以前の記事の続きです。
何かの数を当てる「数当て問題」では、与えられた条件をもとに数字をしぼりこんでいく論理的思考力が求められるものが多いですが、ある程度しぼりこんだあとは実際に手を動かしていろいろ実験していく作業でカバーできる(むしろそっちの方が早い)問題も少なくありません。
たとえば次の問題。
1からある数までのすべての整数の中から1つだけ取り除き、残った整数を考えます。例えば、1から7までの整数から3を取り除くと、
1, 2, 4, 5, 6, 7
が残ります。次の問に答えなさい。(栄光学園2020)
⑴ 1から100までの整数の中から1つだけ取り除きました。残った整数の平均は、⁵⁵⁴⁄₁₁になりました。取り除いた整数を答えなさい。求め方も書きなさい。
「1から100までの整数の中から1つだけ取り除」くと残り個数は99個だから、「残った整数の平均」である⁵⁵⁴⁄₁₁は9で約分したあとの分数だとわかる。となると約分する前の分子は(554を9で倍分して)554×9=4986
1から100までの和が5050なので、取り除いた整数は 5050-4986=64
⑵ 1からある数までの整数の中から1つだけ取り除きました。残った整数の和は、600になりました。取り除いた整数を答えなさい。
はじめにざっくりしぼり込んだあとは(いろいろ考えるよりも)手を動かして実験していくのが早そうな問題です。
等差数列の和の公式で候補をしぼり込む。
①1から30までの和は(1+30)×30÷2=465
②1から40までの和は(1+40)×40÷2=820
「残った整数の和は、600」なので、①だと小さすぎ、②だと大きすぎる(600にするには220を引かないといけないがこれは40までのなかにはない)から「ある数」は①と②の間にある。
そこで①を基準にして足し算していくと
③1から31までの和は①+31=496
④32までの和は③+32=528
⑤33までの和は④+33=561
⑥34までの和は⑤+34=595
⑦35までの和は⑥+35=630
ということで、1から35までの整数の中から30を取り除いた。
⑶ 1からある数までの整数の中から1つだけ取り除きました。残った整数の平均は、440/13になりました。取り除いた整数を答えなさい。
論理的に候補をしぼり込んでいくのが解答としてはカッコいいですが、これに時間を使うより、和の公式と計算力で泥臭く探していくのが確実で実践的です。
「1からある数までの整数の中から1つだけ取り除」くと「残った整数の平均は、⁴⁴⁰⁄₁₃に」なるということで、この分母に注目すると、残った整数の個数は13の倍数だとわかる。
あとは「分母分子を何で約分したものか」を見つけるため、13の倍数を小さい順に実験していくと
①残った個数が13個だったとするとはじめは1から14までの整数だったということ。1から14までの和は(1+14)×14÷2=105。これは分子の440にはぜんぜん遠い。
②残った個数が26個だったとすると1から27の和は(1+27)×27÷2=378。このときもとの分子は440×2=880なのでまだ遠い。
以下、同じように調べていくと
③1から40の和は(1+40)×40÷2=820 ←440×3=1320にはまだ遠い
④1から53の和は(1+53)×53÷2=1431 ←440×4=1760にだいぶ近くなってきた
⑤1から66の和は(1+66)×66÷2=2211 ←440×5=2200なのでその差11(これは66以下になっている)
よって、1から66までの整数の中から11を取り除いた