水の深さ② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

水の入った容器(密閉されている)をかたむけると水位はどう変わるかという問題です。

このタイプの問題は「空気部分の方に注目する」ことがポイントになるものが多いという話でしたが、なぜそうするかというと水の体積の方は少し求めにくい問題だったからです。

なかにはそのまま水に注目した方が早いものもあり、問題に応じて2つを使い分けられるのがベストです。

たとえば次のような問題。

 

 

  そのまま水に注目する(栄東中2020東大特待Ⅰ算数)

 

図1、図2は高さ6㎝の円すいと高さ10㎝の円柱の底面どうしを合わせた形の容器を真横から見た図で、これらには同じ量の水が入っています。図2のAの長さは▢㎝になります。

 

右差し これは空気部分に注目するより、そのまま水の部分に注目した方が早そうです。

 

右矢印 底面の円の半径がわからないので、円柱の底面積=円すいの底面積=①とする。

図1の水の体積は(右側の高さ8㎝、左側の高さ0㎝とみて)平均の高さ4㎝の円柱として求められるから①×4=④㎤

また「高さ6㎝の円すい」の容積は①×6÷3=②㎤

となると、図2のうち円柱にかかっている水の体積は④-②=②㎤なので、円柱部分の水の高さは②÷①=2㎝

よって図2のAの高さは6+2=8㎝

 

 

  空気部分に注目する(須磨学園中2020)

 

図1のような、立方体と直方体をつなぎ合わせた奥行き10cmの容器に水が入っています。この容器を向きを変えて置くと、図2、3のようになりました。次の問いに答えなさい。

⑴ 図1中の▢にあてはまる数を求めなさい。

 

 

右矢印 図1の容器は密閉されており、水の体積は変わらないから、空気部分の体積も変わらないことに注目する。

 

図2にある空気部分の体積は底面積が10×10=100㎠、高さが10-6=4㎝なので400㎤

図3にある空気部分の体積は底面積が10×▢㎝、高さが10-5=5㎝なので50×▢㎤

これらが等しいから▢=8㎝

 

⑵ 入っている水の体積を求めなさい。

 

右矢印 立方体の容積が10×10×10=1000㎤、直方体の容積が10×14×8=1120㎤。ここに空気が400㎤入っているから、その残りが入っている水の体積となるから

 1000+1120-400=1720㎤

 

⑶ ABCDEFの面を底面としたときの、水面の高さを求めなさい。

 

右矢印 まず「ABCDEFの面を底面としたとき」の底面積を求めると、立方体部分の底面積が10×10=100㎠。直方体部分の底面積が8×14=112㎠。

よって、水面の高さ=水の体積÷底面積=1720÷212=⁴³⁰⁄₅₃㎝

 

⑷ 図4のように水そうを立てたとき、水の位置として最も適切なものを(ア)~(エ)から選びなさい。またその理由も答えなさい。


 

右矢印 空気部分は体積400㎤とわかっている。一方、「図4のように水そうを立てたとき」の上部の直角二等辺三角形*になっているところ(下の図の赤線より上の部分。問題文でいうと(イ)の図にあたる)の合計は320+180=500㎤あるから、水位はこの線より少し上になる。

 

*この部分が直角二等辺三角形になるのは容器全体が45°にかたむいているため。これはEとFが地面と接するところが直角二等辺三角形になっている(二等辺の長さは10㎝)ことからわかります。

よって(ア)(イ)は違う。(エ)だと400㎤にしては小さすぎるので正解は(ウ)完了

 

理由について学校発表の模範解答ものせておきます。