前回:Ⅱ-(59)  

「ディズニーはどう考えていたか」



1979430日のディズニー社とオリエンタルランドの最終調印は、今、考えるとどちらにメリットがあったのでしょうか?

私の解答は、両社です。

両社にとって、Win-Winであったと。

結果論ではありますが。

オリエンタルランドは、東京ディズニーランド開園から現在の業績を観れば、一目瞭然です。

ディズニー社にとっても、テーマパークの海外進出の成功は、自信につながったと思います。

その後の、パリ、香港、そして2014年に上海にディズニーランドが開園予定であることを観れば、ディズニーの自信のほどが伝わってきます(パリと香港はうまくいっていないという報道がありますが・・・)。

ディズニー社がオリエンタルランドとの交渉で反省している点があります。

それは、オリエンタルランドに資本参加しなかったことと言われています。

現在のロイヤルティーはお伝えできませんが、それでも年間100億以上のお金を支払っています。

しかし、この時、資本参加していれば、それ以上の利益があったのですから。

これも結果論ですが・・・。

しかし、ディズニーは、この反省を次のプロジェクトでは、活かしています。

ディズニーランド・パリでも、香港ディズニーランドでも資本参加しているのです。

しかし、皮肉ですね。その二つがあまりうまくいっていないのですから。

ただし、もう少し、長い目で見た方がいいのかもしれません。ディズニーは、辛抱強く、2つのリゾートを育成していくでしょう。ディズニーのパートナーが邪魔をしなければですが。

To be continue

【次回 ディズニー大学との出会い-61)「いくらカネがかかっても構わない」




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前回:Ⅱ-(57)  

「次の試練」



ディズニーの提示したロイヤルティー(使用料)に対して三井不動産の減額要求。そして、ロイヤルティー以外に契約期間の長さも問題になりました。文章では語りきれない様々な攻防があったようですが、高橋さんが2代目社長になり、捨て身の行動により決着します。最終契約調印期間が4月末に迫り、辞職覚悟で、米国にて最終調印を締結してしまいます。

無事、契約が締結され、高橋さんの続投も決定しました。しかし、さらに試練は続きます。それは、建設費用の問題でした。三井不動産は、資本金の48%分の保証しか協力はしないと明言していました。京成電鉄もお金がありません。最後は、銀行に融資を依頼するしかありませんでした。銀行に依頼をしても巨額の資金を出してくれるところは、そうはなかったようです。マスコミも決して好意的と思われる報道ではなかったためか、銀行もギャンブルする意思はないと言われたこともあったようです。ここで強力なバックアップになったのが千葉県です。すでにディズニーランドの誘致を公約してしまったためもあったようですが、副知事がこの融資交渉に同行してくれたそうです。また、何かあれば県が責任をとると明言くれたのが大きな力になりました。それに応えてくれたのが、旧名「日本興業銀行」でした。現在の「みずほ銀行」です。先見性があり、将来優良な企業を育てるのに優れた銀行だったと聞いています。このオリエンタルランドへの融資とりまとめもそれを証明したことになりますね。

この銀行の副頭取が、ディズニーランドを実際体験したことがあり、サービス産業の育成に積極的だったことも幸いしたようです。最終的には、日本興業銀行の一行では巨額すぎるということで20数行の銀行融資団を日本興業銀行主導で取りまとめられました。

日本興業銀行が認める会社ならば、他の銀行も認める。そのぐらい優れた銀行だったということです。

最初の建設費用は、概算600億円超。

建設開始直前の予想は、1000億円超。

1983年の完成した時は、1800億円超。

この融資がなければ、東京ディズニーリゾートの幻に終わっていたでしょう。

現実的ですが、一回融資して、建設が始まれば、その後もその融資を回収するまでは、建設資金を出し続けるしかありませんから。

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前回:Ⅱ-(56)  

「富士山に勝つが・・・」



1975年末にほぼ埋め立て工事は終了したそうです。

この時期、京成電鉄の経営していたデパートの業績が悪化し、川崎さんは京成電鉄の経営に集中するためがオリエンタルランドの社長を退任します。

その後は、社長不在のまま、高橋政知さんともうお一人が代表権を持って経営することとになったそうです。これまでの京成電鉄主導から三井不動産主導でディズニーランドプロジェクトを推進するという変化も起こりました。

この時期、高橋さんは、ディズニープロジェクトに積極的に関与していなかったようです。しかし、ディズニープロジェクトの強いかじ取り役が必要になってきます。

そうなると高橋さんしかいません。高橋さんが一人代表取締役に就任します。この高橋さん当番には、プロジェクト自体が進んでいないこと、三井不動産が消極的になっているように川崎さんが不安を感じたからのようです。

三井不動産の消極的な理由は、ロイヤルティーの高さにあったと言われています。

確かに現在とは違い、70年代、著作権や版権の使用料についての概念が低い時代でした。

建設費や営業費用などすべてをOLCが受け持つ上に、開演後も売上に対して10%の使用料を数十年にわたり支払い続けるわけですから、大株主である三井不動産としても不安だったのでしょう。現にロイヤルティーの引き下げ提案をディズニーに通告しています。この時、問題は社長であった高橋さんに事前承認を取ることなしに進めたことでした。

これに対してディズニー側は、大激怒したようです。それも当然で「基本合意」の際、すでにロイヤルティーは記載されていたのですから。

しかし、私は進め方に問題はあるにしても、結果的にディズニーの一方的な契約内容を受け入れるという姿勢ではなく、日本側も言うべきことは言うという姿勢を示したことは、良かったのではないかと思います。米国とビジネスする場合、ロジックに基づいた主張は大切なことだからです。

この後の交渉で実際、この三井不動産の行動が有利に働いたことも私はあると思っています。

なぜ、三井不動産がこのような行動をとったのかですが、この時期、経営的に苦しい状態で、もしこのプロジェクトが開業してから大失敗に終わると三井不動産がオリエンタルランドの莫大な負債を抱え込むことになるからです。小といえども、私も経営者です。気持はわかります。

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【次回 ディズニー大学との出会い-58)「試練は続く」





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