山梨県立美術館の特別展『ポップ・アート 時代を変えた4人』の話が長くなってしまっておりますが、アンディ・ウォーホルロイ・リキテンスタインに続いて、あとの二人、ロバート・ラウシェンバーグとジャスパー・ジョーンズはまとめて振り返ることにしようかと。

 

 

またまた本展フライヤーの画像を持ってきますが、右上がラウシェンバーグ、その下がジャスパー・ジョーンズで、もちろん違う個性なのは一目瞭然ながら、ウォーホルやリキテンスタインから受ける手放しの?ポップさとは一線を画すものであろうとも、見て取れるのでないですかね。

 

奇しくも上の画像(見て取りにくいですが)でラウシェンバーグは「自由の女神」を配していますし、ジョーンズの方は見るからにアメリカの国旗、星条旗のデザインを使っているのですよね。先の二人ともども1960年代を時代背景としつつ、こちらの二人の方がより社会情勢を敏感に写し取ってもいるような。

 

同じような傾向を見た目、最も顕著に表しているのは、本展で「The FAB 4」に続く4人として紹介されている中のひとり、ジェームズ・ローゼンクイストが「アスペン・イースター・ジャズ」のポスターとして作った作品でしょうか。

 

真ん中に大きくあしらわれたマイクロフォンが音楽イベントを想起させるものの、背景には爆撃機が飛んでおり、そうなるとマイクは投下された爆弾にしか見えなくなってくるわけで。製作された1967年はベトナム反戦運動真っ盛りでしたでしょうから、今見るよりも明らかなメッセージ性があったものと思いますですよ。

 

ちなみにリキテンスタインが同年、「アスペン・ウインター・ジャズ」のポスターを手がけていて、フェルナン・レジェをよりポップにした印象のある作品になっているも、ローゼンクイストが示した方向性とは全く異なることがよおく分かりますですね。

 

で、ついでに思い付きをひとつ付け加えますと、ローゼンクイストのポスターの色遣いといいましょうか、かつてソ連や東欧の東側諸国が発行する切手(多分にプロパガンダを含んでいるわけですが)の配色を思い出させるところがある。そんなふうに思って話をラウシェンバーグに戻しますと、ラウシェンバーグの作品にもその気配が感じられたのでありますよ。なんとも地味な色遣いでして、薄ぼんやりした紫とか赤とか、その辺の色が多用されておりまして。

 

さて、もう一人のジャスパー・ジョーンズですけれど、星条旗ベースでさまざまな塗りこめ方をしたシリーズで知られる一方、標的を描いたもののシリーズになっておりますですね。ここにはまた、アートの深淵が見られるような気がしますけれど、何しろ「的そのものを写実的に描いた」という作品なのか、「描かれた的を描いた」という作品であるのか…何やら堂々巡りに陥ってしまいそうな気がします。これもまた時代の空気を掴んだ表現なのかもしれませんですよ。

 

てなことで、近頃はあれこれの想像を巡らしながら見る展覧会にご無沙汰しておりましたが、脳内のハードディスクをうぃーんと高速回転でクリーニングする経験を久しぶりに。面白くも興味深い展覧会でありましたよ。