得意楽器はボキャブラリー -24ページ目

優先順位(前編)

この言葉が僕の仲間内では思わぬ揉め事の種になった。


発端は僕がA氏とB氏に新年会の誘いをメールで送ったことである。

A氏もB氏も20年来の付き合い。
年長のA氏は一匹狼のモノカキであり
B氏は有名大企業の課長である。

我々は揃ってマニアックな日本酒愛好家であるので
新年会の舞台となる店の選択肢はもとより少ない。

たまには自ら音頭を取ろうと
神保町のとある飲み屋の大将が作る鍋を喰おうと提案した。

それがとんだ揉め事を引き起こすことになる。


***


その大将が独立する前から僕らは彼の味に惚れ込みその店に通った。
大将も僕らを優待し好みに合わせて酒を置いてくれたりしていた。


さて、彼が独立してやっと開いた新しい店だが
やがて僕らはそれぞれに不満を持った。

雇われの板長から経営者になれば
仕入れの値段も今までより気になるだろうし
よりたくさんのお客さんをこなせるように
合理化を考えたりもするだろう。

A氏は面と向かって文句もいい
それでも大将を気にかけ時折足を運び世話を焼き続けた。

B氏も何度か、足を運んだが
度重なる失望に「もう行くことはない」と見切りをつけた。

僕は見切ったわけではないが
わざわざ神保町まで足を運ぶ理由も薄弱になり
自然と足が遠のいてしまっていた。


先日いつもの焼鳥屋が休みだったので久しぶりに顔を出すことにした。
大将は思いのほか喜んでくれた。

そして初めて大将の鍋を食べたときの感動を思い出した。
鴨と松茸の鍋だったと思う。

また大将の鍋を食べたいと思った。

という次第なのである。

本題はこれから。

***

思い込んだら止まらない僕は
独断で店に予約を入れ両氏にメールを送った。

B氏からは「了解」と短い返事が来たが
A氏からの返事は意外なものだった。

長い文章には、なぜBがもう行かないと宣言した店を敢えて選んだのか
また、当のBは前言を翻し店の選択に同意したのか
ということが強い非難を込めて書かれていた。

そして、その店の料理を不味いと思う相手と
食事をともにすることが楽しいとは思えず
また信条に反するので辞退するとも書かれていた。

A氏の言うことは至ってもっともであるが
B氏や僕のように社会的組織に属していると(今の僕は違うが)
全ての事柄において、参加者の合意を図るために
妥協点を求め、どこかで落としどころを見つけるということに
慣れっこになっている。
むしろ、当たり前のことだと信じて疑うことすらない。

こうした反応に驚き困惑するばかりである。
たかが店の選択で何もそこまで、と思ってしまうのが正直なところである。


B氏は、個人的には行きたいと思わないが
代案があるわけでもなく、3人で飲むということが第一義なので
S(=僕)の提案に従い同意した、と釈明した。

ところが、この優先順位という考え方が
火に油を注ぐ結果となった。

俺との付き合いにサラリーマン的処世術を持ち込むなと
A氏の憤慨は治まらなかった。


A氏は付き合いやすい人間ではないだろう。
一般には気難しいと思われるに違いない。

ただ僕はA氏の信義の厚さを知っている。
それを示すエピソードがある。


同じ大学の仲間であるC氏とD氏がいた。
D氏はもともと僕らとは気が合わずほとんど付き合いがなかったが
C氏は卒業後もD氏とも僕らとも付き合いを続けていた。
あるときC氏が場の雰囲気に迎合したのだろう。
A氏の前でD氏を蔑む発言をしたことを
それ以来A氏は許さなかった。

今回も同じことがいえる。
僕らにとって某店主とは一見の付き合いではない。
特に親身に世話をしてきたA氏にとっては。

「不味い」というのは人の勝手である。
しかし言葉には責任がある。
料理人にとっては料理の味が命であり
それを理解した上での発言であるならば
店に出入りするべきではないということだろう。


ともかく僕らの長年の付き合いにも危機がやってきた。

難題である。


信義と現実社会の処世術。
その間で僕は悩むのだった。


(後編につづく)


ペタしてね

誘惑

今日から「焼肉ビジネスフェア」という展示会がサンシャインで行われている。

あるビールメーカーさんの出展ブースの装飾を担当させてもらっているので
昨日も設営で池袋に行ったのだが
帰り道で余計な買い物をしてしまった。
$得意楽器はボキャブラリー

池袋東武は百貨店としては恐らく全国一
日本酒コーナーが充実している。

池袋は困った場所だ。

毎日行っていたら、たちまち事務所が酒庫になりそうだ。


今日はさすがに午前中だったので
誘惑に負けず東池袋から地下鉄で帰って来た。

表参道についたのがちょうどいい時間だったので
念願だった青学の学食へ潜入しようと思い立った。

大人の余裕を見せて
券売機で一番高いメニューを選ぶ。

鉄板ポークチョップ定食500円。

鉄板の上でジュージューいってる豚肉をみたらうれしくなった。

焼肉ビジネスフェアの会場では
朝だというのにもうもうと煙を上げながら
そこかしこで焼肉をジュージュー焼いていた。
コンパニオンが試食を勧めてくるが
出展関係者が食べているわけにもいかないので
唾を飲み込んで我慢するしかないのだ。

学食のおかげで胃袋は満足したが
残念ながら女子大生の姿はあまり見当たらなかった。


陰謀の世界

理事選を一週間後に控えた今日
絶妙のタイミングで報じられた
「貴乃花親方の黒い交際疑惑」。

ああ、ここまでやるのか。
この手口は、政治でも相撲でも
古い体質の伝統社会ではお決まりのものだ。

「FLASH」の記事が発端である。
出版社の光文社は以前から貴乃花親方と因縁の関係にあり
過去にも名誉毀損で損害賠償の支払いを命じられている。

こんなゲスな雑誌を作っている連中に
ジャーナリズム魂を求めること自体が無理なのだが
同調するスポーツ紙も同じ穴の狢である。

大体において
相撲にしても、地域の祭りにしても
伝統芸能が裏の世界と全く無縁でないことは
誰でも知っているはずのことではないのか。
どこのお祭りだってコワいお兄ちゃんたちがいるじゃないか。

誰かを貶めたければ
これぐらいの記事は簡単に作れる。


貴乃花親方は理事選には負けるかもしれないが
戦い続けてほしい。

そのうち後援会に入るから、待っててくれ。
貴乃花親方。