くやしいけどやっぱり便利な公式「和分の積」 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

「ラグビーボール型の面積は0.57」のように、公式として覚えておくのは少しくやしいけどやっぱり使えるというものがいくつかあります。その一つに「和分の積」(わぶんのせき)というものがあります。

 

次のようなチョウチョ型相似の三角形があるとき、両端の辺と平行に引いた真ん中の線の長さは「和分の積」(=両端の和÷両端の積)で求められるというもの。なぜこの公式になるのか、一度はきちんと確認しておくとして、二度めからは直接この公式を使えるようにしておきたいところです。

 

今回取り上げるのは図形問題だけですが、「和分の積」は図形以外でもいろいろ使えるので、くやしいけど公式として覚えてしまい、ぜひ使いこなしたいものです。

 

  その1(湘南白百合中2020算数)

 

右の図において、辺ABと辺EFおよび辺CDは平行です。AB=21cm, CD=28cmのとき、辺EFの長さは□cmです。

右矢印 和分の積より (21×28)/(21+28)= 12㎝

 

  その2(鎌倉学園中2016)

 

図の斜線部分の面積は□㎠です。

 

右矢印 斜線部分の三角形の高さは、和分の積より ¹⁵ ⁄ ₈ 。よって求める面積は

  12 × ¹⁵ ⁄ ₈ ÷ 2 = ⁴⁵ ⁄ ₄ (㎠)

 

  その3(本郷中2014)

 

2つの直角三角形があり、右の図のように重なっています。斜線部分の面積は何㎠ですか。

 

右矢印 次の図のように補助線をタテに2本引き、いったんAとBの長さを出す。あとは和分の積で斜線部の高さが求められる。

すると、左側の直角三角形2コがピラミッド型相似なので(相似比18:14)

  Aの長さ…12㎝×14/18=28/3㎝

同じく右側の直角三角形2コが相似なので(相似比20:14)

  Bの長さ…10㎝×14/20=7㎝

したがって斜線部の三角形の高さは、和分の積より

  (28/3×7)/(28/3+7)=(28×7)/49=4㎝

よって斜線部の三角形の面積は 14×4÷2=28㎠

 

  その4(フェリス中2013)

 

底辺が6㎝、高さが8㎝の2つの同じ形の直角三角形が図のように重なっています。■部分の面積を求めなさい。
 

右矢印 2つの直角三角形にぴったり入る正方形を考える(下図黄色部分)。またこの正方形の対角線の延長線上に1辺6㎝の直角二等辺三角形を考える(下図点線)。

すると、和分の積より、正方形の高さは

  (8×6)/(8+6)= ²⁴ ⁄ ₇(㎝)

求める黒塗り部分は、この正方形と濃い赤の直角三角形2コの合計。その直角三角形はタテ横の比8:6なので、実際の辺の長さは

  タテ… ²⁴ ⁄ ₇ ㎝、横… ¹⁸ ⁄ ₇ ㎝  

だとわかる。よって

  直角三角形2コ分… ²⁴ ⁄ ₇ × ¹⁸ ⁄ ₇ ÷2×2 = ⁴³² ⁄ ₄₉

  正方形… ²⁴ ⁄ ₇ × ²⁴ ⁄ ₇ = ⁵⁷⁶ ⁄ ₄₉

の合計 ¹⁴⁴ ⁄ ₇  が答え。