長さの円弧を書く。これと①の円弧が交わる点がAに対応する頂点となる
③Fに針をさし、EFの長さの円弧を書く
④上の②でできた頂点に針をさし、EFの長さの円弧を書く。③④の円弧が交わる点がDに対応する頂点となる。この4点を結んだものが求めるひし形となる
正六角形(南山中女子2022)
解答用紙には、円とその中心がかかれています。この円の円周上にすベての頂点がくるように正六角形をかき、かき方の手順を説明のらんに書きなさい。ただし、コンパスの針は1回だけしかさせません。
注意
・コンパスを使用するときの注意
(ア) 円または円の一部をかくときだけ、針をさす。
(イ) 長さをはかりとるときは、針をささない。
・かいた円 (または円の一部)の中心 (コンパスの針をさしたところ)に×印をかくこと。
・作図するのに使った線は消さずに残しておくこと。
・定規は直線を引くために用い、目盛りを使用しないこと。
正六角形の作図方法としては前回の記事で使った下記の方法(長さをはかりとるのにコンパスを6回使う)が一般的。ただ本問には「コンパスの針は1回だけしかさせません」という条件があるためこれは使えないことになります。
たとえば次の手順がある。
①円の中心を通る線を1本定規で引く
②その線と円が交わる点に×印をつけてコンパスの針をさす
③コンパスで円と交わる円弧を書く
④この円弧と円の交わる点2点からそれぞれ円の中心を通る線を引く
⑤こうして円周上にできた6つの点を結ぶと正六角形となる