ここ数年、野鳥撮影に凝っています。
ブログをご覧の方には、福島潟でのオオヒシクイの写真が
記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんが
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福島潟には、敢えてツンドラ地域のロシアから、越冬の為にヒシクイが日本に飛来し
生息数日本一を誇りますが、翼を広げると北海道に居るタンチョウ鶴1.5mの次に大きい
1.2mの翼を広げます。
そのオオヒシクイが、朝7時頃になると白鳥と共に食事に出かけて飛び立つ様は
圧感としか言い表せない程に、空を黒く染めます。
鴈晴舎と称する野鳥観察小屋の3階に陣取り
三脚を立てて、600mmレンズに2倍テレコンをかませて、
贅沢な1200mm仕様の望遠レンズで狙っているのですが、
飛び立ったオオヒシクイは、私の頭上10m付近を
どうせ人間は手が届かないだろうとばかりに、あざ笑うかのように滑空して
各餌場へと何万羽と飛び立っていきます。
蝶で云うと一度見ると忘れられないアサギマダラの模様のように
オオヒシクイもまた独特の模様を持っていて、一度見ると忘れられない鴈の一種です。
私は1200mmの望遠レンズで数年に渡って何度も何日も見続けていますが
オオヒシを食べて、ヒシの棘がオオヒシクイの口に刺さって
出血したところを見たことはありませんが
時折、そんなユーモラスなことも耳にします。
ヒシは周りの部分をとって、中身を食べます。
まるで栗を食べるように、くちばしで器用に皮を剥いで食べるそうですが
いつしかそんなせっかちで焦って口にして、棘がくちばしに刺さり
出血しているベストショットでも撮れないだろうか?などと考えながら
真冬に2時間半も凍結路面を運転して朝のオオヒシクイを撮影に通うのです。
一番の天敵は、オオタカを狙っている野鳥写真家たちです。
タカは高い所で動く撮影者がいると警戒して飛び立たないという事で
鴈晴舎2Fの撮影場所から身を潜めて狙っているのです。
私たちは3Fのてっぺんから撮影していると、睨みつけてきます。
お前らがいるとタカが飛ばないから早く帰れという圧力が物凄いのですが
タカは風速5m程度の風が無いと飛び立ちません。
身体が重いので、風を上手く捉えて羽を広げるだけで上昇出来るタイミングを
狙って伺っているので
風の無い朝は、オオタカを撮影する人は少なく、オオヒシクイの撮影にもってこいなのです。
湖を一面覆っていたヒシは、ある時に突然腐って沈みます。
先週まで水面が見えなかった状況でも、次週には水面が見えています。
ヒシは、良い面と悪い面があります。
ネットで検索した情報によると
(正の影響)
◆ヒシは、水質の改善に貢献する。
・水中または底泥から栄養分を吸収するため、三方湖の富栄養化を抑える。
(筆者注)秋以降にヒシが枯死したとき、そのとき植物体に含まれていた栄養分は再び放出されるようになります。そのため、ヒシによる水質改善の効果は、ヒシが生育している期間中に限定されると考えられます。
・ヒシが分布することによって底泥の巻き上げが抑制されることなどにより、濁りによる透明度の低下が改善される。
・ヒシが分布すると、アオコの発生が抑えられる。
◆ヒシ群落は、生物多様性に貢献する。
・ヒシ群落は、水生昆虫や稚魚の生息場所として利用されている(写真5)。
(筆者注)ヒシ自体も、生物多様性の構成要素の1つです。
・三方五湖では、護岸のコンクリート化に伴い湖岸植生が衰退・消失しており、三方湖においては、ヒシ群落が消失した湖岸植生帯の代替として機能している。
・ヒシ群落の有無によって、動物プランクトンの種組成が異なる。
◆漁業においては、ヒシ群落がエビなどの生息場所となっている。また、アオコの発生を抑えることによって、魚やエビなどの生息環境の悪化を抑制する。
(負の影響)
◆ヒシが水面をほとんど覆うように繁茂した場合、溶存酸素濃度が低くなり、魚類などの生存に悪影響を及ぼす可能性がある。これは、生物多様性と漁業の両方の観点から問題となる可能性がある。
◆漁業においては、上述の影響に加えて、小型船舶の航行に支障をきたしたり、漁具にヒシがからまるなどして、漁の妨げとなる。
◆生活面への影響として、ヒシの葉を植食するジュンサイハムシ(昆虫)の個体数が増加し、その一部が住宅地へ飛来すると、洗濯物に付着して汚すことがある。
◆ヒシが大量に繁茂した場合、秋に枯死したヒシが大量に湖岸に流れ着いて、悪臭の原因となる。
◆ヒシが大量に繁茂した場合、景観が悪いと感じる人がいる。観光の観点からは、良好な景観が求められる。
私の住む地域では、何故だかヒシは悪者扱いになっています。
水利組合の有志が沼のヒシを除去するために奔走していると聞いています。
私なら渡り鳥の餌になるから採取・根絶はして欲しくないのですが、
一般的には悪臭の元や景観が悪化する
とみられている様子です。
県としても、渡り鳥は鳥インフルエンザなどのウィルスを持ってくるもの
として考えられており、ニワトリ繁殖場やたまごを採卵する鶏卵業者にとっては
災いの元として捉えられているのかもしれません。
一旦、鳥インフルンザに感染すれば、全てのニワトリが屠殺されることを意味し
営農面のリスクを考えれば致し方ない考え方なのかもしれません。
写真撮影する側としては、渡り鳥に来て欲しい思いなのですが、最近は
水面に蔓延るヒシは、地球温暖化と共に勢力を増してきているようにも思えます。
ヒシの実は人間も食べることが出来ますが、費用対効果で
ヒシを採取して中身を取り出す人件費と需要の関係を考えれば
今はまだ・・・利用価値がありません。
費用対効果を考えて、何とかヒシを有効利用できる方法はないでしょうか?
一番は肥料としての活用です。
抜去したヒシを、藁や家畜の糞と混ぜ合わせて発酵させて有機肥料化させて
有機たい肥として畑に撒くという方法ならば、
落ち葉の腐葉土と同様に無駄ではないと思います。
または、動物園のカモノハシ類の餌になれば幸いですし・・・・
そのままにしておけるので有意義に成り得ると思うのです。
今後ヒシの繁殖を巡って、日本全国の関係者は頭を悩ませることでしょう。
今度は、ヒシを食べてどんな味だったかを報告したいと考えていますwww
本日も問題提起ブログをご覧いただきましてありがとうございました