不思議なめぐり合わせ 1
依頼だ!調査だ!それ出動!いつものように私は、さっそうと現場に向かった。依頼人は、中国人男性(チョ:38歳)であった。
日本人の妻(遊子:33歳)が浮気をしているようであった。妻と言っても2人は、入籍はしていなかった。
このチョは、古いベンツにサングラススタイルで見た目もそうであるが、どことなく怪しい雰囲気を漂わせていた。私のこのにらみは、的中していた。
私は、妙にこのチョが胡散臭かったので、チョを軽く内偵してみた。
一方の被調査人である遊子は、見た目も派手な33歳の女であった。
しかし、人の人相というのは、面白いものである。調査業を長いことしていると色々な人の裏事情を見ることになり、それが結果として自然と人を見る眼、見抜く力が身についてしまうのである。これが良いのか悪いのか…
そんな目利きを私は楽しみながら(自分の中で)調査業を楽しんでいたりして…。この私の楽しみ方を1つお教えしよう!
依頼人と初めて会った第一印象で、この人はどんな人でこうで…とある程度の人間像を予測してみる。次に色々と相談を受けているとある程度の人間性が分かってくる。調査終了時になるとこの人の普段は見せないであろう内面までよく分かってくるのである。これを調査対象者で行ってみるとそれはそれはすごいことが分かってくるのである。これを何十年もしていると目利きのプロとなるのである。あなたも探偵になってお試しください。
つづく
若き日の訓練 2
な・なんと、その音声は、私の真横から発せられていた。
「ねぇっ寝てるぅ~?」その音の正体は"光"の居眠りから発せられている鼻息であった。私は、思わず目を点にして"光"の顔を眺めていた。すると
"光"の鼻から飛び出た一本の長い鼻毛がポカポカ陽気の心地よい風になびくように、鼻息にソヨソヨとリズミカルになびいていた。それは、今だかつて見たこともない、いや見たくもない鼻毛の動きであった。
私は、動揺&不思議&笑いを押し殺しながら任務を遂行し続けた。"光"は完全に眠りに落ちていた。
そんな中、数分が経過し再び横を振り向くと今度は、ものすごいものを私は見てしまった。鼻毛(ロン毛)のダンスなど可愛いものであった。
大きさを自在に変形している。私の目と口は大きく開いていた。
それは、まぎれもない"鼻ちょうちん"であった。アニメの世界だけに存在する現象だと思っていた、あの・あの"鼻ちょうちん"である。
その光景が私には、信じられなかった。正に、一生に一度見れるか分からない人間の創り出す芸術作品であった。
こうなると次に予測できるのは、鼻ちょうちんの破裂である。期待でワクワクしていたその瞬間…
動いてしまった。社員Aがである。すると起きていたかのように"光"が一言いった。「いよいよ動くか?」またも私は驚いた。"光"は、まるで起きていたかのように言葉を発した。(この技は、私も数年かかって習得し、現在に至る!!「鼻ちょうちんじゃないよ!」)そして、社員Aが動き出した。いよいよ訓練の開始であった…
しかし"光"は、本当に器の大きい名探偵であった。私の人生を変えた偉大な師匠であった。
若き日の訓練1
思えば、私も一人前の探偵になるまでに、様々な訓練と経験を積み重ねてきたものだ。昔は、ハイテク機器といっても無線関係のものや小型カメラなど全てアナログが基本であった。今のデジタル時代の機器は、本当にたいしたもんだ。我々の調査領域をどんどん奪っていってしまうような気がしてならない…
おっとっと・・・これじゃオヤジみたいだ。それでは、私の若き日の訓練の1コマをご紹介しよう!!
あれは、私が探偵となってまだ数ヶ月の時であった。この私にもかつて偉大な師匠がいた。
突き抜けるようなかん高い笑い声を発する元軍人の探偵"星 光"(ホシ ヒカル) 氏であった。
引退するまでの間、数々の功績を残した名探偵であった。
"TV局筆頭株主死因の究明""税務署の不正を暴き裁判で勝訴""不動産詐欺事件(数十億円)の真相解明"…と取り上げればきりがないほど数々の解決案件があり、優秀な刑事もちょくちょく顔を出し「光さん。良い情報はないですか…?」と情報を仕入れに来ていたものであった。
実は、以前お話しした、キレ者刑事の警部補"村田"が若い駆け出しの頃、"光"の調査事務所に顔を出していたのであった。(後に、村田と話してそういえばあの時の…というのが最初の彼との出会いであった)
そんな、師匠、"光"と私が2人で張り込みをした時であった。調査内容は、半導体関連のメーカー(1部上場企業)で技術開発部の社員Aの不正をチェックするための調査であった。
2人で行ったこの日の主な調査は、社員Aの外出時の行動を監視するための尾行張込であった。
この日の調査には、2つの意味がある調査であることが私には察知できた。
1つは、当然、この調査を成功へと導くためであるが、2つ目の意味としては、まだ経験の浅い私の訓練及び技量の把握である。
TOPである"光"自らが、現場におもむき、また、私へのテストとなると
「絶対にミスは許されない。完璧にこなしてみせる」との思いで調査を行った。
私が運転、"光"が助手席に乗り張込を開始した。
ポカポカ陽気の張込であった。"光"の厳しい指示から始まり、張込の時間が経過していくにつれて"光"の口数が徐々に少なくなっていき、やがて沈黙となった。沈黙は数分間続いた。私は「きたきた。いよいよテストの開始だ」と思い、緊張しながら任務を遂行していた。張込を開始して1時間が経過したころであった。今だ社員Aの動きはない。すると、異変がおきた。
つづく