先日、順天堂大学大学院アトピー疾患研究センター長の奥村康さんの講演を聴く機会があった。
こうした機会を得るのは多い方だが、なかでもときどき「変わった人だなぁ~」と感歎する人と出会うと、世のなかの広さを感じさせられる。
以下は奥村さんの話しの主旨でけして私の意見とは思わないでほしいのだが、非常に興味深い話であり、参考にする価値は十分にあると思われる。奥村さんはあのNK(ナチュラルキラー)細胞の発見者で数々の医学賞の受賞でもあり、こんな言い方となって非常に恐縮である。
曰く、中性脂肪とコレステロールは脳の活動に必要なものであり、高いほど脳の回転は速く、明るく話しもおもしろい。それを薬で下げようとするのは、それを「バカにつける薬はない」という。下げる薬はあるが、上げる薬はないからだ。
 (年齢に関係するが)コレステロールを下げると暗くなる。だから下げつづけるかえって危ない行動に走ることになる。専門の免疫でいえば、たばこの喫煙にもメリットがある。
 多量はいけないが、適度な量ならば吸い続けた方がよい。免疫力を上げることとなる。たとえば風邪を引きにくい、インルエンザにかかりにくい。高校生くらいだと人の脳の細胞は約4000億個あるが、だいたい1日に20万個死滅している。
 だから記憶が消えるのだが、人の脳は格子状に細胞間が結ばれており、細胞が消えても別の回路から記憶をたどることもできる。この格子状の結びつきや強度をたばこが刺激することになる。
確かにたばこの効果もありそうだが、私は勧められるものではないと思う。次は奥村さんの発見したNK細胞についての話しだが、これもまた辛辣であるので、少々ぼかして紹介したい。
 曰く、日々新陳代謝で人の細胞は入れ替わっている。1日に約10兆個が入れ替わるといわれるが、さすがの細胞もそのうち5000個ほどの不良を出す。それが癌細胞だが、それを逐一見つけては排除する細胞がNK細胞である。
 ただ歳をとるとNK細胞の活動が衰えて、ちょこちょこと不良を見逃してしまうのが癌として生育する。私の学生になぜ癌ができるのかを調べさせた結論は「長生きになったから」であった。
 ではどうのようにしてNK細胞を活性化するのか。そこが私の研究である。ただ「笑い」には効果があることが分っている。また暗い人の近くにいると暗くなるし、明るい人の近くにいると明るくなるということも分かっており、その因果をこれから調べたい。
 この辺はしんなりと納得がいくのではないかと思うが、最後に、
免疫研究のテーマでもあるアレルギーについての奥村さんの話を紹介したい。(あるTV番組に出たときの話しである)
 曰く、出演者の一人に「アトピーを解消する方法なありますか?」と質問されたので、それは簡単で赤ちゃん用の石鹸工場を爆破すればいいんですよ、と答えようとすると「爆破」のところでCMに切り替えられた。
 石鹸でごしごしやるとせっかくの皮膚を護っている油のまくを全部取って丸裸にしてしまうので色々な菌に侵されるだよ。免疫はウィルスなどの小さなものには有用だが、大きな菌となるとダメだね。
 奥村さんの話しには確かにと思うこともl多く、また「それはいい過ぎ」と思うところもある。それには裏とりも必要だが、笑っては流せない。過激に言わねば、心に残らないということもあり、興味の湧く御仁である。
 もし無知な医者や製薬会社にただ蝕まれているようなら、それで、それで悲しいものだから、何か意識を変えて(たばこではなく、石鹸ではなく)コレステロールの高い明るい人とお友達になろうと思った次第である。
ドイツの医師シュバイツァーがアフリカの病院を設立し、
医療活動をはじめたころに、ある記者が
「これでアフリカから祈祷師や占い師に命を委ねる
 という因習が払拭されますね」といったことに対し、
病院の向こうの森の方を差して「あれを見てください」と。

祈祷師は、ある患者には祈祷し、またある患者には
こちらの病院の方を指さして何か言っている。
あれは、たとえば外科的な治療が必要な人には
「『あそこの病院へ行きなさい』といっているですよ」
「私は最初はあなたと同じように思っていましたが、
 大事なことは患者の病を治療することで、
祈祷が必要な場合もあるんです」と。

日本に愛し、長く住む外国人がよくいう「らしさ」とは、
「あいまいさ」である。
詳細まではっきりと示さない。決めない、グレーゾーンだ。
グレーだからこそ、そこには多様な要素が入れる余地がある。
善くも悪くも現場任せで、あとは「現場で考えよ」と。
そこは答えがないわけだから、自由な発想と工夫が生まれる。

先日、中国から帰国したある人と話していたら、
夜な夜なCVSの前に屋台が出るという。
アルコールや飲料などの飲み物などは「CVSで買ってくれ!」
ということだ。法律もCVSも、屋台にも暗黙の了解がある。
考えてみれば、グレーなところに人の働く余地もある。

品質や安全が大事だからといってそれをすべてダメとせず、
少しだけ余地を残す。
それは責任を持つ余地であり、考える余地であり、
働く余地でもある。

われわれの好きな、あの大岡裁きもいわばグレーゾーンだ。
グレーを許容範囲はむずかしいかもしれないが、
そこに人の、日本人らしさが表われるものではなかろうか。
日本好きの外国人は、むしろそこに魅力を感じているのだから。
「いまさら」といわず、余地を残すことのよさを考えてみたい。

そのためではないかもしれないが、目は開けることもできれば
閉じることもできる。目を閉じることの意味もあるのだ。
鈍感な私も、最近見聞きする度に腹が立つことがある。
一応、決着はついたかたちだが、
それにしてもマスコミ報道には悪意があるのか、
それとも考えていないのか。
そこに輪を掛けて我がもの顔で意見を述べる学識者もしかり。

どこもかしこも自民VS公明の論調だが、
軽減税率の本質はそこではなかろう。
「軽減税率」を望む国民は少ないのか?反対が多いのか?
それこそ得意のアンケートをとればよいものを、
「さも我々は賢い」といわんばかりに、欠点ばかりを論って
「反対」とはいわずに、反対風の論をはる。
だいたいそうした人たちは口だけで、汗をかくならまだしも
何もやらん人たちである。

「逆進性」を指摘する人もいるが、
それは「公平性」ということに基づくのであろうが、
たとえばあの「3・11」のときの支援金が必要な人の手もとに
なかなか届かなかったこともそれが原因だ。
確かに公平性は大事だが、緊急に場合、とにかく必要なモノには
そうしたリスクを抱えてもやらなければならないことがある。

また食料品と衣料品(たとえばオムツ)を
同列に並べる人もいるが、確かに「子ども」となると思い働く。
だが、まずは食べることでしょう。衣食住の第一義でしょう。
食べることは命をつなぐことでしょう。
子どもにとってもそれは同じで、
オムツは工夫すれば何とかなるが、食べ物はどうするのか。

わずか2%の違いという人もいるが、
現に3%上がって景気はどうなったのか。
また「これから徐々に消費税は上がる」との認識で、
ますます苦しくなってくる人たちが増えることを考えれば、
「今からは導入する」ことは何の矛盾もない。

生活現場の景気実感と、さらなる増税にともなう緊急性を
本当に考えているのであろうか。
それを議論している政治の場よりも、むしろマスメディアと
象牙の塔に籠った学識者の見識を疑う。

自民VS公明ではなく、真実は象牙の塔VS民衆ではないのか。
必要なことはやる。そして問題があれば改善していく。
口だけではなく、自らも汗をかく。
学識の真の力を示してほしいものである。