PACERSは輝いていた… -2ページ目

前提の激変

久しぶりに為替がこれだけ急激に動くのを見た。英欧の利下げを示唆する発言をトリガーに、為替が大きく均衡を変えた。とはいえ、発言そのものはあくまでトリガーに過ぎず、一日を通して、何らかのポジション解消が蠢いていた。




ユーロ円
EURJPY
ポンド円


GBPJPY
ドル円


USDJPY


消去法で円が選好される。

必要に駆られて円が選好される。

実需を食いものにする動きが、拍車をかける。



新興国は一般市民も、円建てでローンを組み、実質的に円キャリー・トレードをしていた。

[asahi.com]ローン返済、突如倍増 アイスランド、円建て人気裏目

[Bloomberg]クローナ急落、アイスランド国民を圧迫-外貨ローンの支払額が急増


しかし、上手い話は長続きしなかった。長続きさせようと、金融当局は必死に利上げで、通貨防衛を図ったりしているが、そんなもの無駄である。利上げすれば、どうせ国内経済が停滞するので、結局は通貨安になる。

円キャリーは、円が買われる形で終息する。

世界の「カネ余り」を支えていた前提が、また一つ終わりを告げた。



しかし、これだけドラスティックに為替が動くと、企業業績の前提も大きく変化する。

外需頼みの企業は、需要の減少と為替の目減りで、トップラインからダブル・パンチとなる。

ソニーの為替前提は、さっそくに「楽観的な前提」となってしまっている。


6758 ソニー

ところで、今日を「第二のソニー・ショック」なんて解説しているトコロは、

たぶん何も理解できていないんだと思う…


6758





今、我々が目にしているのは、ブラック・マンデーなんかでも9・11なんかでも大恐慌なんかでもない。

経済全体のあらゆる前提が変わろうとしている、まさにその時なのかもしれないのだ。

これまでの経験(といっても、長くて半世紀の経験が良いところだろうが…)は役に立たなくなるかもしれない。





遅行効果

9月の英CPIは前年比+5.2%、16年ぶりの高水準  以下、本文 =====


[ロンドン 14日 ロイター] 英国立統計局が発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年比5.2%上昇し、16年ぶりの水準となった。ただイングランド銀行(英中銀)当局者はインフレ加速を予想しており、今後の利下げの妨げにはならないとみられている。

 8月は前年比4.7%上昇。アナリストの予想は5%上昇だった。


 英中銀は前週、世界主要中銀の緊急協調利下げの一環として、政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き下げ4.5%とした。その際、インフレ率は近く5%を上回る可能性があるが、金融市場の混乱により、経済と物価の下振れリスクが高まった、との認識を示した。


 多くのエコノミストは、今後数カ月以内の大幅利下げを予想。当局者は、経済見通しがこの1カ月で悪化した、との懸念を示している。


 インベステックのエコノミスト、デービッド・ページ氏は「これをインフレのピークとみている。エネルギー価格の低下を背景に、インフレ率は向こう1年間で、比較的急速に鈍化するだろう」と述べた。


 統計局によると、9月のインフレ率を押し上げたのは公共料金。電気料金は前年比で30.3%上昇、ガス料金は49.9%上昇した。


 半面、食品価格の上昇率は14.5%から12.7%に鈍化した。


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エネルギー価格は、金融市場(先物市場)の動向に合わせて、急速に下落するだろう。でも、公共料金の方はどうかな。ようやく、高かったエネルギーの時期の価格転嫁が始まった状況ではないだろうか。イギリスの公共料金制度がどうなっているのかには明るくないのだが、取り漏れがある状態ではそう簡単に値下げされないのではないだろうか。結構民営化が進んでいるはずなので、政府の影響力がどれほど有効に機能するのかも分からないし、独占・寡占状態の市場だし…


おそらく、イギリス固有の要因ではない。

物価上昇には遅行効果があることは教科書にも書いてある。


金融不安を背景に、思い切った利下げが実施されて間もない状況だが、引き続きインフレと景気後退が共存する期間がありえるという可能性を排除することは、思わぬ落とし穴にはまりかねない。「将来的には収まるインフレなんだから、政策決定には中立だよ」とタカをくくることはできるかもしれないが、インフレと景気後退が共存すると一般市民(特に貧困層)にとっては非常に苦しい時期を迎えることを意味する。



ところで、公共料金はコア・インフレの項目。




信用収縮の影響

[NIKKEI]米ドミノ・ピザ 6-8月期決算、前年比8%減益  以下、本文 =====


【ニューヨーク=清水石珠実】米宅配ピザ大手ドミノ・ピザが14日に発表した6―8月期の業績は、売上高が前年同期比4%減の3億2400万ドル、純利益が同8%減の1000万ドルだった。1株利益は、前年比横ばいの0.17ドル。原料や原油のコスト高に加え、米経済が減速するなかで消費者の外食手控えが響いた。


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EPSは市場予想を下回った。ドミノ・ピザ以外にも、ペプシもネガティブな決算内容であった。

実体経済の悪化の証拠なのであろうか?仮にそうだとすると、アメリカ人も質素倹約の消費行動にシフトしているということなのだろうか。会社側の説明を読んでいる限りは、そのようである。


外食を控えて、出費を減らす。ジュースを我慢して、出費を減らす。

なんだか当たり前な節約だが、アメリカ人がそうしているというのは、隔世の感というか何というか…


あまり裁量消費のイメージの湧かない上記二社の下方修正は、米国消費の縮小はかなりの規模・速度であることを覚悟しなければならないかもしれない。裁量消費はどうなるのだろう?ベストバイもかなりの在庫を抱えている決算内容であった。


ざっくり、アメリカのGDPは、個人消費がその70%を占める。

ざっくり、世界のGDPは、アメリカがその25%を占める。

ということは、ざっくり、世界のGDPの17.5%がかなりの規模・速度で縮小していく。




☆過去ログ

信用収縮の証拠

公的資金注入へ

[Reyters]米政府、2500億ドルの資本注入策を発表へ 以下、本文 =====


[ワシントン 13日 ロイター] 複数の関係筋によると、米政府は国内金融機関に総額2500億ドル(約26兆円)の資本を注入する計画を14日に発表する。うち1250億ドルは大手9行に注入する。

関係筋がロイターに明らかにしたところによると、財務省が株式を取得するのは、バンク・オブ・アメリカ<BAC.N>、ウェルズ・ファーゴ<WFC.N>、シティグループ<C.N>、JPモルガン<JPM.N>、ゴールドマン・サックス<GS.N>、モルガン・スタンレー<MS.N>、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン<BK.N>の7行。

さらに他のメディアによると、ステート・ストリート<STT.N>とメルリンチ<MER.N>も資本注入を受ける見通し。

関係筋によると、14日発表の対策には、銀行・貯蓄金融機関が発行するシニア優先債務を連邦預金保険公社(FDIC)が3年間保証することや、無利子の銀行預金の保証上限を撤廃することも盛り込まれる。

関係筋は9行への資本注入について、政府が「やや強引な形で」銀行を説得したことを明らかにした。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、資本注入額はシティ、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴが各250億ドル、ゴールドマンとモルガン・スタンレーが各100億ドル。

ブッシュ政権は、今月成立した7000億ドル規模の金融安定化策で、次回利用が可能になる1000億ドル分を利用する方針を議会に正式に通知する方針。

ポールソン財務長官は13日、今回の対策についてバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン、シティ、JPモルガン、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの幹部と財務省で協議した。

協議には、バーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長、ガイトナー・ニューヨーク連銀総裁、ベアーFDIC総裁も参加した。

金融安定化法に基づく不良資産買い取り業務の責任者を務めるカシュカリ財務次官補は13日、公的資金の注入について、健全な金融機関の参加を促したいと発言。

「(財務省による株式取得は)自発的なものとなる予定で、健全な金融機関の参加を促すため、魅力的な条件にしたい。公的な資本を補完するため民間からの資本調達も促していく」と述べた。

民主党の有力議員も、銀行への資本注入を支持する考えを示している。

ホイヤー下院民主党院内総務は「(資本注入は)当初の案にはなかったが、必要だとの認識がコンセンサスになっているようだ」と述べた。

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いよいよ、アメリカの金融機関への公的資金注入が行われることが、G7によって確認されたことで、欧米発の金融危機が一旦収束することが期待されて、ワールドワイドで株式は上昇した。

(個人的には、リーマンCDSに関するイベントが過ぎたことで、換金相場が一服した、とも理解しているのだが…)



TOPIX 日足 



公的資金注入といった場合、「経営責任を問う」であったり「経営裁量権は限定する」とすれば、健全な金融機関はこれを善しとせず、公的資金注入の枠組みから外れようとする。健全でない金融機関としても、公的資金注入を忌避するであろう(そういう金融機関こそ、経営責任を問われるから)。これでは、その金融機関が健全だから公的資金注入を拒否したのか、経営責任を逃れるために公的資金注入を拒否したのか、どちらなのかという疑心暗鬼を呼び、スキームとしては片手落ちになりかねない。


逆に、「経営責任を問わず」であったり「経営裁量権は引き続きそのまま」となれば、不健全な金融機関のモラルハザードを誘発する。投入されるのは、当然有権者の税金のため、政府としても後者は説明責任を問われる。しかし、誰もが手を上げやすくなり、金融システムの安定には効果があろう。


難しい舵取りだ…

自己責任の国アメリカでは、どのような形となるのだろうか?



イギリスでは、公的資金の見返りに、中小企業への融資と住宅ローンの提供を07年並の水準で維持することを強要されることとなった。公共インフラゆえに救済をしてやるが、その分は義務を果たせ、といった処であろう。しかし、景気後退期にこれをやると、公的資金を含めた資本は、より大きなリスクに晒される…

このため、バークレーズが出資を断り、自力での増資を目指した。しかし、足元の環境下で政府以外に「カネ」の出し手がいるだろうか?



さて、いよいよアメリカ企業の業績発表が本格化する。

力強いフォーキャストは望めないことは間違いなかろう。



REITの破綻

[NBonline]資金調達ができない、REIT破綻の深刻  以下、抜粋 =====



 金融機関の融資姿勢も破綻に大きく影響している。

 ニューシティは2008年9月21日に173億円の長期借入金、9月30日に125億円の短期借入金の返済を控えていた。173億円の長期借入金は返済期日の延長が決まったが、125億円の短期借入金を返済するために、保有する3物件を売却している。取得価格99億7300万円に対して売却価格は87億9000万円である。借金返済のためにロスを出してまで物件を売却する――。借り換えの厳しさを物語る。

今月も17日に短期借入金45億円の返済期日が来る。物件を購入する資金の調達のめどが立たないことに加えて、金融機関の返済圧力は激しさを増すばかり。残された道は法的整理しかなかったのだろう。

 ニューシティはタワーマンションの購入という同社固有の要因があったが、借り換えが難しくなりつつあるのはどのREITでも同じこと。「借り換えに応じないとは言われていない。だが、金融機関の返済圧力が高まっていることはひしひしと感じている」とあるREITの社長も打ち明ける。

 「金融機関は勝ち組と負け組を明確に選別している。負け組がどうなるか。それはメーンバンクの腹一つ」とメガバンクの融資担当者は言う。勝ち組は問題ないが、ひとたび負け組に分類されれば、借り換えができたとしても融資条件は悪くなる。借り換えができなければ、資産を売って借金を返すほかにない。


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REITはレバレッジ比率が低いので、いざとなったら物件を売却すれば借り入れを返済できる(上記のニューシティも借入比率が高いと言われていたようだが、それでも55%である)。それゆえ、REITが破綻することは想定されえない。この仕組みは、常にゴーイング・コンサーンである…はずだった。

運用期間と借入期間、収入と支払がバランスしていなければ、どんな仕組みだってデフォルトしうるということが改めて認識された。物件を売却すれば大丈夫、と言っても、すぐにキャッシュ化できない資産じゃ仕方ないことも改めて認識された。



まぁ、債権者の御眼鏡に叶うようなスポンサーが現れるか、担保権が行使されるか、二つに一つ。

どのような結末を迎えるのかは、今後の展開を見守るしかない。



デフォルトしない前提で投資していた投資家は肝を冷やしたことだろう。


J-REIT 20081010

データソースは、このサイト



そういえば、先月時点で以下のニュースが流れていた。

元を辿れば、リーマン・ブラザーズ?やはり、影響は其処彼処で出てくるものだ。

[asahi.com]リーマン破綻、「さくらシティ日立」に影響



☆過去ログ

続:LEH