市民意見⑭「埋蔵文化財センター移転事業」-出土品の84%がある古城収蔵庫(門司区)は置き去りか-
1月12日、北九州市の埋蔵文化財センターを八幡市民会館に移転し、解体後に跡地売却する「埋文センター移転事業」の市民意見(パブリックコメント)募集が終了しました。私たちは、八幡市民会館を埋蔵文化財センター(以下「埋文センター」)と出土品の収蔵庫に用途変更するこの事業は、市民の大切な財産である埋蔵文化財センターと八幡市民会館のいずれの価値をも破壊することから、白紙撤回も含めて見直しを求めています。そこで、この事業の内容や問題点を市内外の方々に知っていただくために、当ブログでは、この間、応募された方から寄せられた市民意見を連載してきましたが、まだ紹介できなかった意見が寄せられていますので、引き続きご紹介します。今回は、市内の多くの発掘調査に携わり、埋蔵文化財センターの役割と現状に詳しい方が応募された意見です。ぜひ、お読みください<(_ _)> ※「埋蔵文化財センター移転事業」「八幡市民会館の歴史的文化的価値に関する記事」等の関係資料を下記に添付しています。ご参照ください。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<市民意見(パブリックコメント)>貴課では、事業の必要性、有効性のひとつに、文化財の収蔵スペース問題を挙げている。まず現埋蔵文化財センターの収蔵コンテナ数を5,600箱(高さ15㎝の中(ちゅう)コン換算.)としているが、これは間違いで、3、4階合わせて8,000箱が収納可能である(高さ10㎝のいわゆる薄コン換算では12,000箱)。もっとも、現在は全国の発掘調査報告書が1階書庫に入りきれずに、4階に多数を仮収納しているため、また講座で使う小道具や、文化企画課の書類・図面などもアングル棚に保管され、純粋に遺物を収納できていない。最近は発掘調査件数、規模の縮小傾向が続き、遺物出土量も少なくなっているものの、一旦大規模遺跡の調査があれば(例えば金田遺跡など)、一遺跡で1,200〜1,500箱ほどのコンテナ数となる。また、現在の収蔵コンテナ数と収容率を、施設ごとに一覧表で示しているが、収容率85%の南方収蔵庫も移転売却するために今回の事業に付け加えているのは、まさにセンターと同様、売却が第一目的であることを示している。あと1,500箱収納できる施設をセンターと一緒に売却することで、八幡市民会館の改修費に宛てることができ、センターで一括保管出来るという、一見合理的に見える案かもしれないが、では収容率100%の古城収蔵庫収蔵コンテナ数80,000箱を置き去りにしているのはどういうことか?この問題は、収蔵庫施設の改善目標、今後の遺物収蔵予定年数の試算(何年後に収蔵庫が満杯になるか)、いのちのたび博物館との連携など、移転事業の根幹に関わる問題である。貴課作成の事前評価2.資料6の事業の必要性③その他の課題として、収蔵資料の有効な活用の項目で、「………収蔵庫に保管している出土品の中にも、多くの貴重な文化財があるため、これらについても市民の方に知ってもらう機会をつくることが必要。」とある。古城収蔵庫の80,000箱の中にもそれに該当する遺物が多数あることは意識しての判断か?南方収蔵庫に貴重な文化財があるため、6,000箱を八幡市民会館に持って行くというなら、古城収蔵庫にはその12倍以上の貴重品があることも明らかであろう。それを、余りに膨大な数のため、「本事業における統合は困難」として切り捨て、移転問題の埒外に置いているのは、何も考えていないも同然である。市民、検討会議の委員、教育文化委員会の市議もこの80,000箱はそれこそ「利用価値のない、クズの細片ばかり」と思っているから、質問も出なかったのだろうが、中身は、南方の遺物が貴重だという貴課と同様、財団でも「同質」の遺物が古城収蔵庫に保管されていることは、貴課職員も認めるはずである。しかも財団の収蔵庫として、当初から毎年大量に出土する遺物を手間(片道45分、遺物コンテナの運び込みは4階まで階段による人海戦術)と金(一年に100万ほどの運送費)をかけて20年間運び続けている苦労は文化企画課の職員にもわかるまい。そうした無駄を解消するためにもこの80,000箱、そして浜町収蔵庫の4,100箱を含めた一括収納を考えるべきではないだろうか。大分県の埋蔵文化財センターが近年、大分県立芸術会館に移転したが、大分県が調査して出土した遺物のすべてをここで収納できる施設に仕上げていることはご存じであろう。「center」と銘打つには、一括保管のできる施設であることが必要条件なのである。八幡市民会館の2階、3階に設けるという「倉庫」に何を入れるのかも明らかにしていないが、端的に言えば今回の移転事業で一番得をするのは文化企画課といのちのたび博物館の出土遺物である。財団組織を下位に見るように、出土遺物にまでランクをつける今回のプロジェクトには大義がなく、反対である。(北九州市小倉南区 60代 男性)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・市民意見提出手続とは ※市のホームページより抜粋「市が基本的な計画等を立案する過程において、あらかじめその案を広く市民に公表し、これに対して提出された意見を考慮して基本的な計画等の決定を行うとともに、提出された意見の概要とこれに対する考え方等を公表する手続」詳しくは下記添付の市のホームページをご参照ください。・市民文化スポーツ局文化部文化企画課 ※「埋文センター基本計画」より抜粋埋蔵文化財行政における主な業務である、①埋蔵文化財の把握・周知、②開発に伴う埋蔵文化財発掘調査、③埋蔵文化財の保護・保存、④出土品等の調査研究、⑤公開活用を所管。・埋蔵文化財調査室 ※「埋文センター基本計画」より抜粋 ※市の外郭団体である「公益財団法人北九州市芸術文化振興財団」内に設置市内の民間開発事業や公共事業に伴う発掘調査を行うとともに、北九州市立埋蔵文化財センターにおいて出土品の管理等。・公益財団法人北九州市芸術文化振興財団 ※「埋文センター基本計画」より抜粋1976年4月に設置された本市の外郭団体です(当時の名称は財団法人北九州市教育文化事業団)。1978年7月1日に、同財団内に埋蔵文化財調査室を設置し、北九州市及び民間開発事業者等からの委託を受け、埋蔵文化財の発掘調査、研究及び保存等を行っています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<埋文センター移転事業、市民意見募集の参考資料> ※市のホームページより●「市民意見提出手続(パブリックコメント制度)」について市民意見提出手続とは - 北九州市 (kitakyushu.lg.jp)●埋文センター基本計画-旧八幡市民会館の活用-(2019年9月決定)000855914.pdf (kitakyushu.lg.jp)※「埋文センター移転事業」は、この基本計画に基づきすすめられています。●「公共事業評価に関する検討会議の議事録」(2020年11月25日開催)000909697.pdf (kitakyushu.lg.jp) ※検討会議(50分)では、短い時間ですが構成員の質問や意見には厳しい指摘も多くあります。にもかかわらず、最終的に「異議なし」と結論付けられたことがとても不可解です。●「埋文センター移転事業」公共事業 事業評価2(2020年12月8日)000909295.pdf (kitakyushu.lg.jp)※この事業について、12月11日~1月12日まで市民意見が募集されました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<八幡市民会館の歴史的文化的価値に関する資料>■DOCOMOMOJapanの北橋市長あて要望書ea87feb9d2c9bdbf3ca195db188c90d5-1.pdf (docomomojapan.com)■八幡市民会館に関する記事村野藤吾「八幡市民会館」を巡って|萩原詩子|note・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■「市民意見提出手続(パブリックコメント制度)の概要」現在、市がホームページに掲載しているものです。公正で民主的な市政の推進のためにつくられた制度です。出された市民意見を真摯に受け詰め、ご検討いただき、意見とそれに対する考え方等が公開されることを期待しています。■北九州市の埋蔵文化財の収蔵施設 ※「埋文センター基本計画」より抜粋まだゆとりのある南方収蔵庫は埋文センターとともに八幡市民会館に移転解体し、出土品の84%がある古城収蔵庫は置き去りにし、今でも遠い埋文センターをさらに遠ざけるのか?!■全出土品の84%がある古城収蔵庫(門司区旧門司1丁目)■「埋文センター移転事業」により、埋文センターと収蔵庫に用途変更されようとしている八幡市民会館 (撮影:笠原一人氏).■八幡市民会館のすばらしい音響と星空の天井の大ホール(撮影:笠原一人氏)■「埋文センター移転事業」の大ホールを収蔵庫にするイメージ図 ※事業評価2より抜粋無理と無駄が多いだけでなく、築62年の八幡市民会館への移転事業は20年しか見込んでおらず、11月25日の検討会議で「20年後に保存困難となれば、再度埋文センターを移転する可能性」が指摘されました。