オーストラリアを感じるセミナーとは? | オーストラリア移住日記

オーストラリア移住日記

憧れから、移住決行、移住後の生活、起業、子育て、そして今・・・

「加藤さん、今年もセミナーを開催してくれてありがとう

「豪州アドバンストセミナー」を開催する際に、セミナー開催前や開催中はもちろん、開催後にもたくさんのメールが私の元に届く。

その誰もが参加費を払って参加してくれている訳で、本来であれば私の方が参加してくれたことへのお礼を言わなければならない立場なのだ。

 

12年間続けて来たが、昨年末から開始した新しい事業を軌道に乗せる作業に追われていたため、今年は参加者募集のアナウンスが遅れてしまった。

年度末や祝日が重なったため、一時はセミナー開催の断念も考えた。

そのような理由から、今年は例年のようにコーチが集まってくれるか不安で仕方が無かった。

 

限られた時間の中でより理解力を高めるために、オーストラリアのコーチが実際に選手達へのコーチングを見せる形式でプログラムは進められる。

オーストラリアのコーチ達はオーストラリアでの選手達へのコーチングをそのまま実施する。

デモンストレーターを務める桐蔭学園ラグビー部の選手達の見せる学ぼうとする意欲や真剣さに、オーストラリアのコーチ達もどんどん本気モードになっていく。

集まった100名近くのコーチもその状況に引込まれ、その誰もが真剣にメモを取り、画像に残そうとするが、その一体感というか、集中や緊張感が私の目指すところなのだ。

マネジメント担当の私は、常々セミナーの在り方を考えながら、遠巻きに様子を眺めている。
座学を交え、難しい理論をレクチャーするプログラムも可能だが、一定のシーズンオフが確率されていない日本では、2日間に何もかも含めるのは到底無理な話であり、私はコーチングの現場を再現するのが一番良い方法と考えている。

 

長年、座学でどれだけ文法や基礎を習っても、会話になるとまるで駄目な日本の英語教育を考えれば、キーポイントや注意点を明瞭に伝えながら進めていくこの形式以外、私にはよりベターな方法やプログラムが見えて来ない。

もちろん、私は座学を否定している訳ではない。

観て聴いて感じることを優先した形を採用しているが・・・

オーストラリア人コーチはデモンストレーションの中で重要なキーポイントを余すところなく伝え、それを通訳が完璧に日本語で伝えている。

机上の空論とは異なり、良い方法を室内で手ほどきされるより、上手く行く場面も失敗する場面もコーチングには重要な学びとなるのだ。

 

2月、オーストラリアのトップコーチセミナー(レベル3)に参加したが、普段現場を経験していない私は私自身のレベルの低さを痛感した。

例えあのセミナーが日本語で行われていたとしても、ディベート(討論)やディスカッション(議論)に参加するのは正直無理だと感じた。

それでも、私はコーチングに関するイベントを12年も続けている。

個々のチームや遠征を迎える際の指導を考えれば20年以上コーチングに関わっている。
私は日本のラグビー界で10年以上続いているセミナーやプロジェクトを知らない。

スタッフが替わるやいなや、XXプロジェクトや〇〇プロジェクトなど、見てくれや聞こえの良いプロジェクトが発表されるが、それが長く続いた試しは無い。

「豪州アドバンストセミナー」を12年間続けていることは、言ってみれば私の誇りなのだ。

 

08年から桐蔭学園で開催しているが、この8年間に一度も同じ指導を繰返したことは無い。

もちろん、毎年指導方針が替わるということでは無く、基本はもちろん一貫性を保ち、毎年進化させることが私達のチームの基本方針と言うか目指すところなのだ。

セミナー開催のコンセプト(概念)は最新のコーチングであること、日本のラグビーや日本の選手に有効であること、それと日本のコーチや選手がエンジョイできることなのだ。

更に、赤字にしないことが私には重要課題だが、それが難しい場合もある。

 

元々、私は「お金を払ってスポーツを学ぶ」という文化を日本に植え付けたかったのだ。

セミナーに参加しているコーチのほとんどが、サービス残業で選手たちを指導し、このセミナーにも自身が参加費や足代、中には宿泊費を払って参加してくれている。

そんな現状に一石を投じたいと考えるが、例えそんな現状が改善されなくても、参加者に参加費を払って参加したことを喜んでもらえる機会にしようと努力している。

 

2月のトップコーチセミナー、「アタックの原則」のレクチャラーは私より年上だった。

聞けば、彼は73歳の現役コーチなのだ。

オーストラリア全土から集まった20名のトップコーチ達との激しいディベート(討論)を観戦(敢えて私はそう表現したい)しながら、今年還暦を迎える私にも勇気が湧いてきた。

 

セミナーの在り方とは・・・

それは永遠の課題であるが、何はともあれ、私にとって「ライフワーク」と捉え目指すものがあることは幸せなことだ。