劔とは魂の柱
それは自分という存在そのものの尊厳である
今ここに「在りて在る」自分の存在そのものの柱である
『勝ち組』となり『勝ち馬』に乗り『勝つ』ことが大事と人は言う。
確かに『勝つ』ことは大事である。
だが、『勝つ』ということと、ただ『勝ち組になる』『勝ち馬に乗る』ことは全く違う。
ただ単に『勝ち』に囚われ『勝ち組』に寄り、『勝ち馬』に乗るということは、自らの『信念』を放棄し、『戦う』ことを放棄したということである。
『勝てばいい』
それは『結果、勝ち組となればいい』ということであり、『戦って勝ち取った【勝利】』ではないのである。
【勝利】無き『勝ち』
なのである。
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かつて平安のはじめのころ、日本に【孫子】の兵書が渡って来た。
それは徹底した『勝つ』ための法を説いた書であり、その論理的合理性は現代に至っても比類なきものであろう。
だが、【孫子】を目にした当時の日本の兵法家であった大江 維時(おおえの これとき)は、この兵書の危険性を感知して「これは乱を招く」として【封印】した。
ただ『勝つ』ために合理性を追求した書であると判断し、「これは日本人にはそぐわない」として封印したのである。
時は『平安』の世であった。
だがその『平安』な世も徐々に崩れ始めてきた。
ちょうどその時代というのは、日本が『乱世』へと大きく傾いていった時代で、それをもたらしていたのが『天皇家』の御家事情であった。
そこへ、元々は『農民の自営集団』であったはずの『武家』が力をつけ台頭してきたころでもあった。
そんなきな臭い時代にあってこの書が出回れば、間違いなく『戦乱』の大禍を招くと判断した彼の子孫となる大江匡房は【孫子】を封印していたのだが、『源八幡太郎義家』が【孫子】の存在を嗅ぎつけて、『是非』と所望した。
大江匡房は源義家の軍学の師である。
大江匡房は義家の申し出を初めは断っていたのだが、あまりにもしつこく義家が所望するので、彼はやむなく渡すことにしたのだが、その時に自ら編纂した兵書『闘戦経』を一緒に渡し
「必ずこの闘戦経を心に入れるように」
と『闘戦経』を指導したのち念を押して【孫子】の兵書を渡したのである。
『闘戦経』とは『日本人の精神性』を説いたものであり、その根底にあるものは【神】である。
神世の時代から人の時代となって尚、人の中心に【神】を据え置くという日本人の精神の根源を説いた『経典』であり、『戦う』ということの『意義』を説いたものである。
そして【孫子】と【闘戦経】を『表裏』のものとして位置付けた。
以来、源家の兵法は『孫子』と『闘戦経』であったはずであるが、後の世に伝わっていったのは『孫子』だけであった。
そして、武士は【孫子】だけを尊び【闘戦経】を忘れていったのである。
やがて『平安』の時代は終わりを告げ、武家社会である『鎌倉』の時代へと移ってゆく。
鎌倉幕府の将軍となった源頼朝の側近には大江広元が頼朝の師として居た。
この大江広元は戦国時代の【毛利家】の祖である。
それゆえ「毛利元就」から後の毛利家の人物の名に「広」「元」の字が使われている。
大江広元は鎌倉幕府を支えて行くが、もはや『乱』を止める術はなく、「朝廷」「幕府」ともに乱れに乱れていった。
かつて大江維時が予想した通り、案の定『戦乱』の世となり、肝心な【柱】を無くした朝廷も武家社会も、二転三転してゆくこととなる。
そんな武家社会が最初の変転を迎えようとする鎌倉時代の後期になり、大江広元の曾孫である大江時親(毛利時親)の時代になり現れたのが『楠木正成』という人物である。
大江時親は楠木正成に【孫子の兵法】を教えるとともに【闘戦経】も徹底して教えていった。
ここにようやく大江維時からの「孫子と闘戦経は表裏」が実を結んだ。
孫子という〇(側)と闘戦経という・(柱)が表裏一体となって【戦】が⦿と実を結んだわけである。
後世、様々な武将が世に出たが、唯一【神】となった武将が楠木正成である。
彼は【神】を・(柱)に据えて戦った。
『在るべくして在る』ものを【柱】と据えて、それを一切曲げることなく、『勝ち馬』に乗ることなく『勝つことだけ』に囚われず、『在るべくものを在らしめる』戦いを行ったのである。
ただ『勝てばいい』のではない。
『在るべくもの』を捨てての『勝ち』には何の価値もない。
『在るべくもの』を捨てて『勝つ』を【日和見】というのである。
『在るべく』ものを『護り戦う』のが大和魂(⦿)である。
それを捨てるは幽界御魂(〇、がいこくみたま)。
負けて負けて負け続けても・(柱)を捨てぬ御魂こそ、【神】が求める大和魂。
それが「神人和合」す神祀りである。
そして楠木正成公は今もまだ『戦って』いるのである。
【神】として・・・・
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金神の艮の文(トドメノフミ)より
やれと言われてやりた事 誉ほめて讃えてやりた事 一厘入ってクズとなる
やれどもやれども誉められず 途方に暮れて泣きを見る 藻屑もくずの如き行いが 一厘入ると徳となる
夜の切り替えぞと言うたぞよ 世の切り変えぞと言うたぞよ
夜の時代の勝ち相撲 勝てば勝つほど辛くなる
負けば負くほど強くなる
蒔まけ蒔け蒔け蒔け一の種 蒔くけば蒔くほど花と咲き 捲け捲け捲け捲け寅の巻 捲けば捲くほど実ぞ実る
春まけ夏まけ秋にまけ 冬にまければハルマゲドン 魔の神ドンと落ち行くを 我ら喜びハルマゲドン 春、魔、下、ドンこそハルマゲドン
もう始まっているのである・・・・・