カード問題(倍数の個数③) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

倍数の個数をテーマにしたカード問題がこれでもかと言わんばかりに出題されていますので、今回もそのようなカード問題を取り上げます。

多くの問題では「公倍数」と「規則性(周期性)」に注目すること、つまり「公倍数と周期性を利用していかにラクに数え上げるか」がポイントとなります。

 

777枚のコインは片方の面が白色、もう片方の面が黒色であり、1~777の番号がついています。はじめ、コインは全て白色の面が上になっています。また、袋の中に1~5の数字が書かれたカードが1枚ずつ計5枚あり、次の[操作]をくり返し行います。
[操作]
カードを1枚引き、引いたカードの数字の倍数の番号のコインを裏返す。その後、引いたカードを袋の中にもどす。

例えば、[操作]を2回行い、引いたカードの数字が順に2、3であったとき2、3、4の番号のコインは黒色の面が上になっていますが、6の番号のコインは白色の面が上になっています。次の問いに答えなさい。
   
(海城中2022)

⑴ [操作]を2回行い、引いたカードの数字が順に2、4であったとき、黒色の面が上になっているコインは何枚ですか。

 

2の倍数と4の倍数の問題なので、2つの最小公倍数である4を1周期とする数列になっているはずだと見当がつきます。過去記事「電球の点滅」のところで使った「同時に点灯する規則性」(最初に同時に点灯したあとは最小公倍数で同時に点灯することをえんえんと繰り返す)の考え方です。

 

右矢印 コイン4枚を1組と考え、最初の組で1から4のコインがどうなるかを表にして確認する。

はじめ、コインは全て白色の面が上に」なっているから、1回目で2を引くと2の倍数=2と4が裏返されて黒になり、2回目で4を引くと4の倍数=4がふたたび裏返されて白にもどる。

 

つまり「黒色の面が上になっているコイン」は各組に1枚だけ(2枚目だけ)規則的にあらわれる。

となると「777枚のコイン」なら194組(777÷4=194あまり1)でき、ここで黒のコインが194枚できる。1枚あまるコインは上の表より白なので考えなくてよい。

よって「黒色の面が上になっているコイン」は194枚

 

⑵ [操作]を3回行い、引いたカードの数字が順に2、3、1であったとき、黒色の面が上になっているコインは何枚ですか。

 

右矢印 2、3、1の最小公倍数は6なので、こんどはコイン6枚を1組と考え、最初の組で1から6のコインがどうなるかを表にして確認する。

こんどは黒のコインは各組に3枚(1、5、6枚目)規則的にあらわれることがわかる。

また1のカードを引くとぜんぶのコインが逆になることもここで確認しておく。

 

777枚のコイン」なので129組(777÷6=194あまり3)でき、ここで黒のコインが387枚(=129枚×3)できる。さらに3枚あまるコインのうち1枚目も黒となる(上の表より)。

よって黒のコインは388枚

 

⑶ [操作]を11回行ったとき、どのようなカードの引き方をしても必ず黒色の面が上になっているコインは何枚ですか。

 

あるコインが「どのようなカードの引き方をしても必ず黒色の面が上になっている」ということは、どのカードが出ても必ず裏返されるコインは何かをさがせばよいことに気づけるかがポイントとなります(したがって「11回」でなくても奇数回なら何回でもよかった問題)。

 

右矢印 まず小問⑵の表のコイン番号6のところをみると、1、2、3のすべてのカードで裏返されていることに気づく。これは6が1、2、3の(最小)公倍数だから。

 

このあと4のカードが出たときでも裏返されるのは6と4の最小公倍数で12のコイン。

さらに5のカードが出たときでも裏返されるのは12と5の最小公倍数で60のコイン。

まとめると60のコインなら1、2、3、4、5のどのカードが出ても必ず裏返される(60は1、2、3、4、5の最小公倍数なので)ことから、コイン番号が60の倍数のものは「どのようなカードの引き方をしても必ず黒色の面が上になっている」。

よって、777÷60=12あまり57(今回あまりは関係ない)より 12枚 完了