前日の続きです
単焦点レンズは色収差や、ディストーション、MTFの数字がとてもよく設計されています。
いわゆる現代の最高傑作です。
私はF値1.4信者なのでアートレンズは単焦点のみを所持していますが、
ズームレンズは超便利なので1本で済ませたい時はズームレンズ1本だけ持って出かけるタイプです。
勝負下着🩲と言いますが、私が勝負する時は単焦点レンズ、
フランク曜日はズームレンズという切り替えですが、そういう意味でどっちも必要なレンズです。
ズームレンズは、F値の部分で最高とまではいきませんが
絞りを絞るとバランスよく最高性能が発揮できるように設計がなされています。
そういう設計図が、ディストーションやMTF曲線となって表されています。
ディストーションとは画像のゆがみの事です。下の図をご覧下さい。
60-600のディストーション 60mmワイド端でタル型のゆがみがありますが、
600mmテレ端では糸巻き型のゆがみがあるのが分かると思います。
ソフトによって修正されるので、RAW撮影ではあまり問題ではありませんが、
JPG形式の画像撮って出しではこのように画像が歪んで写ってしまいます
しかし
25枚ものレンズを重ねると、どうしてもゆがみが発生しますが、それを限りなくゼロにすること、
つまりゼロディストーションが理想形な訳ですが、なかなか今までは出来ませんでした。
最近になってようやくゼロディストーション技術がコンピューターの計算によって可能となってきました。
ちなみにシグマの12-24mmのゼロディストーションレンズのディストーション
かなりゼロディストーションに近いズームレンズですよね。
そして次にMTF曲線ですが、レンズの中心部から周辺部にかけて
どれだけ正確な情報が伝えられるかという指標が表されています。
フルサイズセンサーの場合、センサーの対角線が43.2mmありますが、
中心から周辺までの長さは21.6mmとなります。
つまりMTF曲線は0~21.6mmまでのどの部分が、正確に情報が反映されているかを示しています。
こちらはAPS-Cセンサーサイズ用のレンズのMTF曲線グラフ。
さてここまでの基礎情報を勉強したところで、
今回購入した60-600mmスポーツラインのレンズと150-600mmコンテンポラリーラインレンズ
そして150-600mmスポーツラインのレンズを比較したいと思います。
まずはレンズの比較から、レンズはキャノンのLレンズという白い鏡胴のレンズには、
中国のみで採掘される蛍石が採用されています。
レンズに蛍石を入れると様々な収差が抑えられて、最高の石(レンズ)になります。。
1枚入っているだけでもプラス10万円の価値があり、2枚入っているとプラス20万円という風に、
白レンズの値段の高さは蛍石の枚数に比例するといっても過言ではないかもしれません。
シグマさんはコスパを考えて、人工的に2枚使用することによって、
蛍石一枚分の性能に匹敵するレンズを開発しました。それがFLDガラスです。
↑
キャノンはUDガラスと云っています
そしてその半分の性能のレンズがSLDガラスです。4枚で蛍石1枚分の性能です。
まずは望遠の中で、一番お安い150-600mmコンテンポラリーラインレンズです。
FLD1枚(0.5) に SLD3枚(0.75)の構成
蛍石換算で1.25枚分
次に150-600スポーツライン
FLDレンズ2枚(1)に SLD3(0.75)枚の構成。
蛍石換算1.75枚
次に60-600スポーツライン
FLD3枚(1.5)にSLD1枚(0.25)
蛍石換算1.75枚
スポーツラインの60-600もスポーツライン150-600も蛍石換算では同等の色収差のようですが、
若干150-600の方が前玉の大きいレンズに奢られていますので、有利な気がします。
そして次に精細さを表すMTF曲線を載せたいと思います。
まずは150-600コンテンポラリーライン
中心から離れて、周辺に行くに従い解像感が失われているのが分かります。
このチャートはフルサイズセンサーの対角線21.6mmが基準となっています
私のカメラセンサーはAPS-Hなので対角線は17.25なので、
17.25mmまでの曲線を見れば十分です
1mmの幅に10本の線が入っており、その解像度がどれだけくっきり写るかを表しています。
中心部から周辺部までで約92~95%付近の正確性で解像することが分かります。
この画像は単焦点レンズの画像をお借りしましたが
中心部の写り具合と周辺部の写り具合の違いが顕著に出ています
分かりますが?
周辺部の方が解像が甘くなっていますよね。
そんなイメージを持ちながらMTFチャートを見てみると、
150mmワイド単周辺部のレンズの20mmを超えた付近から解像が甘くなるのが見てとれます
次に150-600スポーツラインのMTFを見てみます
150mmワイド単の10本線解像度がコンテンポラリーラインよりも
何故だか解像が甘いのが癪に障ります。
こちらも同様ですが、1mm幅に30本の線の解像が
周辺部の解像度がコンテンポラリーラインよりも乱高下せずに推移しているのが分かります。
次に60-600mmスポーツラインを見てみます
60mmの部分に関しては参考にならないので、望遠端の600mmを見てみます
600mmテレ端の10本線の解像は94~93%で一定に解像しています
30本の解像が甘いですが、中心から周辺まで
解像が極端に落ちずに82%~76%で推移していることが分かります。
残念ながらキャノンのLレンズ(30本線90~88%)には敵いませんが、30本線の78%代維持は
蛍石換算1.75枚分のレンズでは優秀だと思います。
いかがでしょうか?少しMTF曲線の見方は分かってきたでしょうか?
ちなみに最高性能を誇る単焦点レンズのキャノン600mmF4Lのレンズの構成とMTFも載せておきます
何と蛍石2枚を使用し、その他にスーパーUDレンズは2枚で蛍石1枚分の性能ですので
蛍石換算で2.5枚分プラスαの性能があります。
さてその性能はどうでしょうかMTF曲線を見てみましょう。
性能が中心から周辺まで変化せず98%の性能を維持しています。
凄まじい性能ですね。キャノン単焦点L レンズ
解像とは?実際と25枚ものレンズを通したときに像が劣化してしまう現象です。
左が100%解像している線で、右が95%解像している線です
私の説明で分からない人が居たら、こちらのサイトも見てみてくださいね
レンズ設計の思想の違いがMTF曲線から見てとることが出来て見ていると面白いですよね。
ということで、何が良い悪いというものでもなく、レンズの一本一本毎に特徴と個性と値段が違い
メーカー毎に、そして生産ライン毎、レンズコンセプト毎に違いがあることが分かりました。
さてさて、オタクの話はめんどくさいので、このくらいで終わりにしたいと思います。
ご覧の皆様は、光学レンズ性能の見方はおおよそ分かってきたでしょうか?
私の情報の伝え方は、やはりめんどくさかったでしょうか?
それとも分かりやすかったでしょうか?
ということで、本日もご覧いただきましてありがとうございました