以前の記事に関連する話です。
カードを使って実は数の性質を問う問題というのはよくありますが、カード以外の身近なものが使われることもあります。
たとえば水道管が使われたパターンがこちらです。
以下のような水道管を考えます。
・上の入り口から水を流し入れると、下の2つの出口から流れ出ます。
・流れてきた水は、2つの出口にそれぞれ書いてある数の比に分かれて流れ出ます。
(例)右の図のような水道管だと、入り口から6L(リットル)の水を流し入れると、左右の出口からそれぞれ4L、2Lの水が同時に流れ出ます。
・2つの水道管は、入り口と出口で接続ができます。
次に、3種類の水道管A、B、Cをたくさん用意して、接続していきます。
図1は、水道管Aの出口にそれぞれ水道管BとCを接続したものです。これを、図2のように表すことにします。次の問いに答えなさい。(広尾学園中2022第2回)
⑴ 図3のような水道管を作り、上の入り口から12Lの水を流し入れました。出口から流れ出る水の量はそれぞれ何Lですか。一番左の出口から順に4つの水の量を求めなさい。
図3の水道管の「上の入り口から12Lの水を流し入れ」ると
①まずAのところで8Lと4L(2:1)に分かれ
②その左下Cのところで8Lが²⁰⁄₃Lと⁴⁄₃L(5:1)に、右下Bのところで4Lが3Lと1L(3:1)に分かれる
よって、一番左の出口から順に²⁰⁄₃L、⁴⁄₃L、3L、1L
⑵ 図4のような水道管を作り、上の入り口からある量の水を流し入れたところ、出口から流れ出る水の量(単位はL)はすべて整数の値となりました。流し入れた水の量として考えられる最も少ない量を求めなさい。
比で表した図を書くと次のようになる。
これを分数で表すと次のとおり。
これを使うと、たとえば一番左下のところは⅔×⅚×¾=⁵⁄₁₂となり、うえから1の水を流し入れると一番左からは⁵⁄₁₂の水が流れ出るのがわかる。
同じように8つぜんぶを計算すると、左から順に
①⁵⁄₁₂、②⁵⁄₃₆、③²⁄₂₇、④¹⁄₂₇、
⑤⁵⁄₂₄、⑥⁵⁄₇₂、⑦⁵⁄₁₀₈、⑧¹⁄₁₀₈
この①から⑧が「すべて整数の値」となるのは、約分すると分母がすべて1になるような数をかけたとき。そして「最も少ない量」となると①から⑧の分母の最小公倍数を見つければよい。それには分母が大きい方から2コだけに注目して72と108の最小公倍数を見つければ十分(それ以外の12、36、27、24もどちらかに含まれるから)。
72と108の最小公倍数は216なので 216L
⑶ 図5の( )にAかBかCを入れて、水道管を作ります。上の入り口から72Lの水を流し入れたところ、出口から流れ出る水の量(単位はL)がすべて整数の値となりました。( )に入る水道管の組は何通りあるか求めなさい。
まず72Lの水を流し入れると、Cを通ることで、左が60L、右が12Lに分かれる。
❶まずこの少ない方の12Lに注目する(こちらが整数になるような水道管の組合せなら60Lの方も必ず整数になる)。
これまでにわかったこととして、Aを使うと⅓、Bを使うと¼、Cを使うと⅙が必ずできてしまう。
そしてAとBをつなぐと、その少ない方はA×B=¹⁄₁₂となり、12Lが流れ込んだときに出口から流れ出る水の量(少ない方)は1Lという整数になる。つまりAとBとの組合せはOK。しかし、それ以外の組合せだと12Lが流れ込んだときに流れ出る水の量(少ない方)はどれも整数にはならない(少ない方で計算するとA×A=¹⁄₉、A×C=¹⁄₁₈、B×B=¹⁄₁₆、B×C=¹⁄₂₄、C×C=¹⁄₃₆より)。
❷つぎに多い方の60Lで、A×B以外にできる組合せがないかさがすと、¹⁄₉、¹⁄₁₈、¹⁄₁₆、¹⁄₂₄、¹⁄₃₆のどれとかけ算しても整数にはならない。
よって( )に入る水道管の組はつぎの4通り