以前の記事の続きです。
過不足算(差集め算)ではさほど難しい問題は出されませんが、それでもちょっと手が止まるような応用問題が出されることはあります。もし情景図や線分図だけで対応することは難しいようなら、マルイチ算できちんと解けるようにしておきたいところです。
*差集め算を過不足算ときっちり区別するものもありますが、その違いはどうやら差を集めるという「解き方」に注目するか、過不足があるという「状態」に注目するかだけのように思われます。そうであれば2つを区別することにあまり意味はなさそうです。
たとえば次のような問題。
基準がバラバラ①(青陵中2022)
2つの箱A、Bにそれぞれガムが何個か入っています。Aから6個、Bから9個のガムを同時に取り出すことをくり返したとすると、Aに4個のガムが残ったときBには21個のガムが残ります。また、Aから6個、Bから13個のガムを同時に取り出すことをくり返したとすると、Bに2個のガムが残ったときAには34個のガムがのこります。箱Aに入っているガムの個数を求めなさい。
問題文にある情報を整理すると
①Aから6個、Bから9個→Aに4個、Bに21個残る
②Aから6個、Bから13個→Aに34個、Bに2個残る
ここで基準をそろえるため、②の操作をあと5回くり返したとしたら
③Aから6個、Bから13個→Aに4個残り、Bは63個不足する
これでAの残り方がそろった。あとは①と③のBどうしをくらべると(ふつうの差集め算になっている)
ここから、Bから4個(=13-9)多く取ると全体では84個(=21+63)多く取ることになるという関係にあるのがわかるから、①と③はどちらも84÷4=21回取ったあとの結果だと分かる。
よって「箱Aに入っているガムの個数」は6×21+4=130個
基準がバラバラ②(吉祥女子2022)
教室に、21人の男子と何人かの女子がいます。先生が、持っている折り紙を女子だけに36枚ずつ配ると、23枚余ります。また、全員に12枚ずつ配ると、11枚余ります。女子は何人ですか。
女子を①人とする。
❶「持っている折り紙を女子だけに36枚ずつ配る」と23枚余るから、先生が「持っている折り紙」は36×①+23=(㊱+23)枚。
❷「全員に12枚ずつ配る」と11枚余る。全員の人数は(21+①)人と表せるから、これを使うと折り紙の数はせんぶで 12×(21+①)+11=(⑫+263)枚。
❶と❷の折り紙の数は同じだから ㊱+23=⑫+263 より㉔=240 となり ①=10
よって女子は10人
情報の一部が割合表記(浦和明の星2021)
クリスマス会に参加した人にお菓子を配りました。予定では、1人あたりお菓子を4個ずつ配り、24個余るはずでした。ところが、実際には、予定していた人数の3倍の人が参加したため、1人あたり2個ずつ配ったところ、余ったお菓子は2個でした。用意したお菓子は全部で何個ですか。
参加を予定していた人を①人とする。
❶「予定では、1人あたりお菓子を4個ずつ配り、24個余るはず」だったから、用意されたお菓子は 4×①+24=(④+24)コ。
❷実際には「予定していた人数の3倍の人が参加した」=③人が参加したため「1人あたり2個ずつ配ったところ、余ったお菓子は2個」となった。これでいくと用意されたお菓子は2×③+2=(⑥+2)コ。
❶と❷のお菓子の数が同じだから ④+24=⑥+2 より ②=22 となり ①=11人。
よって「用意したお菓子」は 4×11+24=68個
情報の一部が割合表記+基準がバラバラ(弘学館2020)
ある学年の生徒を並んでいる長いすに座らせます。6人ずつ座らせると全生徒のちょうど⅔しか座れませんでした。そこで、長いすを6脚増やし、7人ずつ座らせるとちょうど全員座れました。
はじめに並んでいた長いすの数は▢脚で、この学年の生徒の人数は▢人です。
「はじめに並んでいた長いすの数」を①脚とする。
❶「6人ずつ座らせる」ときに座れたのは6人×①=⑥人。これが全生徒の⅔なので、全生徒は⑨人(=⑥÷⅔)。座れなかったのは③人(=⑨-⑥)。
❷「7人ずつ座らせる」と、「はじめに並んでいた長いす」①脚で (7-6)人×①=①人分の座る場所が新しくでき、さらに「長いすを6脚増やし」たことで7人×6=42人分の座る場所も新しくできた。
❶で座れなかった③人が、❷で合計(①+42)人分の座る場所が新しくできたことでちょうど全員座れたから
③=①+42 より ②=42 なので ①=21
よって「はじめに並んでいた長いすの数」は21脚、全生徒の人数は 21×9=189人