7人制ラグビーが次のリオデジャネイロ・オリンピックから正式種目に加わる。
それに伴い、日本でも強化の動きが活発になっていることだろう。
私の住むラグビー大国のオーストラリアでは、男女共に金メダルを目指し、すでに国を挙げた強化プロジェクトが開始されているようだ。
先日、18歳以下のナショナル7S大会がシドニーで開催された。
シドニー北部ナラビーン地区に在るシドニー・スポーツ・アカデミーのフィールドでは、オーストラリア全土から集まった地域代表選手による熱い戦いが繰り広げられた。
U18と言えば、次のリオ・オリンピックや東京オリンピックの頃には、正に主力選手として活躍する世代であり、ARU(オーストラリア・ラグビー協会)や各地域ラグビー協会のコーチやセレクターが数多くこの会場に集まっていた。
私には馴染みの顔ばかりで、QLD(クイーンズランド)州からは、今月末に日本で開催するアドバンストセミナーの打合せも兼ね "アンドーさん" ことグラント・アンダーソン(ラグビーアカデミー代表)が駆け付け、我々にとって嬉しい再会だった。
彼は日本で開催されるセミナーに講師として参加するが、年初にアカデミーで学ぶ選手を中心にチームを編成し、ドバイ7S大会に出場、その数名がこの大会のQLD州代表に選ばれていた。
競技場に張られた数多くのテントには「Supported by the Australian Government」(オーストラリア政府によってサポートされた)と書かれている。
ARUのシャツやパンツ、キャップを身に着けたスタッフが会場の至る所に立ち、運営はもちろん、それぞれの役割を果たし、尚且つフレンドリーにサポートを行っている。
中には幼い子供達の遊び相手にもなっているスタッフもおり、その様子を眺めているだけで、スポーツと市民が溶け込んでいるのが分かる。
それらをオーストラリア政府がサポートしていると思えば、やはりオーストラリアはスポーツ大国なんだなぁと思えてくる。
日本でよく見掛ける背広にネクタイ姿で椅子に座る役員のようなお歴々を一人も見なかった。
選手のリカバリーのためにアイスバスが用意され、担当のスタッフが何度も何度も車とテントを往復しながら重い氷を運んでいた。
「これは誰でも入れるのか?」と尋ねると、「選手オンリー!」とキッパリ。
もちろん、私が入るつもりで聞いたのではなかったが、このように「選手ファースト」選手へのサポートを最優先にする姿勢こそ、選手の体やコンディションを守るのはもちろん、スポーツ発展に寄与しているのではないかと思えてくる。
それこそが協会や主催者に求められる運営であり責務であるに違いない。
さあ、リオ・オリンピックへの秒読みは開始されている。
東京オリンピックもアッと言う間にやってくるだろう。
7人制ラグビーは日本にも十分メダル獲得のチャンスはあるはずだ。
願わくは、選手やチームの強化を図りながら、サポーターとなる一般市民を巻込んだ7人制ラグビーの普及を目指してもらいたいと願うのは私だけではないはずだ。