以前の記事の続きです。
割合の問題では、もとにする量が全体だったり、残りだったりとバラバラになっていることがほとんどで、「割合をそろえる」ところからのスタートになります。なかには「割合をそろえる」ことができれば解けたも同然という問題もあります。
よくあるのは「3日めに本を読み終えた」というパターンの問題(相当算)です。
イチロー君はある本を読み始めました。1日目に全体の¼を読み、2日目に残りの⅗を読んだところ、残りは78ページとなりました。この本は全体で何ページありますか。(芝浦工業大学柏2021)
まずは割合をそろえる。もとにする量を「全体」に一本化する。
その際、問題文に「¼」と「⅗」があるので、分母の最小公倍数をとって全体を⑳ページとおく。
すると
1日め…⑤ページ
2日め…⑮×⅗=⑨ページ
読んだことに。その結果「残りは78ページ」なので、式にすると
⑤+⑨+78=⑳ ⑥=78 ①=13
より、全体⑳は 260ページ
ポイント
この問題には「割合をそろえる」ところは共通でも、いろいろな解き方があります。
たとえば「残り78ページ」からさかのぼっていくやり方がありますが、これだと時系列を逆行するため途中で混乱しやすい(線分図と格闘しながらの作業になってしまう)。そうであれば素直に前から前から処理していくやり方の方がいいように思います。
また、全体を1とおくやり方もありますが、これだと少し複雑な問題になると途中式が分数だらけになってしまい、どこかで計算ミスを起こしかねない。なので、過去記事でも触れたように、全体を最小公倍数でおくやり方の方が(遠回りなようでも)絶対にいいと思います。
この2つがきちんとできれば、線分図を使わなくても式で解けます。
というか、問題文が複雑になると線分図もそれだけ複雑になってしまい、逆にじゃまになってくる。問題を解ける実力はあるのに線分図を書こうとして手が止まってしまい正解できなかった、というもったいない(本末転倒な)ケースもたまに見ます。線分図などの補助ツールとは「つかず離れず」の関係でありたいところです。
ほかにも「割合をそろえる」ことができれば解けたも同然という問題として次のようなものがあります。
相当算②(洛星中2018)
A君、B君、C君の3人で順にコインを取り分けました。はじめにA君は全体の⅓より15枚多く取り、そのあとB君はA君の⅘より10枚多く取ったところ、最後に残ったC君のコインはB君の½より4枚多かったそうです。C君のコインは何枚ですか。
まず割合をそろえる。もとにする量を「全体」に一本化する。
その際、⅓、⅘、½が出てくるので、分母の最小公倍数より、全体を㉚とおく。すると
A君…⑩+15
B君…(⑩+15)×⅘+10=⑧+22
C君…(⑧+22)×½+4=④+15
これらを足すと
⑩+15+⑧+22+④+15=㉒+52=㉚ より ⑧=52 ④=26
よって求めるC君のコインは ④+15=41枚
相当算③(三田国際学園中2021)
A君、B君、C君、D君の4人でお金を持ち寄りました。A君の所持金は全体の⅖より30円少なく、B君の所持金はA君の所持金の⅓より30円多いです。また、C君の所持金はB君の所持金の2倍より30円少なく、D君の所持金は3000円です。A君、B君、C君の合計金額は4人の合計金額の▢%です。
まず割合をそろえる。もとにする量を「全体」に一本化する。
その際、⅖と⅓が出てくるので、分母の最小公倍数より、全体を⑮とおく。すると
A君…⑮×⅖-30=⑥-30
B君…(⑥-30)×⅓+30=②+20
C君…(②+20)×2-30=④+10
これらを足し算すると
⑥-30+②+20+④+10=⑫
この⑫が「A君、B君、C君の合計金額」。これは「4人の合計金額」⑮の80%
「D君の所持金は3000円」の情報は実は余計な情報だったことがわかります。線分図を書いたり、うしろから求めていったりすると、こういうところで時間を取られる可能性もこわいです。