防除1回目 | 独学の道Ⅲ

独学の道Ⅲ

自分で自分を変えることは、到底無理なことかもしれないが、それに望む気持ちの自力論は高尚で偉大である。
仮にその結果が甚だ振るわなかったとしてもだ。
By幸田露伴(努力論より)

農作物を生産するに当たって、最も重要な事の一つに防除計画があります。上差し

 

つまり、樹木にも葉っぱにも、お客様が口にする商品部分にも

 

絶対に害虫による被害品を届けないように、そして当然の如く生産者の財産である

 

樹木を守るべく、園地から害虫を退治してクリーンな生産環境を確保する為にも

 

農薬を散布していかなければなりません。グッ

 

 

どんな生産物にも必ず、目に見えない努力が掛けられています。

 

 

サクランボは、冬の枝の剪定作業を一通り終え、今度は花芽が硬いうちに

 

第一回目の防除作業を行います。

 

 

今回のターゲットはこちら↓

 

 

虫が産まれたと思ったら、7日から10日でもう一回産卵し、

 

何度でも産卵して爆発的に増えていくカイガラムシです。

 

一般家庭では、歯ブラシや手でこすると取り除けますが、大園地でそれは出来ません。

 

ですので、この白い貝殻のような硬い膜から次の虫が産まれないようにして、

 

またはこの貝殻を枝に着かせないようにするには、

 

油を塗って虫の窒息死を誘発させる他に有効な方法は今のところありません。

 

 

産卵させないホルモン剤などが開発されれば良いのですが・・・。

 

 

と云うことで、今回は、油を散布します。パー

 

 

タダの油ではくっつきませんので、人間のお化粧品の乳液剤と同様に

 

樹木用の乳液剤であるハーベストオイルという油を水に乳化させて散布します。

 

 

虫の窒息死が目的ですので、丁寧に360度散布していかなければなりません。

 

ただ単に、スピードスプレーヤーで撒けば良いというものではありませんので

 

何百本もの樹木を片付けるには・・・なかなかに骨が折れる作業です。

 

 

これは花芽が硬い時期である今と、

 

ふくらみが大きくなってきた時期、10日後にもう一度行うことがセットです。

 

 

その後、花粉の人工授粉作業を経て、虫が産卵を忘れてしまうホルモン剤散布があるので

 

4月は3回ほど防除作業があるので大忙しです。

 

 

私も、農業に携わる以前には

 

消毒作業というものは、劇薬を使用して人間にとっても、有害な農薬を散布するのか?

 

と偏見を持っていましたが、

 

勉強をしてみると・・・実際は、乳剤にしてもしかり、

 

植物ホルモン然りそれ程の劇薬ではないことを知り安心しています。

 

 

毎日我々が食べる、ブドウやいちごも植物ホルモン散布を2回行って出荷していますし

 

牛肉や豚肉、鶏肉なども同様に、ステロイドホルモン(人間で云う所の強力な痛み止め)

 

を大量に摂取させて、絶対に病気にかからないよう、

 

さらには脂身を増やす目的でも定期的に摂取させて体調管理して出荷しています。

 

ニュージーランドの牧草を食べて育てるグラスフェッド牛はまた別の生産方法だと思われますが

 

一般的な99%の肉は、殆どがホルモン剤接種と、ワクチンの予防接種を受けています。

 

 

そういう意味では、除草剤は別格として、消費者が口にするものに関しての農薬は

 

歴史を見ても比較的心配ないものであることが最近、ようやく理解出来てきました。

 

 

 

これが、おおよそ1年間の防除計画です。

 

赤枠が、今回の作業内容です。

 

 

11月まで木に対して農薬の散布をし続けないと、虫によって木に穴を開けられたりしてしまいます。

 

なかなかにサクランボが高い理由の一つが分かると思います。

 

ブドウでもリンゴでもミカンでも

 

大体このように日本全体で防除計画を実施されていることと思います。

 

田んぼの中にポツンと畑のある所は、隣の園地から虫が移動してこないので、

 

わりかし防除回数は減らせて、無農薬に近い栽培が可能かもしれませんが、

 

隣地や山間部、川や同系統の品種(サクランボと桜の木)などがあると

 

あっちに行ったりこっちに虫が移動したりで、全然全滅などできません。

 

そう考えると、ミカン一つ、リンゴ一つでも

 

誰かの献身的な働きの上で実っていることが分かると

 

美味しさも一塩と云ったところでしょうか。

 

と云うことで、本日は第一回目の防除作業の終了です。

 

 

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

 

パー