調べ上げ④(将棋) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

将棋を題材にした入試問題がたまに出されることがあります。もちろん、出されたとしても将棋経験者(男子の方が圧倒的に多いはずですが)に有利にならないよう配慮されたものになっています。

たとえば次の問題も、実際の将棋とはほど遠い内容になっています。

 

日本には将棋(しょうぎ)というゲームがあります。使用するものとして、たてにNマス、よこにNマスの将棋盤を使います。以下、これを「N×Nの将棋盤」と呼ぶことにします。本来将棋にはない駒ですが、「女王」という駒を作ります。「女王」はたて、よこ、ななめにどこまでも動けるものとします。

ある将棋盤において、この「女王」の駒をお互いが動ける範囲に入らないようにたくさん置いてみます。以下は5x5の将棋盤における例です。

次の問いに答えなさい。(広尾学園中2022第2回)
⑴ 5×5の将棋盤に置くことのできる「女王」の駒の数は最大何個ですか。

 

 

右矢印 最大5個。たとえば例題にあるものをそのまま使って次の置き方ができる。

 

 

ちなみに、これを5×5のビンゴだと考えると、この5コがすべてのビンゴの成立をじゃまする形になっており、以前ビンゴの問題で使ったのと同じ考え方で対応できることがわかります。

 

⑵ 下の図1、図2、図3は8×8の将棋盤にいくつかの「女王」の駒を置いたものです。駒の数が最大となるように、解答らんの図に駒を置きなさい。ただし、「女王」の駒は〇で表し、3つの将棋盤に置く置き方は、回転させたり裏返したりしても同じ置き方にならないものとします。 

 

  図1の場合

とりあえず「女王」の駒が置けないところに×印をつけていく。

 

まず「駒の数が最大となる」駒の数はいくつかを考えると、8×8で9つ以上は絶対にないから、小問⑴も考えると列と同じ8つあるはずだと見当がつく。

 

となると、あと11ある空白に残り4つの駒をどう並べたら「お互いが動ける範囲に入らないように」(=ビンゴが1つもできないように)置けるか少しためしていくと(おそらく3分以内に)たとえば次の置き方が見つかる。

 

 

  図2の場合

同じように駒が置けないところに×印をつけていくと次のとおり。

 

あと27ある空白にあと6つの駒をどう置いたらいいかいろいろためしてみると、こんどはそう簡単には見つからない(6つめを置く場所がなぜかなくなってしまっている)。そこで、ここまででやってきて気づいたことを少し整理してみる。

 

①「たて、よこ、ななめ」をできるだけ作らない効率のよい置き方は、小問⑴や図1でも出てきた次の形(将棋をやる人なら「桂馬」の動きを知っているのですぐに気づくはずですが)。

 

うえの図でをこのように置くとのたて、よこ、ななめの力を回避できる(図には上右、右上の2方向しかないが8方向とも同じ)のでこの形を多用するのが最初のポイント。

 

②つぎに下の図で説明すると、だと27か所に×印がつくのに対し、のようにこれをはしによせると×印は21か所に減る。×印ができるだけ少なくなるよう置いていきたいので、はしはぜんぶ使い切るのが2つめのポイント。

 

うえの2つのポイントを意識して取り組むと、たとえば次の置き方が見つかる。

 

  図3の場合

同じように駒が置けないところに×印をつけると次のとおり。

 

こちらも2つのポイントを意識して取り組むと、たとえば次の置き方が見つかる。

 

簡単に書きましたが、実際にはそう簡単には見つかりません。図3の場合、あと42もの空白に7つの駒をどう置くかという話で、試験時間内に正解にたどりつくのはほぼ不可能ではないかと思われるところです。ちょうど8×8はオセロの形なので、オセロゲームを使って何分で正解が見つかるかやってみるのもいいかも知れません(私も数十分やっていました)。